学生向け特別企画 学生交流ラウンジ

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これからの社i会をデザインしたい次世代のリーダーたちへ

「Society 5.0(超スマート社会)」という言葉を知っていますか。
2030年、2050年といった将来を見据えた日本の成長戦略が「Society 5.0」。テクロジーを積極的に活用し、これからの社会、つまり未来を創造する取り組みです。
過去の成長戦略と比べて大きく違うのは“お手本”がないこと。「課題先進国」とも称される日本ですが、これからは「課題解決先進国」として世界のお手本を目指していかなければなりません。次世代のリーダーたちに求められるのは「どんな未来を望んでいるのか」を明確にすること。その絶好の機会になるのが10月に開催される「CEATEC(シーテック)」というイベントです。世界をリードする国内外の企業や団体が集結し、未来のビジョンや新しいソリューションをこぞって披露します。
近未来の社会像を見て、聴いて、体験することは、次世代を担う皆さんにとって、唯一無二の経験になるはずです。
未来の社会を一緒に描きましょう!

そもそも「Society 5.0」って何だ?

第4次産業革命が生み出す未来社会

第4次産業革命が生み出す未来社会

「Society 5.0 =超スマート社会」は日本政府が掲げる成長戦略であり、2050 年ごろの社会のあるべき姿を描き、2030年をメドに具体化することを1 つの目標としています。
現代社会は、コンピュータに続くIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などによって「第4次産業革命」が起こりつつあると言われています。この第4次産業革命によって生み出される新しい社会像が「Society 5.0」なのです。「5.0」というバージョン番号がついているのは、狩猟社会を「バージョン1.0」とすれば、農耕社会(同2.0)、工業社会(同3.0)、情報社会(同4.0)に続く、次の社会とされているからです。
私たちの暮らしや社会は、数々の課題を抱えています。これらを同時に解決するためには、これまで以上にテクノロジーの活用を模索していかなければならないのです。

2030年までの未来年表

少子高齢化も対策を打てば回避できるはずー。
そう考えたいところですが、出生率や平均寿命は、すぐに変動するものではありません。また社会インフラなどの構造物も、その建設・整備には長い時間がかかるだけに長期間の計画に沿って実現されていきます。
2030年までにどんなことが起こるのか。「未来年表」の一部を紹介しましょう。

  • 2020
    訪日外国人数が4000万人に
    政府は成長戦略として観光目的などで日本を訪問する外国人を積極的に増やし消費拡大を期待しています。2012年に836万人だった訪日外国人の数は2015年には1974万人にまで増えました。4000万人は2020年の目標値です。2020年には東京オリンピック/パラリンピックが開催されます。日本政府はオリンピックを日本の文化や観光、治安の良さ、さらには先端技術などの魅力を世界にアピールする格好の機会に位置付けています。目標通りに達成すると、8兆円の旅行消費が期待されます。さらに2030年には6000万人、15兆円に達する見込みです。
  • 2024
    インドの人口が世界一に
    世界の人口は2017年時点で約75億人。中国の約14億人が最も多く、次がインドの約13億3000万人ですが、国連の予測では2024年までにはインドが中国を抜いて世界第1位になります。中国の人口が急増したことで、世界の経済や国際情勢は大きく変動しました。同じように2024年以降は、インドを中心に世界のヒト・モノ・カネの流れが大きく変化し始めるかもしれません。
  • 2025
    完全自動運転車の解禁
    自動運転が話題ですが、2019年時点で実用化されているのは、ドライバーの操作を一部代替する「レベル2」までです。日本政府は、2020年をメドに高速道路における合流や追い越しなどにはドライバーが関与する必要がない「レベル3」の実現を目指しています。そしてドライバーの乗車自体を必要としない「レベル5」、すなわち完全な自動運転を2025年に実現する目標を立てています。
    日本の高齢化率が30%を超える
    日本の高齢化率は高まる一方です。65歳以上の人口が全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼びます。日本は1970年に高齢化社会に突入し、1994年に高齢社会、2007年には超高齢社会となりました。2015年の日本の高齢化率は26.6%で、世界で最も高い値です。それが2025年には30.3%になると推定されています。
    大阪・関西万博開催
    大阪市の夢洲(ゆめしま)地区を舞台に2025年5月3日から11月3日までの185日間に渡り大阪・関西万博(日本国際博覧会)が開かれます。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。入場予定者数は約2800万人で経済波及効果は約2兆円といわれています。AI(人工知能)やVR(仮想現実)などの最新技術によって、より良き未来をどう作るかを考える機会になることでしょう。
  • 2027
    リニア中央新幹線開業
    最高設計速度時速505キロを誇るリニア中央新幹線。東京と大阪を最速67分で結ぶ計画ですが、まずは2027年に東京~名古屋間の約285キロで先行開業します。現在、東京~名古屋間は東海道新幹線で約1時間35分かかりますが、リニア中央新幹線では最速40分で結ばれます。名古屋~大阪間の開業は2045年の予定でしたが、最大8年前倒し2037年の開業が検討されています。
  • 2030
    有人での火星探査が実現
    人類にとって新たな開拓地となる宇宙。月に続く目標が火星です。欧州宇宙機関(ESA)が2030年までに人間を火星に送り込む計画を立てているほか、米航空宇宙局(NASA)の長官は2019年4月、有人探査機による火星到達を「2033年に実現したい」と表明しています。ロシアも同様の計画を練っています。日本は探査機「はやぶさ」に続き、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「火星衛星探査計画(MMX)」を進めており、2024年に探査機を打ち上げ、2029年に地球に帰還させることを目指しています。
    国内再生医療の市場規模が1兆円に
    怪我や病気で損なわれた組織や臓器の働きを、体外で培養した細胞などを移植する再生医療。京都大学の山中伸弥教授が作製に成功したiPS細胞が、よく知られています。再生医療の国内市場規模は年々、拡大しており、2012年の90億円が2020年には950億円に、2030年には1兆円にまで拡大するとみられています。世界規模では、2012年の1000億円が2020年に1兆円、そして2030年には12兆円にもなります。
「社会はテクノロジーと無縁ではいられない」
東京医科歯科大学 田中 雄二郎 副学長
東京医科歯科大学は2018年、約100人の学生をCEATEC に送り込みました。医学系の学生がCEATECを授業の一環として訪れたのは、これが初めてとのことです。
なぜ医学生をCEATECに送り込んだのか。医療は社会インフラの1つであり、社会の動きや新たなテクノロジーの影響を受けないわけにはいかないからです。医療分野にも最新テクノロジーが次々と導入され、医療機器だけでなく、医療そのものが変わろうとしています。医療に関わる人たちも、最新のテクノロジーに興味を持ったり社会の変化に触れたりする必要があります。これは医療に限ったことではないでしょう。
ただ、幅広い知識を得ることだけでは足りません。知識はもちろんのこととして、最新のテクノロジーに直接触れ社会の変化を体感することが重要です。「未来に触れられる場」としてCEATECを選びました。
最新のイノベーションが社会に実装されるまでに7年かかると言われています。修業年限が6年間の医学科の場合、いまの1年生が卒業する頃に、CEATECで体感したテクノロジーが社会実装されていることになりますので、ちょうど良いですね。(談)
見学後はグループディスカッションも実施した
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