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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

vol.1942019年12月31日

2023年までにバーチャル アシスタント製品が出荷ベースで25億ユニットを超過

Futuresource Consultingの最新レポートによると、バーチャル アシスタント(VA)市場が引き続き強い成長の勢いを示している。バーチャル アシスタント製品の出荷は対前年比で25%増加し、2019年に11億ユニットに達した。市場はこのまま拡大し、2023年までに出荷ベースで25億ユニットを超過する見込みである。

Futuresource Consulting主席テクノロジー アナリストのSimon Forrest氏は、「バーチャル アシスタント市場の成長の勢いは一向に衰えず、家電および自動車分野全体において一般的な機能となっています」と述べている。「実際、2020年には音声対応製品の出荷が、音声対応機能のない製品を上回る見込みです」

主要なアシスタント プラットフォーム全体において、AppleのSiriが現在全世界で35%のシェアを占めている。iPhoneが引き継続き好調なのと、新たにリリースされたAirPods Proによるものだ。Google AssistantおよびAmazon Alexaは、自社製品に組み込まれて出荷されていることもあり、それぞれ9%と4%のシェアを保持している。Microsoftは、XboxからCortanaを除外したが、Windows 10 PCのシェアが高いため、Cortanaは全世界で22%のシェアを得ている。Microsoftは、Cortanaのターゲットとして企業により重点を置き、Office 365やその生産性向上ツール郡との連携を強化する戦略に切り替えようとしている。中国では、BaiduのDuerOSが対前年比で6%という最も大きな成長を示し、2019年に15%の市場シェアを獲得した。

現在の製品の中には複数のアシスタント機能に対応しているものがあり、通常は、消費者が好きな音声システムを選択できるように設定オプションが用意されている。しかし、複数のアシスタント機能に同時にアクセスできる製品は限られている。「当然ながらバーチャルアシスタント ベンダーは、連携に消極的です」と、Forrest氏は述べている。「しかしこの状況は、Voice Interoperability Initiativeプログラムの確立に伴って変わると思われます。このプログラムは、音声対応製品に対して、相互に連携可能な複数の音声サービスを顧客が自由に選択できるようにすることを求めるものです」

地域別に見ると、アジア太平洋地域は、1年を通じて高い実績を示している。Alibaba、Baidu、Xiaomiなどの企業が中国語アシスタント機能の普及率を高め、「組み込み」アシスタント機能市場で43%のシェアを占めている。EMEAおよびアメリカ地域では、Amazon、Apple、Google、Microsoftが引き続き市場を支配し、Siriがトップを維持している。Google AssistantもEMEA全体にサポートを拡張したため、大きく成長している。

機械学習機能の向上によって、会話モデルのサイズが大幅に減少している。「家電製品を強化するシリコンチップにニューラル ネットワーク アクセラレータが組み込まれたことに加え、会話モデルのサイズ減少によって、バーチャル アシスタント機能は、クラウドに常時アクセスすることなくデバイス自体で独立して動作できるようになりました」とForrest氏は説明している。「そのため、プライバシーが強化され、全体的に遅延が少なくなったことで会話能力も向上しています」11月には、Amazonがクラウドに新たなバーチャルAlexa組み込みソリューションを構築して製品のハードウェア要件を緩和したことで、マイクロコントローラクラスのデバイスが音声エコシステムに参入できるようになった。

音声合成における技術革新は継続している。「文字/音声変換機能のニューラル テクノロジーへの移行により、強弱、リズム、イントネーションのパターンを再現したより自然な音声が作成されるようになります」とForrest氏は述べている。「Amazonは一歩先の段階に進んでおり、Alexaに感情を導入し、顧客の気持ちに理解を示すように進化させています。音声テクノロジーにおけるこれらの進歩は、初めは表面的なものに思われるかもしれませんが、ロボットの声ではない自然な音声によって、消費者はバーチャル アシスタント機能のさらなる向上を期待し、より魅力を感じるようになるでしょう」

バーチャル アシスタントは、文脈に応じた知性を備え、高度な会話ができるプラットフォームへと変わり始めている。現在のバーチャル アシスタントは呼ばれるまで黙っているが、次世代のバーチャル アシスタントは、正確なタイミングで関連した情報を知的に挟み込み、単純なコマンドアンドコントロールのメカニズムを超えて、さらに実用性を高めるものにならなければならない。それが達成できれば、消費者がバーチャル アシスタントの能力をさらに追求してさまざまな利用方法を見出すようになり、音声対応機能は、家電に常備される機能として定着するであろう。

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