日本放送協会(NHK)と水中試験を行う

NHKと共同で行った水中試験の様子

高速水中可視光通信装置

東洋電機株式会社のCEATEC JAPANの出展は今年で3回目となる。1回目から続けて出展しているのは太陽誘電株式会社と共同開発する高速水中可視光通信装置だ。

高速水中可視光通信装置は水中において映像、音声、計測情報などの大量データをワイヤレスで送ることができる装置。四方を海に囲まれた日本では水中での映像撮影、養殖漁業、海洋計測、海洋土木など、その用途は多岐にわたると考えられる。

太陽誘電と東洋電機はそれぞれの持つ汎用LEDを用いた高速駆動技術とＩＰ光伝送技術とを組み合わせ、この装置を開発した。

開発にあたって同社の藤田日出生・市場開拓部部長は、「海や湖などの水中では電波の減衰率が高く、電波を使った無線通信が非常に難しいんです。従来から超音波や可視光を使った低速通信手段はありましたが、大量のデータを送ることはできませんでした。そこで、水中での減衰率の低い青色LEDを使って最大で50Mbsの通信速度を可能にしました。幸いだったのは、2年前の1回目の展示で日本放送協会（NHK）がこの高速水中可視光通信装置に興味を示されたことです。　昨年の4月と今年の2月に日本放送協会の協力を得て、実際にプールで水中試験を行い性能の確認、機能の改善をすることができました。今後もさらなる検証を行い、小型、軽量化を図り、その用途を開発していきたいと思います」と説明する。

同社は今後も日本放送協会（NHK）とプールや海での水中試験を共同で進め、性能の改善を進めていくという。また、CEATEC JAPANのブースでは、4.5m×1.8m×0.6mの水槽に金魚を泳がせ、水槽の長方向の両端に送受信機を設置してデモンストレーションを行う予定だ。

マジックビーの親局(右)と子局

東洋電機は上記の他にも、ビルや工場内の様々な設備の監視・制御を無線化したり、農業におけるビニールハウス内の温度、湿度、照明等の計測、輸送関係の安全品質トレーサビリティ、環境モニタリング等のデータを無線で送信できる無線式モニタリングシステムMAGIC BEE（マジックビー）を展示する。

マジックビーは、超低消費電力なZigbee無線を使い、電池駆動が可能な子局（エンドデバイス）と中継が可能な子局（ルーター）を組み合わせて使用する。子局が収集した情報は子局同士がベストな経路を判断し、親局を経由してPCなどの上位システムへ送ることができる。

また、Digi社製のXstick ®、評価用ソフトウェア（CD-ROM）、マジックビー子局2台からなる無線式モニタリングシステム評価キットも展示され、PCで簡単に環境モニタリングできるシステムも紹介する。

空間光伝送装置　SOTシリーズ

同社は、従来の空間光伝送装置に加え、100Mbpsに対応した製品のSOTシリーズ化を提案する。空間光伝送装置とは、ケーブルの配線が困難な場所（無人搬送車といった移動体間や建屋間等）を目的とした通信機器。
100Mbpsに対応することで、システムの高速化に対応するとともにEthernetCATの環境でも使用できるようになる。