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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

Vol.842015年2月6日

インターナショナルCESでのリアルスクープーウェアラブルテクノロジー:

2015年1月9日英国Dunstable発-インターナショナルCESが開催されている期間中、Futuresourceの分析チームは展示ホールを歩き回り、ブレックファーストウェビナーにて見聞きした知見を報告している。今回のリリースは、ショーで展示されていた主なテクノロジーを詳しく見る最初のもので、関連するCEセグメントについてFuturesourceの市場予測をお届けする。

Futuresourceは2014年通期の全世界におけるウェアラブル端末の出荷数を推計している。

Activity Trackers 16.8 m
Pedometers and Footpods 11.4 m
GPS Trackers 10.2 m
Smartwatches 6.1 m
Heart Rate Monitors 6.0 m
Wireless Watches 0.6 m
Head-Mounted Displays 0.5 m

2014年はウェアラブルにとって画期的な年であった。市場拡大をもたらした主な用途カテゴリーはスポーツとフットネスであった。フィットネス端末は今でも同製品の最大カテゴリーで、活動トラッキングは多くのスマートウォッチで最も頻繁に見られる機能の1つとなっている。しかしながら、CESではフィットネスバンド関係のアナウンスはほとんどなされなかった。

「米国は、アクティビティトラッカーとスマートウォッチという2つの大きなウェアラブルの新興カテゴリーで市場をリードしています。米国は典型的なアーリーアダプターの市場で、同時にAppleが中心となっている市場です。さらには健康・フィットネスの面で国民1人あたり最大の支出をしている国でもあります」としたうえで、「当Futuresourceでは、今年後半のAppleウォッチのリリースとともに、ほとんどのカテゴリーで成長がみられると予想しています」と、Futuresource Consultingの市場アナリストであるOliver Rowntree氏は述べている。

「当社が米国、英国、フランス、ドイツの8,000人を対象に5月と10月に行った消費者調査によると、今後12か月の間にウェアラブル端末を購入したいという人の割合は2014年5月時の10%から10月には16%まで増加しました。5月以降で最も顕著な変化は、ウェアラブル端末を購入したいとするiPhone所有者の数が大きく増えたことです。iPhone所有者は現在、あらゆるカテゴリー、とりわけスマートウォッチで他の製品をリードしています。iPhoneの所有者で今後12か月の間にウェアラブル端末を購入したいと思っている人の割合は2014年5月時のわずか6%から17%まで増加しました。」

製品が同じようなものに収束し、心拍数カウントやフィットネス機能が他の端末にも内蔵されるようになるにつれて、フィットネスのセグメントは下降し始め、この市場の多くはスマートウォッチに取り込まれるだろう。

フィットネス専用端末の出荷増加率は2014年から2018年にかけて25%未満になる一方、接続機能のある腕時計は1100%超の増加となるだろう。

201420162018
Worldwide Shipments of Ddedicated Fitness Devices 44 m54 m55 m
Worldwide Shipments of Connected Watches 7 m38 m83 m

フィットネス以外でスマートウォッチに備わっている目新しい機能は、Hyundaiなどの自動車メーカーによって披露された。同社はドライバーに警告を発するケースを紹介したほか、AudiはカスタマイズされたLG時計で自動車を制御する仕組みを紹介した。腕につけるスマートウォッチは現在地をつねに把握できるため、スマートウォッチのカテゴリーで自動車やスマートホームを制御するというのは進化の方向としては自然な成り行きである。

ただし、多くのスマートウォッチは1日使用するのに充電しなくてはならない時間が多くかかるという難点もあり、このカテゴリーで相当のトラクションを確保するためには充電管理の点での画期性が求められる。

「この市場は端末だけの問題にとどまらない点に注意が必要です。端末と連携させてサービスやアプリを使用しているという点が重要なのです」としたうえで、「これにより使用方法が決まることになります。採用する程度も同様に決まります。将来におけるこのカテゴリーの成長は、仮想現実(AR)、ライフログ、コミュニケーションなど、破壊的なアプリケーションがフィットネス以外のところで発展するかどうかにかかっています」と、Rowntree氏は述べている。

インターナショナルCEでは、スマートヘッドフォンについて数々のアナウンスがなされた。現在、全ヘッドフォンの7%は無線接続機能を内蔵しており、平均価格は前年比で10%上昇している。さらに、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ)やスマート眼鏡とは異なり、ウェアラブルヘッドフォンには製品に付随している余分な要素はない。

最新のBragi Dashイヤホンにはテクノロジーが詰まっている。4月には、移動距離、速度、歩数、高度、心拍数、体温、消費カロリーを追跡できる機能を備える予定で、通話用マイクや4GBの内蔵メモリのある音楽再生機能もある。

