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Vol.172012年3月8日

ホームエンターテイメント市場内の動き

景気低迷の折ながら、ホームエンターメイントの世界市場は、ハードウェアとコンテンツ両部門においてまずまずの業績を保った。2011年は厳しい年ではあったが、他の部門との比較においては好調であったと言えよう。

TVの売り上げは若干減少したものの、タブレット・Blu-rayプレーヤー・スマートフォンは順調な伸びを見せた。

コンテンツでは、パッケージメディアは約5%減となったが、オンラインでの売り上げは前年比3分の1以上の伸びを見せた。しかしながら、総額に占めるオンライン収益はわずかなもので、全体としての成長を促すには及ばなかった。

着目すべきは、コンテンツに費やされている金額よりも、「どのように」「どこで」「いつ」楽しまれているかという動向に劇的な変化が起こっていることである。

新しいハードウェアやサービスの提供、そして広範囲でインターネット接続が可能になってきていることで、消費者の動向に急速な変化が起こっている。Futuresourceでは、米・英・仏・独での消費者動向調査を定期的に実施し市場の変化を追っている。

変化の最大要因は、所有するインターネット接続デバイスの数が増えていることである。一度に一つのデバイスだけを使用するという制約には縛られない傾向も顕著になってきている。これは主に携帯電話とタブレットによる波及効果だが、ラップトップPCなども影響している。

最新の調査で目を引くのは、英国では半数以上が何らかの動画コンテンツをオンラインで楽しんでおり、4分の1以上は「少なくとも時折」携帯電話で動画を視聴しているという実態である。

どのデバイスにおいても、YouTubeのような動画投稿サイトが最も人気で、全体的傾向として、映画やTV番組はタブレットで、ミュージック ビデオ・ニュース・スポーツはスマートフォンで楽しまれている。

どうしてオンラインで視聴するのかという問いには、「充実したコンテンツ」「選べる視聴環境」が主な答えとなっている。英国では、BBC iPlayerが縛られない視聴に大きく貢献しており、SkyGoも携帯電話をはじめとした携帯デバイスでの視聴を促している。

インターネットTVの開発で大画面での視聴が可能となり、オンラインコンテンツサービス成長の妨げになるであろうと最も危惧されていた障害の一つが取り除かれた。英国では、人気アプリがインターネットTVによるiPlayer視聴を促しており、60%近くのインターネットTV利用者がオンデマンド(catch-up)でBBCの番組を楽しんでいる。

今、注目を集めているのは、2番目のスクリーンである。 消費者は、複数のデバイスを使い効率的に視聴を楽しんでいる。TV画面では映画を鑑賞しながら、iPad・携帯電話・ラップトップPCでは、Facebookやスポーツのハイライトにアクセスしているのである。調査の全回答者の半数近くは、主に退屈防止にTVを見ながら別のデバイスを使っている。セカンド デバイスを使う理由として、「番組に参加していると感じたいから」と答えている人たちがいることは興味深い。この割合は現在10%と少ないながらも、今後、ライブでの投票やソーシャルネットワークシステムを利用した番組が市場牽引の一役を担うかもしれない。

いつでもどこでも視聴できるという特性により、異なったデバイスやプラットフォームで楽しめる幅広いジャンルのビデオエンターテイメントへの関心が高まっている。インターネット接続デバイスの所有者が増えていることで視聴機会が広まっており、オンデマンドTVを含めた動画配信サービスの需要増を促している。自宅そして移動中の人々の興味をいかに引くかという競争が今までになく激しくなってきている。

セカンド デバイス、ハードディスクドライブの利用、オンデマンドTV視聴というトレンドは、とりもなおさず、広告主にとっては、視聴者の注意を惹きつけるためにより一層斬新なアプローチが必要となることを意味している。