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Vol.042011年8月30日

日本のTV市場再興に向けた新ビジネスモデル

アナログ放送終了とエコポイントが、日本のTV市場に大きな影響を及ぼした。今後は、IPコネクティビティによるオンライン ビデオ サービスへのアクセスが、需要増をもたらす要因となるであろう。

2010年、日本のTV販売台数は約倍増し、2500万台以上に及んだ。これは、地上アナログ放送から地上デジタル放送への切り替え時期であったことにもまして、政府が推進したエコポイント制度によるところが大きい。2009年5月開始のエコポイント制度は、2度に渡り延長され、2011年3月まで続いた。この制度終了に伴い、2011年には、1000万台以上の落ち込みが予測されている。2012年、2013年と、需要は若干減少すると思われるが、エコポイント導入以前の販売台数と比較すれば、少なくとも15%以上のレベルを保つであろう。2014年以降には再度上向きに転じることは想定の範囲内である。これは、フルHD・3Dレディ・LEDといった魅力的な機能が高需要を引き続き維持すると予測されるからであるが、それにもまして、IPコネクティビティが、今後の市場を大きく左右すると考えられる。

日本は、IPTVの販売においては世界をリードしており、2009年にはTV総販売台数の44%のシェアを占めた。2013年までには100%に至ると見込まれ、ヨーロッパやアメリカの2~3年先のレベルで進んでいる。既に現在50%の日本の家庭では、IPコンテンツへTVから直接アクセスできる環境にあり、2014年までには90%以上に伸びると予測される。現在、40%~50%のIPTV所有者が、実際にインターネットに接続していると考えられている。これは、このプラットフォームでより魅力的なサービスを提供するに値する十分な顧客ベースであると言える。

代表例が、2007年開始の有料サービス「アクトビラacTVila」(TVメーカーによる共同事業)で、現在250万人以上が利用している。映画やオンデマンドTV番組のダウンロードのみならず、ゲームやニュース、天気予報といった情報にもアクセスできる。他には「TSUTAYA TV」などがある。また、主要テレビ局は、見逃し配信を開始している。

2011年8月には、米国のオンライン ストリーミング サイトHuluが、年内に日本で動画配信サービスを開始すると発表した。待望視された初の国外進出である。世界のトップクラスであるブロードバンド平均接続速度、スマートフォン利用者数に加え、インターネットTVの高需要を誇る日本は、Huluや他のコンテンツメーカーにとって魅力的な市場と言える。

日本最大の広告代理店「電通」は、民放テレビキー5局と共同で、広告料を運営資金の一部としたVODサービスを2012年から手掛ける予定である。このサービスでは、各局サイトに個別に接続する手間が省け、一画面で多局のTV番組やコンテンツを選択し視聴できる。これまで、他の主要国と比べ、チャンネル数(番組数)が限られていた日本市場であるが、会員料(視聴料)や広告料で支えられた新しいビジネスモデルが、IPTV向けのコンテンツ配信 プラットフォームの開発を助長し、ひいてはTVの高需要維持につながるであろう。

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