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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

Vol.1102016年3月31日

スマートウオッチ市場 2016

最新レポート「Global Wearables Q4 2015」※1では、世界のウェアラブルデバイス全カテゴリーが9,900万台販売される中、前年からの増加率は76%であったことが報告されている。また、小売総額は240億ドル(前年比267%増)となっており、デバイスあたりの平均単価増加率は(金額と比較して)限定的であったとみられる。いづれにしても、これらの増加はコネクテッドウォッチからもたらされたものである。中でもApple社は他の主要ブランドと比べて参入は遅れたものの市場リーダーとしての地位を早々に確立している。

更に最新のFuturesource市場分析データによると、年間出荷数量ではアクティビティトラッカーが最大の製品群であるが、売上からみるとスマートウオッチがアクティビティトラッカーを上回り最大の製品群となった事がわかる。第4四半期はそのほか、スマートウオッチの出荷数がスイスの伝統的な時計メーカー製時計の出荷数を上回った初めての四半期でもあった。Tag HeuerやBreitlingといったクラシックなハイエンドブランドのほかFossilやGuessなどマス市場向けのブランドは、変化する顧客ニーズと市場での競争に対応するため、製品ラインナップにコネクテッド型、スマート型の製品をすでに加えている。

「Fossilは最近、テクノロジースタートアップのMisfitを買収し、時計製造のノウハウとウェアラブルのテクノロジーを結び付けようとしている。 100を超える最新のコネクテッドデバイスが2016年に製造されると聞いている。同社ではそのほか、Misfitのウェアラブル技術がMichael Kors時計製品にも導入され、今年にかけて製品ラインナップを拡大していく」とFuturesource ConsultingアナリストのMariia Konovalovaは述べている。

確かに、スマートウオッチは健康・フィットネスのテクノロジー市場に破壊的な力を持っていると言える。Futuresource Consultingがフィットネス市場における主要企業のブランドシェアを分析したところ、(スマート)ウォッチがかなりの割合を占めるようになったことから、FitbitとXiaomiを除き多くの企業がシェアを失った。ここ数年、スマートウオッチはMP3、カメラ、カムコーダ、ごく最近では衛星ナビ、タブレットと共食いの状況であったと言える。Futuresource Consultingでは、スマートウオッチの部品がさらに精密になり、信頼性が高まり、他の専用デバイスと競合できるようになるにつれて、この製品は健康・フィットネスのウェアラブル市場に引き続き浸透してくると予想している。

この市場の正確な方向性や姿はまだ定まっていないが、その背景には将来性のある応用事例が多数あるほか、ライフスタイルや実用性の面でスマートウオッチのメリットを実感している消費者がそれほど多くないという事実がある。今のスマートウオッチは充電が必要で多くの人、特に女性から見てテッキー(細かい技術)かつバルキー(かさばる)だと思われている。Futuresourceが実施した消費者調査「Living with Digital (LWD) 11」によると、スマートウオッチを所有している人のうち女性の比率はわずか34%である。しかし、時計の全販売に占める女性比率は60%である。

スマートウオッチは、シリコン・ウエハーの制約により概ね決まったサイズとなっており、今のところ、女性の持ち物にしてはやや大きめなのが実情である。しかしながら集積回路メーカーの努力で小型化される可能性はあり、そうなればもっと可愛らしい、女性向けの時計市場の開拓が進むため、現在全ての時計に占めるTAM(有効市場)20%未満が60%へと効果的に引き上げられよう。

MWC(Mobile World Congress)では、CE(消費者家電)デバイスの内蔵SIMに関連した最近の技術標準には並々ならぬ関心が多く寄せられた。SamsungのGear S2は、こうした機能を備えた国際ブランドによる最初のスマートウオッチである。モバイルネットワークオペレータもこれに強い関心を示していたが、それはただ最新デバイスであるという理由だけでなく、デバイスの使用時間や追加サービスをアップセルする機会を開拓できるからだと思われる。

Futuresource Consultingは、スマートウオッチがよりスマートかつ有能になるものの、多くのスマートフォンのアプリは視覚的に凝縮されていることからすると画面やディスプレイの問題が解決するまではスマートフォンが浸食されることはないと考えている。スマートウオッチのバッテリー寿命という別の問題も改善しており、例えばAndroid Wearは1日から3、4日へと持続日数が増えたほか、Pebble Time Steelは10日、Vectorモデルは30日持続するという。

※1 Futuresource Consulting によるレポート