サムテックは10月3日から6日まで幕張メッセで開催するCEATEC JAPAN 2017に出展する。同社は埼玉大学工学部の小林禧夫名誉教授による埼玉大学発ベンチャー企業。CEATECでは、世界で最も信頼性が高いといわれる「IEC国際標準規格」による誘電率測定方法や、これらの特性評価のための数値解析アルゴリズムを用いて取得する測定データが持つ社会的な重要性について紹介する。
ICT/IoTを支える通信インフラの超高速伝送化が進む中、電子回路基板の多層化や伝送線路の高密度化への要求レベルも高まってきている。そうした中、超高速データ伝送用電子デバイスの開発にける回路設計シミュレーションは、高精度かつ高確度な測定データを可能な限り短期間に取得することが求められている。誘電体材料の測定の精度・確度の高さが開発効率を大きく左右するという。
サムテックはIEC国際標準規格の測定方式に準拠した誘電体材料の誘電率や誘電損失・金属導体や高温超伝導体の表面抵抗比導電率を高精度に解析計算するクラウドサービス「SUMCLOUD-RFCALC」と、通信用電子回路フィルタの開発現場や研修において回路設計シミュレーション時間の短縮を支援するための通信用電子回路フィルタ設計支援クラウドサービス「SUM-FILTER」を展示紹介する。
サムテック(有) マイクロ波・ミリ波材料測定事業部取締役事業部長の小林創太郎氏は「世界で最も信頼性が高いIEC国際標準規格に規定されている高精度かつ高確度な誘電率測定方法、およびこれら特性評価のための数値解析アルゴリズムを用いて取得する測定データが持つ社会的な重要性について認知してもらいたい」と話す。
ブースでは、各サービスのデモとIEC国際標準規格に基づく最新の誘電率測定データの解析評価に関する解説、測定精度[Precision]と測定確度[Accuracy] の違いに関する解説を行う予定だ。
■IEC国際標準規格の測定方法に準拠
電子材料誘電特性解析計算クラウドサービス「SUMCLOUD-RFCALC」利用イメージ
電子材料誘電特性解析計算クラウドサービス「SUMCLOUD-RFCALC」は、IEC国際標準規格に準拠した測定法に基づいて、誘電体材料の特性を厳密に解析しデータ取得する一連の計算処理を、DaaS方式で提供するサービス。超高速伝送対応の電子デバイス製品向け電子材料開発・回路設計する際に、高確度な国際標準規格に基づいてデータを再取得し、過去に従来の測定システムを利用して取得した誘電体材料の誘電特性・導電特性測定データと比較して見直しチェックする一連の処理をクラウド上で行うことできる。
また、通信用電子回路フィルタ設計支援クラウド「SUM-FILTER」は、共振器直結型帯域通過フィルタ (BPF) の設計パラメータ仕様値(段数 n、中心周波数 f0 、帯域内リップル RW、阻止域最小減衰量 SBmin 、帯域幅 BW)から結合係数 kijと外部 Q, Qeを計算し、これらの計算結果データを基にフィルタ特性タイプ別の周波数応答波形をプロット出力表示する一連の処理をクラウド上で行うことができる。
■IEC国際標準規格に規定されている測定手法の重要性をアピール
今回のCEATECの出展のねらいについて小林氏は次のように話す。
「ICT / IoTを支える通信インフラの超高速伝送化がグローバル規模で進むほど電子回路基板の多層化と伝送線路の高密度化の実装に対する要求レベルが厳しさを増している。そのため、厳密な数値解析を用いて、誘電体材料の誘電率 [εr] および誘電損失 [tanδ]、表面抵抗 [Ω]、比導電率[σr] の高精度かつ高確度な測定データを可能な限り短期間に取得して回路設計シミュレーションを行わなければならず、超高速データ伝送用電子デバイスの開発効率に支障をきたす状況にある。我々は、CEATEC JAPANに出展することで、世界で最も信頼性が高いIEC国際標準規格に規定されている高精度かつ高確度な誘電率測定方法、およびこれら特性評価のための数値解析アルゴリズムを用いて取得する測定データが持つ社会的な重要性について認知してもらいたいと思っている」
「2010年以降、欧米の研究者・開発者により計測における測定精度[Precision] と測定確度[Accuracy]の峻別評価の重要性が高まっている」(小林氏)。ブースでは、測定精度[Precision] と測定確度[Accuracy] の違いと最新のIEC国際標準測定の動向について展示にて詳しく解説紹介するという。
■今後は、クラウドサービスのセキュリティ対策を加速し、利用拡大を狙う
同社の誘電率測定システムは、既に電子材料誘電特性解析計算ソフトと通信用電子回路フィルタ設計支援ソフトとしてCDパッケージ販売により、国内外の電子基板材料メーカー、電子回路設計会社、電子部品メーカー、素材開発メーカー、および国や大学の研究機関へ多数の導入実績があるという。
今回展示するクラウドサービスについては、実績ある欧米企業との間でのクラウド基盤技術に関するパートナーシップに立脚した上で、通信暗号化対応や多重ファイアウォールによる防御などセキュリティ対策を実施することで、パブリッククラウドサービスとして利用拡大していく予定だ。
サムテック(有)
- 展示エリア
- デバイス・ソフトウェアエリア
- 小間番号
- D211
- URL
- http://www.sumtec.biz/
- 出展者詳細
- http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=9630