神奈川工科大学 情報工学科は、通信機能に加え、内蔵する多様なセンサ群、高い処理能力というスマートフォンが持つ潜在能力とその可能性を活かした新たな技術、システムを提案し、それらを具現化、実証することに学科として取り組んでいる。CEATEC JAPAN 2015で6年連続の出展となる同大学情報工学科のブースでは、本学科が取り組んでいる研究テーマの一部である、下記2テーマに関して、さらに進化したシステムが紹介される。
(1)多ユーザ収容可能な非可聴音を用いた屋内測位システム
(2)カメラとカラー手袋を用いた色検出による手話認識システム
(1)はスマートフォンから発生する非可聴音を用いた屋内での高精度な測位システムで、今回は音に識別情報を埋め込むことにより、複数のスマートフォンをシステムに収容する方法が実装されている。
(2)は現在WEBカメラとPCを用いているが、将来的にはスマートフォン内蔵カメラを用いてスマートフォン単体での手話認識の実現を目指している。
多ユーザ識別のためのスペクトラム拡散を用いた屋内測位システム
同大学では、昨年、スマートフォンから発生する非可聴音を用いた受信タイミングから3次元で屋内での高精度な測位システムをデモした。CEATEC JAPAN 2015では、送信音源に対してユーザ毎のコードを割り当てることで識別情報を埋め込むことにより、複数のスマートフォンをシステムに収容する方法を実装した。このユーザ識別方法には、M系列符号によるスペクトル拡散技術が採用された。したがって、収容ユーザの増加要求に対しても、系列符号の追加のみで容易に対応可能。これにより、装置の構成を変える必要はなくなり、ユーザの増加にも柔軟に対応が可能となった。多ユーザの収容を可能としながら、測位誤差が数cm以下の極めて高精度な測位を実現し、屋内搬送車両の自動走行等への展開が期待できる。
カメラとカラー手袋を用いた色検出による手話認識システム
同大学では、スマートフォン内蔵のカメラとその高い処理能力を用いて、最終的にはカラー手袋を装着した人の手話を自動翻訳するシステムの実現を目標にしている。提案するシステムは、カラー手袋を用いることにより、各指を識別した手指の形状認識が可能、手の表裏判定、染色部分の重心位置を検出することによる平面内の動き、染色部分の大きさの変化から奥行方向の動きなど、他の単体センサでは不可能な多様な識別と動きの検出を可能としている。様々な動きがある手話動作に対して、上記識別、検出結果から片手/両手、手首の動きの有/無、顔と手の距離の遠/近を判定し、手話動作をクラス分けする。その後、そのクラスの中の手話に対して各種認識手法を適用することにより、高い認識精度が期待できる。
CEATEC APAN 2015では、カラー手袋の色検出による指の識別、手首の動きの検出とともに、※SmartDeafの中に収録されている基本的な手話動作に対する認識をデモする。
※SmartDeaf:動画による手話学習ツール(http://www.smartdeaf.com/:株式会社ケイ・シー・シー)
- ブース番号
- 4N65-40B
- 関連リンク
- 神奈川工科大学 情報工学科
http://www.kait.jp/index2.php