完成品の「パンク激減・ご機嫌チューブ」。外見は一般の自転車用チューブと同じ。取付方も同じだ。
一心助け 株式会社は、CEATEC JAPAN 2017に出展し、自社開発の「パンク激減・ご機嫌チューブ」と、立体的な認識による交通安全用の路面標示板を出展する。
「パンク激減・ご機嫌チューブ」は、同社が開発した自転車用の特殊チューブ。悪路におけるパンクの発生率を劇的に減らす効果がある。1回の空気注入だけで、長期間にわたり悪路や段差を含めた3,000kmを走行し、一度もパンクが発生しなかったという実績を持つ(北海道の稚内市から沖縄県の那覇市までの直線距離 約2,400km)。
すでに10年前に特許を取得している。発明者で同社代表取締役の鈴木英雄氏は、関心のある事業者、自治体、海外メーカーなどと柔軟な連携を築いていきたいという。「悪路の比較的多い観光地でのレンタサイクルでの利用促進、海外の発展途上地域での販売提携、さらには、製造ライセンスのパートナーなど、ぜひ会場で気軽に相談してほしい」
■緩衝材としてタイヤの廃材を再利用
鈴木氏は「パンク激減・ご機嫌チューブ」開発のねらいを次のように話す。
「自転車がパンクする原因の8割以上は、リム打ちという現象による。これは、走行中に地面から衝撃を受けたとき、リムとタイヤ内のチューブが摩擦することによってパンクするもの。悪路などを走ったときや、チューブ内の空気圧が下がってタイヤとチューブの間に隙間ができると摩耗しやすい。当社の『パンク激減・ご機嫌チューブ』は、チューブ内にタイヤゴムの破砕チップを緩衝材として入れることにより、パンクの発生率を激減させることに成功した」
■揮発性化合物で安全対策も
タイヤゴムの破砕チップの大きさは、3mm四方程度。通常のチューブにチップを入れるための穴を開け、一定量入れて密封。通常通り空気を入れて使用する。
チューブに入れるチップの量は、チューブの直径や走る道路の状況によって多少異なる。「26インチのいわゆるママチャリの場合、チューブ一本に150グラムから300グラムを入れる。悪路の多い場合のほうがたくさん(チップを)入れる。ロードバイクの場合は、60グラムから100グラム程度」という。
実際には、破砕チップだけを入れておくと、チューブ内に熱が溜まり、破裂してしまう。そのため、破砕チップの他に熱が蓄積しないようにするための揮発性の化合物を挿入している。
「パンク激減・ご機嫌チューブ」を使用したタイヤの外観。タイヤのゴムがすり減るほど、長期間にわたりパンクがないという。
■遠心力でチューブとタイヤを密着
リム打ちによるパンクを防ぐためのこのほかの方策として、チューブ内を空気以外のもので満たす方法もあるが、同社の製品は基本的には空気を入れてあるため軽く、乗り心地は通常のタイヤとほぼ同じ。また、空気の弾力が道路からの衝撃をリムに直接伝えないため、リムの破損もない。
しくみは次のようなものだ。
自転車を運転してタイヤが回転したときに発生する遠心力で、 チューブ内にある破砕チップがチューブに密着する。チップの重みでチューブの外側に圧力がかかり、チューブとタイヤがぴたりと密着する。
これによって、 前述の「タイヤがパンクする原因」である、タイヤとチューブの間の摩擦がおきないようになる。
■「3年〜5年パンクなし」の実績多数
すでに多くの実績を重ねている。1回の空気注入で、悪路や段差を含めた3,000kmを走行し、空気圧の低下もなく、1回もパンクしなかったという。また、2008年には学習院大学の学生によって実施したサハリン自転車ツアーでは、サハリンの悪路を走行して一台もパンクせずに帰国した。このほか、国内外での利用実績によると、悪路の通行でも3年から5年はパンクしないで利用しているという実績を持つ。
■環境対策でも高評価
「自転車は、燃料を使わないため排気ガスも出ない。それ自体がエコであると同時に、毎年100万トン以上も発生する廃タイヤの再利用としても強力な環境対策といえる。廃タイヤを燃やすことによるCO2発生、不法投棄による環境汚染の悪影響を減らせるからだ」
こうした効果が認められ、2014年には「第26回中小企業優秀新技術・新製品賞」で奨励賞を受賞している。
■観光地のレンタサイクルや発展途上国での自転車利用促進に
カンボジアのラオスで悪路を通学する中学生に無償で寄贈している。寄贈後、パンク報告はないという。写真はお礼の手紙とともに届いた写真。
一心助けではすでに10年前に特許を取得し、自社でチューブの製造・販売をしているほか、今後、製造ライセンスを提供する用意もあるという。
「多様な観光地の楽しみ方を海外からの旅行者に提供する方法の一つとしてレンタサイクルが増えているが、自然豊かな観光地ほど悪路も多い。パンクの発生率を下げることができれば、ランニングコストの低減につながる。また、海外の発展途上の地域では、自転車で遠路を通学する学生も多い。経済発展へ向けた低・中所得者への教育の普及・促進という意味でも、パンクしないタイヤの存在は助けになると考えている。環境問題、健康問題、経済問題といったさまざまな課題解決の一助になれば嬉しい」(鈴木氏)
■平面画像の立体認識技術と製品による交通安全&広告効果
通行区分帯など道路面に設置する塩化ビニール製の交通標示板。立体的に見えるため、視認性が高く効果的。
一心助けはこのほか、通行区分帯など道路面に設置する塩化ビニール製の交通標示板を出展する。平面画像でありながら、あたかも立体物があるかのように見せることができ、これにより走行中の通行区分帯から区分帯に侵入させにくくさせる効果がある。
同様にレジ等の順番整列帯やゾーンなど、私有地や店舗内などでも利用可能。好きな画像や文字により表現できるため、エンターテインメントなどでも利用も可能という。
(株)一心助け(ベンチャー&ユニバーシティエリア)
- 展示エリア
- 特別テーマ エリア
- 小間番号
- S10-64
- URL
- http://www8.plala.or.jp/tasuke/
- 出展者詳細
- http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=9725