NECは今年1月に開設された「NEC神奈川データセンター」において、新たに採用された冷却システムについての技術展示を行った。
サーバーセンター全体で2重のエコソリューション
NEC神奈川データセンターのフロア模型。サーバーの廃熱が天井裏の2フロアに流れ込んでいる。
このシステムはNECのデータセンターでも初めて導入されたもので、相変化冷却方式を採用したのが大きな特徴となる。
従来のデータセンターでは多くの場合、床下からファンで冷風を送り、サーバールーム全体を冷却していた。しかし、今回は床下冷却を行う代わりに、サーバールームの天井裏に当たる部分にレタンチャンバーを、さらにその上にサプライチャンバーという2つのフロアを用意している。
サーバーで熱せられた排気は自然とレタンチャンバーへと流れ込み、それを冷水パイプで冷却。冷やされて軽くなった空気は、自然とサプライチャンバーへと流れ込み、これをサーバーで吸気する仕組みを採用した。これにより、ファンなどのアシストがほぼ無い状態で、サーバーの給排気を自然循環させている。
データセンター開設に合わせて新開発されたクラウドサーバー。気化した冷媒が上の冷却ユニットで冷やされ、液化した冷媒を循環させている。
このシステムを採用したことで、サーバールームの冷却システムによる消費電力は、以前に比べて3割程度まで節約できるという。また、以前ではサーバーを増設した場合などには、そのケーブルを床下に這わせる必要があった。このため、床下冷却の効率を妨げる原因となっていたが、今回のシステムであれば冷却効率を落とすことなく、制限なくケーブルを床下にレイアウトできる。
加えて「NEC神奈川データセンター」の新たな取り組みとなったのが、新しく開発されたクラウドサーバーの導入だ。これは、NECでも初の採用となるマイクロモジュールサーバーで、1列に最大46台、ラック全体で736台のモジュールサーバーを搭載できるシステム。この冷却にも相変化冷却方式が採用されており、完全なファンレスで稼動している。
具体的にはラック内の後部に廃熱を貯めるための空間を用意。ここに配置したフィンに流した冷媒により、スペース内の空気を冷却している。このとき冷却に使用された冷媒は気化し、配管を伝ってサーバー外へと流出。これを冷却して液化したものを再びサーバーに戻すことで、冷媒の自然循環に成功した。会場ではユニット単位での冷却デモが行われていたが、サーバー部分が51度だったのに対し、受熱部は37度と10度以上の冷却効果を達成している。従来のブレードサーバーに比べると、容積は1/4程度となり、それでいて消費電力は4割近くまで削減できたとのこと。この2重冷却システムによって、「NEC神奈川データセンター」では従来のデータセンターに比べて、トータルで4割程度まで消費電力を節約できたということだ。
NEC グループ
ブース番号 | 2L54 |
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