国立大学法人 大阪大学(以下、阪大)はCEATEC 2019で、同大学NEC Brain Inspired Computing (NBIC)協働研究所が取り組む「ゆらぎ学習」(Yuragi Lerning)の研究成果と活用シーンについて解説している。
柔軟で自律的な人工知能を作る「ゆらぎ学習」
「機械学習」や「ディープラーニング」といった、人工知能(AI)の舞台装置をより良く機能させるためには入念な事前の準備が必要だ。たとえば犬を見分けさせるためには、「この画像は犬である」とタグ付けされた大量の犬の写真や、「これは犬ではない」とタグ付けされた写真を読み込ませ、犬の特徴をAIに覚え込ませる必要がある。こうした事前準備のためのデータは「教師データ」と呼ばれ、教師データが多いほど、また良質であるほど、AIはより高度なものなることが期待される。しかしそのための手間や時間が大きな負担となりつつあるのも事実だ。
数少ないデータから「学習」し、幅広い応用が期待できる
いっぽうでヒトの脳はかなり柔軟な存在だ。数が少ない、ざっくりした教師データから学んだとしても、それなりに正しい判断をしてしまう。そうしたヒトの脳に近い自律的なAIを育てる仕組みとして、大阪大学NBIC協働研究所は「ゆらぎ学習」(Yuragi Lerning)と名付けたAI高度化のための研究を行っている。この「ゆらぎ学習」は、「少量データにより学習が可能」「雑音・欠損・ばらつきに強い」という際立った強みを有する手法となっており、阪大ブースでは、
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わずか5枚の犬の写真(狛犬含む)と猫の写真から犬猫判定をするデモ
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被験者の視線を追うことで精神疾患の有無を専門医なみの精度で診断するデモ
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利用者数が大きく変化する通信ネットワークの最適化にこの学習手法を適用したデモ
などを解説する。
(※この研究は総務省「次世代人工知能の研究開発」の委託を受けている)
出展者情報
http://nbic.ist.osaka-u.ac.jp/index.html