大日本印刷 株式会社(以下、DNP)はCEATEC 2019で、時間や空間にとらわれないプレゼンテーションを可能にする「新体験空間 -Virtual Experience Gallery-」をコンセプトにブースを展示。Vチューバーが接客するVRショールームや、世界遺産のVR鑑賞をデモ展示している。
新たな時代に向けた体験型サービスを提供
VRショールームは、同社が開発したバーチャル接客サービスを活用しており、遠く離れた場所からでもお店や街角のディスプレイ越しに相手(お客様)と会話できる。自宅や会社にいながら多くの人へ商品PRができることはもちろん、会社で訪問者を迎えるなど、多様なシーンでの活用が見込まれている。接客するキャラクターのバリエーションも用意しており、アイドルのような見た目のDNPオリジナルキャラクター・ファンズちゃん、ビジネス向けの男性・女性キャラなど、場面ごとに使い分けられる。
今回のデモ展示では、来場者がキャラクターと自由に会話しながら、自動車の車体等の色替え、ドアの開閉、背景変更等のシミュレーションを体験可能。離れた場所にいる説明員がVチューバー(アバター)となって接客し、商品の魅力を伝えている。
4K・リアルタイム3DCGとVR技術を活用しているため、夜のシーンや、ドアの開閉、車内の映像、さらにはエンジンルームまで見ることができる。顧客にとって満足度の高い接客内容を実現していると言えるだろう。
今回のブースにおけるもう一つの目玉が、世界遺産の仁和寺 国宝「金堂」を3次元(3D)で体感できるVRコンテンツだ。高精細な映像により、特別公開時にしか見られない世界遺産をそのまま再現。「金堂」の内部を歩いているような「ウォークスルー形式」で鑑賞でき、特徴的な意匠や見どころを音声とテキスト(字幕:日本語、英語)で解説している。来訪者の耳には仁和寺の読経も聞こえてくるため、「金堂」拝観しているような感覚を味わえる。
「金堂」のテクスチャー(材質・質感)などを高精細に再現するために、長年培った撮影技法やデジタル化のノウハウを活用。「金堂」の3D計測では、高解像度撮影した画像から3Dデータを生成する「フォトグラメトリ計測」と、レーザーを対象物に照射し3Dデータを取得する「レーザー計測」を最適に組み合わせて、文化財に負担をかけずに計測している。
VRコンテンツの制作のために計測した各種データは、大規模な自然災害で修復・復旧が必要となった場合の図面としても活用可能。また、これらのデータは新たなコンテンツ制作にも利用できるため、文化財を身近に楽しむ機会の提供にも活用が期待されている。