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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

vol.1972020年2月29日

AV Over IP:困難、機会、届かない主流の地位

低遅延AV over IP(AVoIP)ソリューションは、広範な主要業種で広まりを見せており、その他の競合テクノロジーに対する明確な優位性を示している。しかし、同テクノロジーは今も大規模市場の承認を得るのに苦労している。 Futuresource Consultingの上級アナリストAdam Coxが、その困難について探索し、詳細な情報を提供する。

AVoIPは確かに、近年力強い量的成長を見せている。2018年、エンコーダーとデコーダーの出荷は年率69%の伸びを見せ、続く翌年には数値が確定した暁には42%の成長が予測されている。しかし、こうした活動や引き続く好意的な市場展望にもかかわらず、AVoIPはまだ大規模な採用をみていない。幅広い現存する問題のため、同テクノロジーが短期間のうちに低遅延専門AVセグメントにおいて既存の拡張技術に対する脅威になると示唆するものはほとんどない。

幅広い普及を妨げる要因には、市場での価格がまだ少し高いこと、ターゲット業界におけるネットワーキング専門知識の不足、およびチャネルパートナーによるIP採用に対する根本的な抵抗が挙げられる。ベンダーが大幅な成長を報告しているものの、予想よりも遅い速度とはいえ、量的に増えていることは間違いない。つまり、市場はまだ初期段階にあり、エンドユーザーとチャネルパートナーはどちらも、IPを全面的に採用し、既存の非IP拡張配備と置き換える準備ができていないのだ。

市場リーダーのHarmanとCrestronがまだ10Gに投資していないため、1Gの設置が引き続き支配的であり、10Gソリューションはしっかりした足場を見つけるのに苦労している。その結果、主要な設置の大部分は引き続き1G製品に基づくものになっている。Futuresourceの数値データによると、2019年に1Gが全出荷の86%を占めていた。しかし、Extronが市場に参入し、1Gと10Gの両方のソリューションを提供するようになった今、このセグメントでの競争は激化すると予想される。Futuresourceはまた、 Extronの関与が10Gソリューションの認知度と正当性を高めることを期待している。とはいえ、手に入るようになるのが遅れているので、全体的な採用に大きな影響を与えるかどうかはまだ分からない。

米国は、1Gと10Gの両方のソリューションにとって最大の機会であり、この地域には多くのブランドがあって、ほとんどの業種で大量の商品が流通している。中東では、石油およびガスセグメントで大規模なIP展開が行われている一方、中国ではAVoIPソリューションが幅広い業界で急速に採用されている。AVoIPに対する一般的な態度は、軽視する向きが和らいでおり、現地で生産されたソリューションが利用できるようになって、市場は成長を続けている。米国と同様に、レジャーとエンターテイメントは強力な市場であり、教育と企業業種もそうだ。ヨーロッパに目を向けると、英国とフランスが依然としてこの地域最大の市場であり、小売、コーポレート市場、高等教育市場で初期的な需要が見られる。

主流アプリケーションでの10Gソリューションの採用は遅れているが、ハイエンドの重要なイメージングやeスポーツなどのニッチなアプリケーションからの需要が存在する。医療および住宅部門でも堅調な発展が見られるが、AVoIP市場の大部分は、1Gソリューションが大きなシェアを維持しているコーポレート、教育、およびエンターテイメント市場でのアプリケーションのままである。 実際、コーポレート市場が低遅延AVoIP成長の鍵である。企業は、会議室間および施設間をまたぐ革新的なビデオ配信技術を採用している。一元的コミュニケーションおよびコラボレーションテクノロジーの成長からの脅威は続いているが、企業への販売量は2018年から2019年にかけて前年比で約60%増加し、現在ではAVoIPエンコーダー/デコーダー総量の30%を占めている。IPソリューションが採用されている場合、通常、会議室または他の共有スペースにデジタルサイネージコンテンツを転送するために使われている。また、コンテンツがIPを介して部屋間をまたいで配信され、ベースバンドソリューションによって室内に配信されるという、ハイブリッド展開のコンポーネント部品としても使われている。

コーポレート市場に加えて、高等教育市場もAVoIP採用の強力な牽引役である。量的増加は、キャンパスをまたいだビデオ配信に対する高い需要に関連しているだけでなく、キャンパス内外の複数のスペース間での双方向性と双方向通信に対する高等教育のニーズの高まりにも関連している。部屋内および部屋間で必要なインプットの数と種類も大幅に異なるため、IPが最も望ましいソリューションとなっている。さらに通常、ネットワーク中枢がより高度なものなので、ITマネージャーにとってIPテクノロジーはますます受け入れやすくなっている。

将来に目を向けると、Futuresourceの予測では、AVoIPエンコーダーとデコーダーの世界出荷台数は2023年に100万台を超え、予測期間全体で年平均成長率30%にもなるとされている。AVoIPはまだ主流派の陰に隠れているが、このテクノロジーの未来は堅いと言える。

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