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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

Vol.1322017年2月15日

イノベーションによりオーディオ市場は更なる高みへ

Futuresource Consultingによれば、ワイヤレス・オーディオ機器およびヘッドフォンの販売は今でも活況を呈している。そして、ボイス・パーソナル・アシスタント (VPA) スピーカーや多機能ヘッドフォンなどの開発結果によって、更なる成長が見込まれていると報告されている。

EchoやGoogle HomeといったVPAスピーカーによって、日常的なタスクがより容易になることから、Wi-Fiスピーカーが家庭の中心となる可能性がある。Futuresourceでは、2017年に世界全体で出荷されるWi-Fiスピーカーの79%が、音声アシスタンス機能を備えていると予測している。VPAによって、新しい方法でユーザーが他の機器やサービスとやり取りを行うことが期待されている。これはワイヤレス・スピーカー販売における大幅な成長ばかりでなく、他のスマートホーム機器の使用頻度増加につながる可能性がある。AmazonがEchoで最初に参入したが、Alexaを採用した別のデバイスも、Sonos、LG、Denon、Jam Audioなどのブランドから間もなく登場し、その一方でGoogleは自前のスピーカーを展開しようとしている。しかし、オーディオ・ブランドが直面するであろうひとつの課題は、音声のやり取りによって所有者がブランドのユーザー・インターフェイスを迂回できるデバイスにおいて、ユーザー・インターフェイスを差別化する方法である。

Futuresourceでは、2017年のワイヤレス・スピーカー市場は、20%成長して8,400万台となり、このうちBluetoothのみのモデルが80%を構成すると考えている。Bluetoothが持つシンプルさは人気が高く、また相対的に安価でもある。スマートフォン所有は、北米と西ヨーロッパで飽和状態であるかもしれないが、この地域のスマートフォン所有者でも持っている端末から音楽を再生するためのスピーカーの購入を望んでいる。それ以外の地域では、スマートフォン所有は依然として大幅な伸びとなっており、ワイヤレス・スピーカーやヘッドフォンの販売機会を提供している。

ヘッドフォンもまた、多くのイノベーションの対象となっており、このイノベーションが市場の2017年の取引金額を全世界で138億ドル、前年と比較して7%の成長と見積もる原動力となっている。Futuresourceのデータでは、より多機能なモデルに対する消費者需要のおかげで、平均価格は上昇していることが明らかとなっている。2016年第3四半期だけでも、「iPhone 7からイヤホンジャックをなくす」というAppleの発表に伴って、ワイヤレス・ヘッドフォンの需要は前年同期比で75%上昇して1,800万台となった。同じ期間でスポーツモデルの販売も、数量ベースで53%、売上高ベースで96%急成長した。このようなイノベーションの結果として、小売店舗でヘッドフォンに使われる平均金額は37ドルとなり、2016年に推定9%上昇した。

オーディオの他分野では、消費者が大画面テレビの視聴体験をより良くするシンプルな音響ソリューションを求めていることから、サウンドバーの需要が引き続き伸びを示している。推定1,600万台が2016年に販売され (+15%)、25億ドルの収益を生み出した。北米が依然として、世界全体の需要の半分超を占めているが、この地域での伸びは、市場が飽和するにつれ鈍化している。西ヨーロッパにおける需要も、テレビ本体の需要が伸び悩んだことも一部影響して、2016年は伸びが鈍化した。しかしヘッドフォンと同様に、1,300ドルのSamsung HW-K950など機能を拡張したモデルが登場しており、販売価格は予想以上に押し上げられた結果となっている。2016年第3四半期に販売されたサウンドバーの10%は、500ドルを超えるモデルであった。

また、サウンドバー、ワイヤレス・スピーカー、Hi-Fiシステムといったオーディオ・ハードウェアへのGoogleCast搭載も増加している。これによって、すべてのCast対応スピーカー間で互換性が生まれる。過去2年にわたって、往々にして互換性のない独自テクノロジーに依存したマルチルーム・スピーカーの相次ぐ発表で、混乱の渦中にあった消費者は、この登場を歓迎している。GoogleCast搭載機種は2016年に登場し、Sony、LG、Onkyo、Philips、JBLといった様々なブランドがすでに販売を行っている。最近ラスベガスで開催されたCES 2017では、ハイレゾ・オーディオも宣伝された。より高品質なオーディオに対する未開の需要が存在することは疑いの余地はないが、ハードウェアの取り込みとベンダーサポートという点では、このイニシアチブには依然としていくらか課題が残っている。

ハイレゾ製品は、2016年の世界全体の家庭用オーディオ・ハードウェア出荷台数の約4%、売上高はそれより多い11%を占めた。ハイレゾ・ハードウェアの伸びは、より手に届きやすい価格の製品、容易にアクセス可能なコンテンツ、さらなるユーザー教育の展開にかかっている。SamsungによるHarmanの買収、TesseraによるDTSの買収など、革新的なオーディオ・テクノロジーが注目されていることを最近の企業買収は示しているので、今後のこの分野における発展を楽しみに見守っていきたい。

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