株式会社ミライセンスはCEATEC JAPAN 2015で、最新の3Dハプティクス技術を生かした力触覚デバイスのデモンストレーションを行った。
デバイスの振動で、リアルなクリック感が現出
ハプティクスとは振動や動きなどの機械的刺激により、皮膚に仮想的な感覚を与える技術体系をさす言葉。いわば”指の錯覚”を演出する技術だ。
同社の展示ブースでは、固定されたトラックパッドで「押し込み感」が得られるデバイスや、「引く」「押す」などの感覚が伝わる歩行者ナビゲーションデバイスなどが展示され、デモンストレーションに供されている。
皮膚感覚だけに言葉で表現するのは難しいが、固定されたトラックパッドだと聞かされているのに、クリックに伴いパッドが沈み込む明らかな感触が感じられて戸惑う。さらに画面上の別の違うボタンを押すと、明らかに先ほどよりも重い沈み込み感覚がある。いくら「指の錯覚だ」と言われてもにわかには信じられないほど「リアルな」感覚に、戸惑いは増すばかり。クリックで沈み込むトラックパッドと、それを錯覚として与えるトラックパッドを並べて比べたとしても、その違いを言い当てる自信はまったく持てない。
産総研発の技術ベンチャー
同社は2014年4月設立と誕生まもないベンチャー企業だが、上述のとおり、その技術の洗練度は高い。
母胎となっているのは、国立研究開発法人産業技術総合研究所での研究成果。同研究所の人間情報研究部門・人間環境インタラクション研究グループ主任研究員として、航空工学や脳科学の研究を通じ視覚障害者のナビゲーション機器などの開発に従事していた中村則雄氏が、ソニー木原研究所でゲーム機器の開発に携わっていた香田夏雄氏と出会い、生まれた企業。
「錯触力覚発生技術」に関連する特許20件をワールドワイドに出願済みで、うち16件登録済みという。CEATEC JAPAN 2015の会期中には、ベンチャーファンドから3億円の資金調達を行った。
視覚を欺く目の錯覚になぞらえて、指の錯覚をもたらすこの技術を同社は『押される・引っ張られるといった「力覚」、堅いものを押したときなどの手ごたえを表す「圧覚」、手触りを表す「触覚」の3つの感触に関する要素「三原触」を、特殊な振動を使い脳に錯覚を起こすことで再現する技術』と解説する。CEATEC AWARD 2015 ではこの技術が、審査員特別賞に輝いた。
代表取締役の香田夏雄氏(左)とファウンダーでCTOの中村則雄氏(右)。
「(この技術は)今までなかったことが不思議なくらいに、現実生活に溶け込むでしょう」(中村氏)
- ブース番号
- ホール3 3N42
- 関連リンク
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出展者情報はこちら
株式会社 ミライセンス : http://www.miraisens.com/ja/index.html