AGC株式会社は CEATEC 2019で次世代高速通信(5G)と次世代ディスプレイ(AR/MR)の2つの分野を軸にした展示をしている。
窓を基地局化するガラスアンテナのサービスエリア提供を開始
携帯各社が設置しているスモールセル基地局用のアンテナは日々増設が必要とされている中、建物の屋上や壁面は設置場所が限定され、さらに街の景観を損ねることが課題になっている。
そんな中、株式会社NTTドコモとAGC株式会社は、両社で共同開発して電波送受信が可能なガラスアンテナを都内のビル窓に設置。「窓の基地局化」を行い、4G LTE向け携帯電話向けのサービスエリア拡充を10月1日に開始した。ガラスアンテナを用いたこのサービスエリアの提供は世界初の試み。
ガラスアンテナの特徴は既存の窓に透明なアンテナを設置するため、町の景観を損なわないほか、建物の内側から施工するため、足場設置や土台工事も不要。さらに自在な設置個所により柔軟にエリア設計が可能になっている。両社は今後商用サービスが開始される5Gに対応したガラスアンテナの開発も行っている。
自動車や鉄道などの車室内で、安定した5G通信を世界で初めてガラスアンテナで成功
ドコモ、AGC、エリクソン・ジャパンが共同実験。自動車や鉄道などの車室内やでの安定した5Gによる高速通信を『ガラス一体型5Gアンテナ』で実現。
5Gの普及に伴い、自動運転や車載器によって常時通信状態になる自動車が一般的になっていくことが予測される。しかし自動車の車体にアンテナを設置する余裕は少なくなってきている。
この悩みを両方解決できるのが『ガラス一体型5Gアンテナ』。
展示されているものは全部で3種類。ガラスの縁に取り付ける『オンガラスアンテナ』、小型化した『合成石英ガラスアンテナ』、そして最も小型な『フレキシブルアンテナ』。
ブースには実際にガラス一体型5Gアンテナを設置した自動車を展示している。
ルームミラーの背面上部、後方左右にガラス一体型5Gアンテナがあり、内装のデザインに溶け込み、視界を遮ることなく設置されている。
『オンガラスアンテナ』、『合成石英ガラスアンテナ』は走行試験で通信に成功している。
屈折率が高い次世代ディスプレイ用のガラスを開発
もう一つの展示である次世代ディスプレイ(AR/MR)用の『3Dセンシング部材』と『高屈折率ガラス』。
『3Dセンシング部材』の特徴は近距離でも均一に幅広く、必要な形に拡散させることが可能。さらに無機物で作られているので高い温度でも性能を維持することができる。
『高屈折率ガラス』の特徴は、もちろん屈折率が通常よりも高く作られている。
屈折率が高いほうがより取り込んだ画像を正確に表示することが可能。さらに板厚のばらつきがなく、ほとんど平らに作られている。
今後はスマートグラスや車載ヘッドアップディスプレイ用部材として展開予定だ。