TDKはCEATEC JAPAN 2015で、同社のIC内蔵基盤(SESUB:Semiconductor Embedded Substrate)に関する展示を実施。CEATEC AWARD 2015のテクノロジ・イノベーション部門におけるグランプリを受賞した。
幅数ミリの眼鏡の蔓に収まる極小基盤
IC(集積回路)の基盤への内蔵は、以前から各社が取り組んできた技術である。従来では基板上に据えたICへ、ワイヤーボンディングによって回路を接続。これだけで厚みは1mmに近くなるため、その周辺に他の配線や部品を配置せざるを得なかった。
しかし、TDKではICを薄く削るとともに、配線の微小化、組み立て精度の向上などによって、ICを基盤内に埋め込むことを実現。基盤の厚みがμ300程度として、内蔵したICとなどを含めた厚さを1mmまで抑えている。これにより、たとえばBluetoothモジュールであれば3.5mm角と、面積で従来の1/10程度まで縮小することが可能となった。3年前にICを内蔵したスマホ向けの電源管理モジュールを製造し、その後もマイクロDC-DCコンバーター、Envelope trackerなどのカスタムモジュールを順次量産しているという。
会場では、IC内蔵基盤を眼鏡の蔓の部分に内蔵したプロトタイプのデモが行われていた。基盤にはBluetoothや加速度センサー、気圧センサーなどが組み込まれており、これで眼鏡の傾きを計測。視線を上下に移動させることで、隣に展示されたドローンの上昇や下降といった操作ができるという。なお開発者に話を聞いたところ、一般的なスマートグラスに内蔵されるディスプレーやインターフェイスであれば、少なくともその基盤部分を普通の眼鏡の蔓の部分に内蔵できるとのこと。もちろんバッテリーの問題は付きまとうが、将来的にエネルギー密度の高いバッテリーが開発されれば、すぐにでもスマートグラスを普通の眼鏡のサイズまで縮小できると話している。
その他、展示されていた百度(Baidu)の「スマート箸」についても、同社のIC内蔵基盤を利用したBluetoothモジュールが内蔵されていた。こちらは、箸の先端についたセンサーで、食品の安全性や塩分濃度を計測。それをスマホやタブレットに転送している。回路やバッテリーが5mm角の箸に収められており、今後こうした身の回りのものをIoT化するにあたり、IC内蔵基盤は重要な役割を果たしそうだ。
- ブース番号
- ホール5 5K77
- 関連リンク
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TDK株式会社 : http://www.tdk.co.jp/