音声認識や対話エージェントが浸透してくると、コンピュータやネット接続のインターフェイスはマイクとスピーカーが本命になってくるかもしれない。NECが参考出品していた「耳穴の形状を音で識別する生体認証技術」は、そんな未来を先取りするかのような技術だ。
耳の中を可聴音でエコー解析する技術
耳の穴の形状は人によって異なる。これを生体認証に使えないかと、NECは小型マイク内蔵のイヤフォンを使って、耳の中を可聴音でエコー解析する技術を確立した。これによって、イヤフォンやヘッドセットを装着するだけで個人認証に応用できるという。
原理は簡単だが、実用にはまず認証に耐えるマイクの性能と、安定した認証のためイヤフォンの固定をどうするかという問題がある。NECでは、現在市販のマイク内蔵イヤフォンを使って実験、アルゴリズムの開発を進めている。専用のイヤフォンを開発すれば済むことかもしれないが、実用性を高めるには、デバイスへの依存はなるべく避けたいところだ。エコー解析に可聴音を使うのもそのためだ(超音波を出せるイヤフォンは少ない)。これは、市販のもので認証に耐える製品が存在しているとのことで、今後は精度をあげて、いろいろな製品でも認証できるように研究が進むだろう。
イヤフォンの固定方法も各種方式を研究中だそうで、ブースでは、いまのところこの目的に最適と思われる製品を展示していた。普通のイヤフォンだが、小型の補聴器のような独特なイヤーパッドになっていた。ただし、この製品は内蔵マイクの精度に問題があるとのことだ。
識別精度だが、他人を認証してしまう確率は0.01%だそうだ。ただ、本人を拒否してしまう確率が3%もあるといい、これも課題のひとつとなっている。
さまざまな応用が考えられる
イヤフォンで認証ができるようになると、冒頭で述べたようにスマートフォンや機械を音声認識で制御する場合、音声をインターフェイスとするような機器にアカウント認証を簡単に組み込むことができる。
現状でもイヤフォンやヘッドセットをつける必要がある業務でさまざまな応用が考えられる。例えば、オンラインテストの本人確認。作業員の動体管理、ドライバーのモニタリングなどだ。このような応用のため、イヤフォンにモーションセンサーを組み込むことも考えているという。
すべてをイヤフォンに組み込むことはできないが、GPS受信機やカメラ、温度センサーなどと併用すれば、アプリケーションはさらに広がる。
NECでは、まずはB向けをメインに事業化を考えており、2020年までにはなんらかの製品を出したい考えだ。
- 展示エリア
- CPS/IoT を支えるテクノロジ・ソフトウェア
- 小間番号
- 1S25
- 関連リンク
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NEC グループ
http://jpn.nec.com/event/ceatec/ - 出展者情報
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NEC グループ
http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=6828