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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

vol.1782019年2月28日

MWCでの折りたたみ式スマートフォン:その誇大広告と未来

折りたたみ式スマートフォンがニュース報道に登場し、様々なメーカーの試作品が注目を浴びる中、MWC 2019が活況となっている。

折りたたみの歴史

「試作品の折りたたみ式スマートフォンには目新しいところは何一つありません」とFuturesource Consultingの市場アナリストジェームズ・マニング・スミスは言う。「2016年には、LGが新聞紙のように折り畳める画面のデモを行なって、それが他のメーカーが目指すべき目標となりました。今日変わったのは、革新をもたらすデザインのプロセスであり、市場の可能性と障害の間のバランスの推移です。Samsungは自社のFoldを4月に発売することを計画しており、Huaweiはそれに続いて6月に、より高価で5Gの大げさな看板を付け足したMate Xの発売を計画しています。しかし、いずれも高価格であることを考えると、 以前にRoyoleのFlexpaiがそうであったように、正真正銘の市場成長のきっかけとしてよりは、概念実証のようなことになるでしょう。特にLGは、フレキシブルなスマートフォンから短期的には引き揚げる代わりに、モジュール方式を採用しています。高価格にせずに標準的なスマートフォンを強化する試みとして、同社のV50 ThinQにはデュアルスクリーンの付加装置があります」

フレキシブルな画面のユースケースは幅広い消費者およびB2Bの範疇を包含しているかもしれないが、中でもスマートフォンは最もフレキシブルな画面の恩恵を受けるデバイスである可能性が高い。スマートウォッチ、タブレット、TV、ヘッドマウントディスプレイ、自動車、ビデオウォールはいずれも Futuresourceが追跡しているフレキシブルな折りたたみ式ディスプレイの見込みがある品々だ。だが、スマートフォン市場の規模と急速なライフサイクルは、他の多くの製品よりも速やかに財政的な恩恵を得られるであろうとの可能性を示している。

消費者のきっかけ

「美的な魅力はスマートフォンの購入を訴えかける主要な要素です」とスミスは言う。「そして折りたたみ式ディスプレイはより多くの選択肢とより大きな消費者への魅力を持っています。たとえ耐久性に対する実用的な利益があまり明らかでないとしても。スマートフォンのデザインは過去10年でほとんど変化していません。そのためフレキシブルな画面は、現在の標準である長方形からの進歩の可能性を提供してくれます。フレキシブルな画面は新たな宣伝文句を築き始めたところで、正しく位置づけられさえすれば、消費者の心と手をすぐにも捉えることができるでしょう」

「それに、フレキシブルなディスプレイが保護ガラスのカバーではなくプラスチックを採用すれば、さらなる耐久性を期待できます。プラスチックは水や埃により耐えることができ、落としても割れにくい傾向があります。このことは消費者にとっても売り手にとっても良いことで、保証のもとでのスマートフォンの交換や修理のコストを減らし、消費者は高価なデバイスをより一層信頼し、この技術は日常生活で起きるどんなことにも耐えられると信じることができるようになります」

「とは言え、デバイスは何度も折りたたんだり、曲げたり、ねじったりしていると、絶え間ない反復的な負荷にさらされることとなります。そのため極端な使用条件下でそうした製品がどのように機能するかはまだわかりません。破損は不可避なものですが、フレキシブルなスマートフォンを採用したいという消費者の気持ちを弱めずにはいられません。信頼性と安全性が発売時から確保されている必要があります」

コストと製造上の問題点

フレキシブルな画面の製造コストが高いことは、スマートフォンが非常に高価格で販売されるという結果をもたらす(Mate XやSamsung Foldの小売価格のように)。これは部分的にはその他の技術的革新の結果でもあり、とりわけ5Gモデムが高価格を要求している。だが同時にフレキシブルな画面はかなりの製造コストを売り手に押しつける。このことは発売時点での一般大衆の購入を妨げるものであり、2019年にフレキシブルなスマートフォンを購入するのは裕福で熱心なアーリーアダプターのみということにもなりかねない。フレキシブルな画面の技術がありふれたものになるにつれて、競争圧力によって価格低下が起きるだろう。

画面だけでなく、その他の部品もフレキシブルな形状の要素と適合するように作られる必要がある。とりわけバッテリーは。折りたたみ式デバイスにとっては大きな問題ではないが、スマートフォンが丸められるデザインに移行し始めたら、バッテリは最大の課題となるだろう。非常にフレキシブルなリチウムイオンバッテリー技術は、スタートアップ企業から多国籍企業に至るまでの幅広い企業によって開発中だが、多くの企業は現在ウェアラブル端末のような比較的小型で電力消費の少ないデバイスに取り組んでいる。

「その他の主要な部品に関して考慮すべき点は、SoC(システム・オン・チップ)やカメラモジュール、メモリー、ストレージです」とスミスは言う。「フレキシブルなスマートフォンへの道を進み続けるならば、そのいずれもフレキシブルデバイスに搭載可能となる必要があります」

折りたたみの未来

「私たちは新たな折りたたみ式スマートフォンの時代の入り口に差し掛かっているのかもしれません」とスミスは言う。「Appleは新たな製品カテゴリーの先駆者であるとずっと思われてきましたが、しかし今回はApple以外の市場が前進しているようです。MWCで公開された試作品は、発売前の後期における研究開発のロードマップを示しています。Huawei、TCL(Blackberry)、Galaxyや中国のブランドOppoはいずれも参加の用意があり、LGは自社の折りたたみの技術を待機させ続けています。おそらく最大の決定要因がまだ解決されねばなりません。折りたたみ式デバイスの消費者需要は未知のままで、そうした需要が存在するかどうかは時間のみが教えてくれるでしょう」

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