昨年よりも多くの来場者でにぎわったCEATEC JAPAN 2016。技術者を目指す高校生からビジネスマンまで幅広い来場者であふれた今回の感想は?
10年前の妄想が現実に起こっている
富士通のブースで網膜走査型レーザアイウェア技術を体験し、視覚障害者への支援活動を行っている女性に話を聞いた。
「ロービジョンの方向けの革新的技術の実用化に期待している。10年前には、友人と指輪を使って信号を読み取るこことはできないのかなぁと思っていたことが、夢物語ではなく、目の前にある。もう、そういったことが現実に起こる世の中になったんですね」と、実用化に向けて期待していた。
生活空間により近い存在
授業の一環で来場していた高校生。
「今年は派手なロボットや大きなパフォーマンスが少なかったけれど、そのかわりに今の生活にすぐ取り入れられるものが多いと感じた。こういった技術の開発が今のデジタル社会を支えているんですね」と、将来、医療機器メーカーで仕事をすることを目標に会場を見て回っていた。
3Dの可能性
若い来場者はコンパクトになった3Dプリンタを前に、どこまでリアルな形で形成できるのかを見ていた。その一方で、本田技研工業(株)が展示した外装パーツを3Dプリンタで作られた「豊島屋」のデリバリー車には年齢の壁を越えた多くの方が集まっていた。
「そのうち、家も3Dプリンタでできてしまうのでないか」と70代の男性。数年ぶりにCEATECJAPANに来場し、「ここ数年の展示製品の変化に技術進歩の速さを目の当たりにしました。」と技術の発展に感心していた。
シンプルに見えるが実は性能がすごいものを……
CEATEC JAPANに初めて来場した30代の女性は、「技術発展の利便性に依存してしまいそう。これからの高齢化社会で、利便性だけでなく、使う側の理解力も視野に入れて、シンプルに見えるが実は性能がすごいものをもっと出していってほしい」との感想。三菱電機株式会社の、話した言葉を指でなぞった軌跡に表示できる音声認識表示技術「しゃべり描きUI」を体験し、絶賛していた。
戦略的メッセージ
電子部品メーカーに勤務している40代の男性は、「Iotタウンを見て回ると、新生CEATEC JAPANを垣間見ることができた。企業がどのエリアに出展しているかを見ることで、今後その企業がどの分野に注力していくのか、その考えを受けとることができた。今後の展開、マーケティング力や事業展開力などが問われることにもつながってくると思う。大手メーカーに対抗するのではなく、ベンチャー企業の新しいプロダクツやソリューションを活かしてくことも重要な産業開拓のひとつになっていくと思う」と感想を述べた。
新産業間の連携を見せる場所として期待
30代、ベンチャー企業の立ち上げを考えている男性。
「私たちは、新しい技術を開発するのではなく、それを活かして新しいコンテンツの提案をしていくので、産業同士がつながっていくことの必要性を感じました。AIやロボティクスの技術面の向上を見せることはもちろんですが、今後は1社が1つのブースで各々の部品や製品を見せるのではなく、専門業者が集まって、新たな価値を見せる。そういった企業同士が共同で何かを見せるという、産業間の連携を見せる場所になるのではないかと思います」
日々の技術進化
東京工科大学3年生のグループは、次のように話してくれた。
「昨年までの展示会と雰囲気がガラッと変わりましたね。CPS/IoTの動きを中心に世の中が動いていくんだなと実感しました。また、それぞれのブースのコンテンツを組み合せるとスマートフォン1台あれば何でもできてしまう、そんな時代に突入していることに今後の展開が気になります。スマホはあくまでも生活の一部なので、そこが中心になってしまってはちょっと怖いですね。産業として発展していくことはいいことだけれども、技術の向上で利便性だけが進み、ユーザーの理解が取り残されないよう、しっかり見据えていく必要性があるのではないかと思います」。彼らはスマホの新しいプロダクツ・コンテンツを提供しているブースを中心に回っていました。