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広島名産・牡蠣(かき)の危機を救え! IoT活用で養殖漁業の課題に取り組む

カテゴリー : トータルソリューション

広島県の企業や大学・自治体が参画するコンソーシアム「スマートかき養殖IoTプラットフォーム」がCEATEC 2019に出展し、牡蠣養殖に関わるユニークな取り組みを紹介している。

試行錯誤の場「ひろしまサンドボックス」でのユニークな取り組み

広島県は、県内企業が最新テクノロジーを活用して新たな付加価値創出などに取り組めるよう、内外から広く企業や人材を呼び込み、課題解決のために試行錯誤できるオープンな場として「ひろしまサンドボックス」を構築、2018年度から3年間で10億円規模を想定して実証実験などを行っている。
ここで採択されたテーマのひとつが、東京大学情報学環の中尾彰宏教授(広島県出身)が代表を務める「スマートかき養殖IoTプラットフォーム」だ。

牡蠣養殖は、「採苗」のタイミングが重要

牡蠣養殖では、水中に産み落とされた牡蠣の幼生が、ある程度の大きさに育ったタイミングで、ホタテの貝殻などを海中に下ろしてその表面に付着させる「採苗」という作業が非常に重要だ。
タイミングを誤れば、牡蠣がとれないばかりか、せっかくついた牡蠣がフジツボの幼生に駆逐されてしまう場合もあるという。天然の資源量が低下するなか、どのタイミングで採苗を行うかは死活的に重要な意味を持つ。それを見極めるためリソースを持ち寄り、できることはぜんぶやってみようというのが、このコンソーシアムのめざすところだという。

電力会社まで参画 多彩な知見が結集

参加企業は多彩である。シャープはデータ端末となるスマホを提供。ルーチェサーチは海色変化を検知するドローンを運用。NTTドコモは通信。「海洋生物、付着生物の調査試験、研究開発に特化した世界で唯一の企業」(同社HPより)というセシルリサーチも参画する。
さらに、こうしたコンソーシアムの枠組みを説明してくれた写真のお二人は、中国電力エネルギア総合研究所環境技術グループ副長(主幹研究員)の柳川俊治氏(左)と同研究所企画グループ担当副長の中村昭史氏。なぜ電力会社がこのコンソーシアムに関わるのかといえば、火力発電所のメンテナンスの必要から、冷却水の取水口に付着する、フジツボなど海洋生物に関する知見が豊富だからだという。

漁業者にわかりやすい情報提供をめざす

大学や研究機関に加え、それぞれの強みを持つ企業や地元水産業者、さらに自治体も加わった強力なチームが編成され、実証実験が続けられている。最終的にはカメラや温度計などのセンサデータから牡蠣の産卵タイミングを見分け、AIやクラウドを活用して成長を見守り、漁業者にわかりやすい形で情報提供する仕組みの構築をめざす。
なお「ひろしまサンドボックス」は、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が選定した、地域におけるIoTプロジェクト創出のための取組「地方版IoT推進ラボ」に登録されており、「スマートかき養殖IoTプラットフォーム」のCEATEC 2019への出展は、この枠組みの中で実現したもの。

出展者情報

会社名
広島県IoT推進ラボ

エリア
トータルソリューション

小間番号
B050

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