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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

vol.2162021年1月20日

2021年以降の聴覚製品の戦いの現場

2021年1月14日―Futuresource Consultingはヘッドホン市場について新たな分析結果を発表した。ヘッドホン部門は、過去10年間で驚異的な進化を遂げてきた。個人向け電子機器の市場のなかでも最速ペースで売れる製品のひとつであり、その成長は止まる気配がない。

すでに上昇傾向にはあったが、新型コロナがその活用を加速させた。リモートワーク、リモート学習、ゲームの伸びといった動向がすべてプラスに働いてきた。さらには、健康や聴覚の増強といった使用事例に将来的な可能性もある。

結果として、ヘッドホンや真のワイヤレス機器の出荷数は、今後5年間で7億以上に達すると予測される。活力あるこの市場には、重複活用や収束的な活用が多々あり、それらがより幅広い今後の展開に影響を及ぼすのは間違いない。

新型コロナはヘッドホンの使い方にどのような影響を及ぼしたか

ヘッドホンは、生活の隅々に行き渡り、仕事目的、娯楽、癒しなどに使われている。様々な状況に活用できる理想的なサウンドソリューションであり、消費者たちは、好みのオーディオコンテンツを聴きながら、コロナによるストレスや重圧から逃れられるような個人的空間を作り出すことができる。

そしてヘッドホンは、もはや外界と孤立して受動的に聴くためだけのものではなく、様々なタスクに対応する。私たちがリモートワークと個人的な用事や家族との時間をやり繰りすることに慣れるにつれ、新型コロナは、異なるスペース間を行き来する必要性を加速させてきた。ヘッドホン機器は今や、世界とつながる順応性をもったインターフェイスとして使われている。

しかし欠点もある。ヘッドセットやヘッドホンは、コミュニケーションを向上させ、役に立つ現実逃避の形を与えてくれる一方で、人々はこれまで以上に音に曝されるようになり、最終的にはその代償を払うことになる。1日当たりの音の被爆の総時間数はロックダウン以降、驚異的に増えており、この音の被爆が、私たちの聴覚を阻害する可能性があるのだ。

Starkey Hearingの技術担当副社長であるTim Johnstonによれば、10代の若者の6人に1人が音の被爆による聴力低下を経験しており、現在520万人の子供たちがこの症状に悩まされているという。人々は寿命が延びたことから、聴覚障害にも、より長期間悩まされている。

ヘッドホンの使用事例が増える中、ひとつの「スーパー製品」が優位に立つことはあるのか

使用事例にそれぞれ大きな違いがあるため、ヘッドホン市場では、複数の製品を所有することが当たり前になっている。消費者の要求は、仕事用、フィットネス用、娯楽用で大きく異なる。ヘッドホンについては、最少が最良とは決してならない。

人々は、多くの様々な用途向けにカスタム化された機器に興味を持っている。「ひとつですべてを網羅する」タイプのソリューションではなく、今後もそれは変わらないと思われる。

そして何より、オーディオ機器の好みは様々ながらも、新たな製品の刷新される速度が、利便性と相まった高品質サウンドに対する消費者たちの欲求を煽るのだ。

サウンドの質はこの先、「充分」といえるところに収まるのか

高品質なサウンドは、消費者たちが優先的に求めるものだ。リスニング体験に関わるものであり、より忠実度の高いサウンドで音楽を聴くことにも関係するからだ。しかし、ヘッドホン製品が特殊化するにつれ、もはや音質はそれだけで十分なセールスポイントではなくなってきた。マイクの品質も重要であり、AIの導入によってユーザーは、フォアグラウンドの音声とバックグラウンドの雑音を区別できるようになった。これは特に、テレビ会議に参加する時間が増えたことを考えれば、非常に重要だ。

状況に応じた聴覚強化も、大きく浸透してきた非常に有益な機能だ。ソーシャルディスタンスやマスク着用といった新型コロナにまつわる抑制的な措置は、人々の声を聴き分け難くさせることにもなる。これが、聴覚強化をヘッドホン革命の前面に押し出す機会をもたらしている。

ヘッドホン技術をとりまく状況が変化する中、改善の余地はまだまだたくさんあり、没入型オーディオの質、マイクの音質、聴覚障害を起こさない製品などは、その重要な鍵となる。これに加えて、消費者たちは、ヘッドセットを使ってゲームをしたり映画を見たりすることが多くなってきた。これは、オーディオの品質が別の意味を持ち始めたことを意味する。つまり、低遅延でなければならないということだ。

新たな業界目標は、これらの機能を消費者向けヘッドホン製品の標準として段階的に定着させ、次なるイノベーションへと移行していくことに向けられている。

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