清水建設株式会社は2030年の未来の「まち」をテーマとした企画展示エリア「Society 5.0 TOWN」にて「未来のまちをつくるスマートイノベーション」をテーマに、AI、IoT、ロボット等の技術を活用した最新のまちづくりと、オープンイノベーションの事例を紹介した。
豊洲エリアでスマートシティプロジェクト
「Society 5.0 TOWN」のブースでは、豊洲エリア(江東区豊洲1~6丁目)の大型模型が展示された。
清水建設は大規模複合開発計画として、同社の開発・設計・施工により「豊洲六丁目4-2街区・4-3街区」において、大規模賃貸オフィスビルと豊洲エリア最大規模のホテルを核とする総延床約11万6千平方メートルの一体複合開発を展開。今年4月に着工し、2021年3月の竣工を目指している。
豊洲地区は今年5月、国土交通省のスマートシティモデル事業において、先行モデルプロジェクト(15事業)に選定され、同社は、東京都、江東区、三井不動産株式会社とともに、豊洲スマートシティ連絡会を設け、スマートシティのモデルとなる街づくりを目指している。
ブースでは、新技術・データを活用した都市・地域の課題解決の取り組みを紹介した。
豊洲地区は、急激な人口増加やインバウンド増加に伴い豊洲駅の混雑等の交通課題が顕在化している。
課題解決のため、移動に関わるオープンな交通データ基盤を整備し、交通渋滞情報の可視化等の実現を目指す。
主なルートは決まっているが乗降車場所をフレキシブルに対応する“呼べば来る乗り合いバス”オンデマンド型バスの導入もその一例だ。
車いす利用者に対応した屋内外ナビゲーション・システム
同社は、誰もが暮らしやすい未来へ向け、車いす利用者や視覚障害者の円滑な移動を支援する屋内外ナビゲーション・システムを2016年に開発。
位置測定機能・音声ナビゲーション機能・対話機能を備えたスマートフォン・アプリ、空間情報データベース、位置情報インフラが協調して、屋内外を継ぎ目なくナビゲーションするもので、利用者の円滑な移動をサポートする。
今月、三井不動産株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社との共同でCOREDO室町1・2・3を対象とした屋内測位環境を構築し、バリアフリーナビゲーション「インクルーシブ・ナビ」のサービスを実装した。
利用者の属性を指定すれば、視覚障害者には音声案内、車いす利用者には段差のない経路を案内するなど高精度で適したルートを案内する。
空港、観光地への普及が進めば、視覚障害者の人でも一人で初めての街を歩きやすくなると期待を寄せている。
施設内移動も完全自動運転へ
清水建設は車両の自動運転支援システムを開発し、実証実験に着手している。
自動運転技術は将来的に、施設や街区内での人や物の移動・搬送での活用が予想されることから、施設側の自動運転管制・監視機能をプラットフォーム化することで、施設内を移動する自動運転車両やロボットなどと連携させる自動運転プラットフォームの研究開発を進めている。
実証実験では、自動運転技術の開発を手がける株式会社ティアフォーの自動運転車両「Milee(マイリー)」を活用。
「Milee」は電動ゴルフカートをベースとした車体に3次元レーザースキャナと単眼カメラをセンサーとして搭載し、認知・判断・操作のすべてをオープンソースの完全自動運転ソフトウェア「Autoware」で自動化した車両。
車や人を検知し、危険を予知する。
建物などの施設との連携実験では、自動運転車両の運行管理システムはクラウドサーバーを介して連結。
車両の走行状況に応じて、シャッター、回転灯などの建物設備を自動制御する。
10月19日、20日には、東京ガス不動産株式会社主催の地域イベント「新豊洲SPORT × ART FESTIVAL 2019」内で、歩行者ナビと連携した自動運転車両走行の体験会を実施した。
同社は「CEATEC 2019」出展を通じて、建設会社として様々なニーズを先取りしスピーディーに対応するため、オープンイノベーションで各企業との共創を図りたいとしている。