視線の先にある家電や電灯を、フレームから照射した赤外線でポイント。Bluetoothでリンクして、ボタンとダイヤルでリモコン的に制御する――。
そんな、スマートグラスを家電と連携させるソリューションのデモを、村田製作所がCEATEC JAPAN 2015で実施した。
鯖江市との共同プロジェクトとして開発
「Cool Design Smart Glass」を装着したところ。自然な眼鏡のようなデザインにこだわった
これは、2015年9月にスマートグラスの試作モデルとして発表された「Cool Design Smart Glass」の使用例として実施されたもの。同社ではこれを眼鏡の一大生産地である鯖江市との共同プロジェクトとして開発。「Cool Design Smart Glass」という名称が表すように、デザインと掛け心地を重視した仕上がりとなっている。
搭載するデバイスを絞って、スマートグラスらしさを隠した、軽量かつシンプルな設計にしているのが特徴。フレームには流行りのウェリントン型を使用し、かけたまま外に出かけたくなるような、眼鏡そのままのデザインにこだわった。レンズを球体にしたのもガジェット感をなくすための試みで、その裏側にディスプレイを配置する二重構造を採用。さらに、その内側に度入りのレンズを配置でき、視力に関係なく利用ができる。
眼鏡をちょっと便利にするリトルIoT
確実な操作感を得られるようにと、アナログなボタンとダイヤルを配置
ディスプレイを単眼のみに配置したことで、モジュールを内蔵したフレームの肥大化を防いでいるのも、同社ならではのこだわりだ。搭載された機能はディスプレイ、入力スイッチ、赤外線ユニット、Bluetoothの4つだけ。これにより重量は78グラムと、スマートグラスとしては極めて軽量となっている。鯖江の技術によって重心のバランスが巧みに取られており、実際に装着しても蔓や鼻あてに圧迫感や重さを感じることはなかった。
家電を見るとディスプレイにアイコンを表示。なお、ディスプレイは緑一色のみの表示となる
このスマートグラスを使ったデモを、同社ではHMI(Human Machine Interface)ソリューションと位置付けている。意図するところはスマートグラスを作るのではなく、眼鏡を少し便利にするというアプローチ。眼鏡で照明や家電を見ると、それらの機器がフレームから発信された赤外線を受光。Bluetoothをグラスに飛ばし、ディスプレイに照明やテレビ型のアイコンを表示させる。あとは、ボタンとダイヤルを操作して、チャンネルをコントロールしたり、調光が行えるという仕組みだ。
スマートグラスで家電を操作するデモ。フレームから照射された赤外線を受光した家電を操作する
他にも、「Cool Design Smart Glass」の使い方としては、目の前の相手の名前を表示したり、自動車のナビゲーションを行うといった、インフォメーション機能の提供を想定しているという。現在はこうしたサービスを提供するためのパートナーを探している状況だが、対応機器のバリエーションが増えれば、身近なところでスマートグラスの利便性が感じられるソリューションになりそうだ。
- ブース番号
- ホール6 6K129
- 関連リンク
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(株)村田製作所 : http://www.murata.com/ja-jp