「ポストCESの将来を見据えると、最大のカテゴリーは、これまでのCE以外のところからやって来るでしょう。ウェアラブルの専門家は必ずしもCEベンダーである必要はないからです。それは、消費者の希望に迅速に合わせることのできるファッションハウス(高級服メーカー)やライフスタイルブランド企業なのです」としたうえで、「ブランド企業は、ウェアラブルの分野で差別化するための洗練性を追求していかなくてはなりません。そしてこの業界は、ウェアラブル端末をただ身につけるCE機器と見なす発想から抜け出さなくてはいけないのです」と、Futuresource消費者家電のアシスタント・ディレクターをしているSimon Bryant氏は述べている。

「スマート衣服は、ウェアラブル専用端末の概念をかなりの程度破壊してしまうでしょう。私たちは、消費者の主流がウェアラブルを受け入れる方向に向かっているのです。」

Futuresourceでは現在、7つのウェアラブル製品(アクティビティトラッカー、ウェアラブルGPSトラッカー、心拍数モニター専用機、その他フットネス機器(万歩計、歩数計含む)、スマートウォッチ、ワイヤレスウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ)を追跡調査している。

インターナショナルCESでの主なアナウンス

今年のインターナショナルCESを通して、ウェアラブル製品の発表がいくつかなされている。以下はその一例。

Intelは、キーノートで多くのホットなトピックをカバーした。スマートクロージング(衣服)向けの小さなコンピュータモジュール「Curie」にはBluetooth対応ラジオが含まれており、2015年末に市場で販売される。スマート衣服とウェアラブル技術は明らかにIntelの主要関心分野だ。スマート眼鏡ではOakleyと協力してもいる。エンターテイメント的なドローン(無人機)のディスプレイも発表したが、ここでは障害物をよけられる技術が強調されていた。IntelはIoTについては話をしないことにした代わりに、実体性のある製品やテクノロジーのデモを行うことに力を入れていた。

HearNotes は、同社によれば初のプレミアム無線イヤホンを製作した。これはUniversal Editionを対象とし、Kleer Bluetoothテクノロジーをベースとするものである。HearNotesが特に強調していたのは、この製品はBeatsやBoseなどの高級消費者ブランドに「投資した分の見返り」をもたらすという点だが、1回の充電で使用できる時間はわずか4時間である。

Qualcommは記者会見にて多くの分野をカバーした。これにはSnapdragon 810プロセッサー内蔵の初のヘッドセットであるLG G Flex 2が含まれている。同社のAllPlayスマートメディアプラットフォームには、Bayan Audio、Goodman、Marleyハウス、Inkel/Sherwood、Optoma Nuforce、SVS、TCL、TP-LINKなどのプラットフォームをサポートするハードウェアメーカーがいるとも発表していた。4つの最新の音楽・オーディオサービスでは、AllPlayを同社の音楽ストリーミングサービスと統合することで、サービス数は合計18になるとの発表もなされた。

複数の自動車メーカーはQualcommのSnapdragon自動化プラットフォームを内蔵した自動車を展示している。これは自動車内にあるソフトウェアのアップグレード、無線による充電が可能である。

Qualcomm はその他にも、ウェアラブル市場で成功していることを示す材料として30を超える市場にある15以上の製品に同社のテクノロジーが使用されていること、そのうちスマートフォンが最たる製品であるとコメントした。さらに議論がなされていたのは、ヘルスケアやスマートホームの分野だった。

Gibson は、最新トレーナー用フィットネスヘッドフォンの関係で有名人ウサイン・ボルトと共に行っている取り組みを紹介した。1対で価格が239ドルの製品には安全ライトがついており、天候に応じて変えられるクッションのほか、Bluetoothに対応している。4月に店頭で販売予定。

Lenovoは、Eインクディスプレイを備えたVibe Band VB10と長い電池寿命が特徴の製品でウェアラブル市場に参入するとプレゼンした。

Sonyの最新ヘッドバンド型WalkmanであるSmart-B Trainerは、防水対応のランニング機器で、GPSが内蔵されているほか、1つのイヤーピースを心拍数センサーとして利用し、走る速度を変更するかの判断に役立つ計測をする。

Blue MaestroによるPacif-i Smart Pacifierは、赤ちゃんの体温を記録し、それを追跡・記録のできるスマートフォンに転送するおしゃぶりのダミー製品である。おしゃぶりが外れてしまったときにスマートフォンにアラートを発信できる代理機能のほか、スマートフォンでおしゃぶりの場所を見つけられる機能も備えている。

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