シャープ株式会社、円形や穴あき形状も可能な「曲面型FFD（フリーフォームディスプレイ」を初公開

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シャープ株式会社、円形や穴あき形状も可能な「曲面型FFD（フリーフォームディスプレイ」を初公開

シャープ株式会社はCEATEC JAPAN 2015で、「曲面型FFD（フリーフォームディスプレイ」を初公開した。このFFDは、同社が独自に磨き上げてきたIGZO技術を応用したもの。

ノーベル賞候補に連なるIGZO技術を展開

形状が自由なだけでなく、額縁部分もきわめて小さくでき、視線を邪魔しない

IGZO技術の源流は、毎年ノーベル賞の有力候補に擬せられる東京工業大学の細野秀雄教授による「透明アモルファス酸化物半導体」という新技術。そこに独自技術を加味し、はじめて量産デバイスとして世に送り出したのが同社である。素子のリーク電流が少ないことから低消費電力の液晶デバイスが実現し、画期的に電池が長持ちするスマートフォンなどが実現した。
FFDでは、IGZO技術による半導体素子の効率の高さとともに、素子そのものが透明であるという特性が生かされている。
液晶ディスプレイは画素の表示のためにゲートドライバと呼ばれる駆動回路が必要となる。一定の面積を必要とするゲートドライバは従来、ディスプレイ周囲の額縁部分に配置されていた。
しかしIGZO技術を応用して「小さくて透明な」素子が実現したことで、ディスプレイの表示領域内にゲートドライバを配置することが可能となった。これにより、額縁の制約を受けず自在な形に成形可能なディスプレイが実現したわけである。

UI(ユーザー・インターフェース)の制約を解放

ダイヤルと円形FFDを組み合わせたUIモジュール。表示デモにはデザイナーの興奮を反映するかのように”Freeform Dream”との表示が。

自在な形状のディスプレイに真っ先に興味を示したのは自動車メーカー。インパネやバックミラー兼用型、さらに曲面形状のディスプレイの試作品が展示され注目を集めている。液晶（液体）を封止するシール部分の作り込みにより、狭額縁どころか額縁レスの液晶ディスプレイが実現している。
「表示領域に穴を開けることさえできるので、アナログ指針の軸を貫通させた、液晶／アナログハイブリッドの表示装置も可能です」(シャープ株式会社ディスプレイデバイス開発本部表示モード開発センター第三開発室主事結城龍三氏)

さらに、需要家だけでなく社内のデザイナーも興奮している。
「どんな形も可能だということで、最初は戸惑いました。しかし考えてみると、表示領域は四角いものであるという制約から解放されたのは、人類が印刷技術を獲得し四角い紙を利用するようになって以来の、はじめてのことかもしれません。ジョグダイヤルや面ボタンなどと組み合わせ、新たなUIをどう作っていくか、楽しみながら頭を悩ませているところです」(シャープ株式会社ブランディングデザイン本部デザイン開発センター UXデザインスタジオデザイナー山下晋吾氏)

FFDは公益財団法人日本デザイン振興会の『2015年度グッドデザイン賞ベスト100』に選ばれており、CEATEC JAPAN 2015でも、『CEATEC AWARD 2015　テクノロジ・イノベーション部門　準グランプリ』を受賞している。