コンクリート劣化を見きわめる近赤外分光装置がCAETEC JAPAN 2015でデモンストレーション展示された。この装置は内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の枠組みのもと開発されたものだ。
重要テーマ「インフラの保守」に役立つ技術
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の主要開発項目のひとつである「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」。このテーマのもと、首都高技術株式会社、東北大学、産業技術総合研究所、富士電機株式会社、住友電気工業株式会社が共同で「高感度近赤外分光を用いたインフラの遠隔診断技術」の研究開発を行なっている。ブースでは試作機のデモンストレーションが行われた。
コンクリートの劣化を赤外線で見分ける
コンクリート劣化の指標のひとつが、表面に現れる「フリーデル氏塩」と呼ばれるセメント成分と塩化物イオンの化合物。これらの化合物は、特定波長の近赤外線を吸収する性質を持つため、コンクリートからの散乱光を近赤外線検出器で読み取ることで、その劣化度を測ることができる。
赤外線の強さを波長ごとに測るには分光観測が必要となるが、その名の通り入ってくる光を「分ける」ことになるため、対象物が暗い場合には精度のよい測定が困難だった。
今回の装置では「インライン・フーリエ分光法」という手法に加え、偏光板を用いてディテクタの雑音をキャンセルする機構を用い、高感度・高精度・高分解能の分光観測を可能にした。しかも望遠レンズを装着しているため、遠く離れた対象物の計測も可能となっている。
この装置をフィールドに持ち出せば、仮設の足場を組んだりドローンを飛ばしたりしなくとも、暗くて遠い対象物――たとえばトンネル内壁や橋桁の裏側――のコンクリートの劣化度を正確につかみ、保守管理に役立てることができることになる。
- ブース番号
- ホール4 4N63
- 関連リンク
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出展者情報はこちら
内閣府略的イノベーション創造プログラム(SIP) : http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/index.html