ガラスの分断機器を製作・販売する三星ダイヤモンド工業は「CEATEC JAPAN」初出展となる今回、80年以上にわたり展開したガラス向け切断加工の技術をセラミックス基板に適応させた耐磨耗性に優れたスクライビングホイール「Tougheel(タフィール)」の展示を行った。
セラミックス切断の高速&ドライ加工を実現。
ガラスと比べて硬度が非常に高いセラミックス基板の切断は、これまでDicerBladeによる研削やレーザー加工により行われていたが、カーフロス(切断時に発生する基板の削りしろ)により製品が小さくなる、レーザーでは熱が発生し製品の特性に影響を与える可能性があるなどの課題があった。
「Tougheel」では、素材加工時に研削液を必要としないドライ加工が可能で、洗浄・乾燥工程が不要、または簡略化できる。レーザー加工時のような熱ダメージも、砥石による研磨のカーフロスもゼロとなる点がメリットだ。高速加工の実現も特長となる。
砥石で削る場合、素材が割れることを防ぐため加工速度を毎秒5~20mm程度に抑える必要があるが、「Tougheel」のスクライビングホイールでは最大毎秒300mmと従来の研削切断加工と比較して高速加工が可能で、生産効率の大幅な向上が期待できる。
電子部品に使用されるセラミックス材料の切断をはじめ、放熱基板用のSi3N4、燃料電池用固体電解質(YSZ)やLi電池用固体電解質(Liガラスセラミックス)半導体、LED(サファイア)など幅広い活用が見込まれる。
ブースでは、「Tougheel」を取り付けたハンドツールでアルミナセラミックス基板を切断する実演を行っていた。体験者はセラミックス基板を両手で割ろうと試みるが、その強靭な硬さに阻まれた。次に、ペンで線を引くように刃を転がして傷をつけると、いとも簡単に割ることができた。それも素早くきれいに。
セラミックス基板の切断加工は、個人消費者の目には触れない技術だが同社のEC事業部営業グループの岡本浩和氏は「見えない技術が、見える(消費者の手に届く)製品を作っていることを知ってほしいです」と話している。なお会場では「Tougheel」(分断用工具)のほか加工装置のパネル展示も行われた。
- 展示エリア
- 社会(公共インフラ・建設・モビリティ、行政、農業、エネルギー、製造分野、産業保安関連)
- 小間番号
- 2S80
- 関連リンク
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三星ダイヤモンド工業株式会社
http://www.mitsuboshidiamond.com/exhibition/348 - 出展者情報
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三星ダイヤモンド工業株式会社
http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=6831