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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

vol.1862019年7月31日

2023年にはバーチャルアシスタント製品の出荷数が23億個を超える見込み

バーチャルアシスタント(VA)市場は、消費者の需要の増加や実現技術の向上の組み合わせによって拍車がかかり、強く前向きな勢いを示しています。Futuresource Consulting社の新しいレポートによれば、世界の出荷台数は2019年の推定11億個から増加して2023年までには23億個を超え、今回の調査報告期間のCAGR(年平均成長率)は20%となっています。

「スマートデバイスの性能が改善され続ける中、この産業は音声アシスタントからバーチャルアシスタントへ移行しています」と、Futuresource Consulting社のアナリストであるSimon Forrest氏は述べています。「バーチャルアシスタントは現在、もはや音声のみに止まらず、音声認識、そしてカメラやスクリーンディスプレイを組み合わせたものになっており、 2019年はより幅広い言語サポートと会話能力が補強される年になりつつあります」

「今年にはAmazonのAlexaやGoogleアシスタント、SamsungのBixbyはすべて、さらに多くの国でサポートを行うことを表明しており、地域の市場機会を拡大させています。 そして自宅においては、複数のアシスタントが一般的な起床時の言葉に一斉に反応しており、それぞれのアシスタントを独自に特定する必要性が高まっています。全体として設定可能な起床時の言葉が発表され、これにより消費者は、名前によってそれぞれのデバイスに別個に話しかけることが可能になることが期待されます」

新しい報告においては、音声アシスタントおよび自宅での関連デバイスに関するFuturesource Consulting社の以前の報告を拡大した内容になっており、スマートフォンやタブレット、企業向けPC、および自動車の各セグメントが元のデータセットに追加されています。

家電の参入

「VAテクノロジーは、家電の分野に影響を与えています」とForrest氏は話しています。「自社の地位を差別化するため、多くの販売企業はVAテクノロジーを用いてヘッドフォンやスマートフォン、その他のウェアラブルを補強しています。昨年、主にバーチャルアシスタント機能を備えたヘッドフォンの急増により、このようなデバイスの出荷台数は前年比で120%増加しました」

「逆に、スマートフォン市場は完全な成長に到達しています。2011年にリリースされた最初のプラットフォームはApple Siriでしたが、現在ではGoogleアシスタントやBaidu(百度)のDuerOS、SamsungのBixbyのすべてが独自に、有能なバーチャルアシスタントとして機能しています。Androidは世界的にスマートフォンの主要なオペレーティングシステムですが、バーチャルアシスタントの状況は著しく異なっています。多くのスマートフォンはカスタム版のAndroidを構築するためにAndroid Open Source Project(AOSP)を採用していますが、Googleアシスタントを別の音声プラットフォームに置き換えることができるようになっています。仮想アシスタントプラットフォームをアプリとしてダウンロードすることもできます。これは、中国のBaiduのDuerOSアシスタントに顕著にみることができます」

AV製品におけるチャンス

多くの販売企業や製品はすでにVAテクノロジーを採用しており、メディアのストリーマーやスマートテレビ、サウンドバーもまたVAに好機をもたらしています。RokuやAmazon FireTV、Google Chromecast(クロームキャスト)などのメディアストリーマーは、リモコン内の近距離なバーチャルアシスタントを有利にし、使いやすい音声インターフェイスを提供しているため最大のチャンスを作り出しています。しかしスマートテレビには遠距離のアシスタントが導入されている兆候がみられます。これはテレビの販売企業が、同技術をより幅広く展開させる前段階の早期試行であるように思われます。

バーチャルアシスタントの初期の頃には、スマートホームの分野は消費者が音声だけで家庭の照明や暖房、セキュリティシステム、スマート家電を制御することを実現し、同技術の実証の場として地位を示しました。昨年、この分野における販売台数はほぼ倍増の5,400万台を超え、96%の成長を成し遂げています。スマートスピーカーは最大の割合を占め続けてており、この分野におけるVA機能内蔵の出荷数の97.5%を占めています。

自動車市場の進化

自動車分野では、工場で備え付けられた最初から統合されたものと、アフターマーケット製品の両方をターゲットとし、ソリューションの流入が進んでいます。自動車の接続性と自動化が強化される中、自動車OEMメーカーはブランド経験の重要な部分として車載デジタル技術に注目しています。2017年以来、CarPlayやGoogleアシスタントが広く採用され、スマートフォンのエンターテイメント・コンテンツを活用するための機能的なハンズフリーなソリューションが提供されています。

「10年以上という長期に渡る自動車製品の耐用期間、そして長期化された開発サイクルは、常に車載技術の革新を制限しています」と、Forrest氏は言います。「しかしコネクテッドカーと平行して、新しいビジネスモデルと収益機会が発達しています。
そのためテクノロジーに基づいた革新に対し、より大きな関心が集まっています。そして自動車OEMメーカーは、製品の提供者から経験の提供者へとその中心的なポジションを転換しているように見受けられます」

VAの未来

VAは単なる命令・コントロールをする機構を超えたものへと発展し始めており、高度な会話能力と知的な予想機能を備えたプラットフォームへと変化しています。最終的には音声対応製品は会話を遮り、サービスプロバイダにとってはユーザの利用行動に関するデータ収集を超えた、新しい収益化の機会を提供する能力を持つことになるでしょう。

同時に、消費者はバーチャルアシスタントの幅広い判断を支えるデータの収集や監視、共有に慣れていく必要があります。これは基本的なプライバシーとセキュリティの懸念を引き起こし、市場の発展を制限する可能性があります。しかしオンチップのニューラルネットワークは、データをエッジで処理することで一部のリスクを軽減することを約束しています。特にGoogleとAmazonの両社はカメラとマイクを無効にできるスマートディスプレイを発表し、ユーザのプライバシーに対する新たな取り組みを示しています。

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