7名の審査員が、ファイナリスト27件の中からグランプリを発表。人々の生活の先を見据えた新しい技術の発見を日本から世界へ発信。
満場一致で、富士通株式会社 網膜走査型レーザーアイウェア技術を賞賛
表彰に先立ち、審査員長のユベール・ニューエン氏は「私たちは、グレートVRアドベンチャー(大きなバーチャルリアリティ冒険)の出発点に立っている。CEATEC JAPANは、人々の生活をよりよくする新しい医療・健康管理技術を見つけることができる場所であり続けている。技術は、社会をより身近にし、安全で生産性を上げることもできる」と述べた。
その言葉にもあるように、今年は、経済産業大臣賞を受賞した富士通株式会社の網膜走査型レーザーアイウェアがグランプリに輝いた。
網膜走査型レーザーアイウェアは、超小型レーザープロジェクタから網膜に直接映像を投影するヘッドマウントディスプレイ。スティーブ・グリーンバーグ氏は、「何千、何万のロービジョン(視覚障害者)の人々の目を開き、周りの世界が見えるようになることに役立つようなメガネの中に埋め込まれた奇跡です」と、満場一致の富士通株式会社 網膜走査型レーザーアイウェアを称えた。
富士通株式会社のブースで網膜走査型レーザーアイウェアを体験することができる。
より身近になるICT(情報通信技術)
各部門賞も、「つながる社会、共創する未来」への大きな一歩を踏んだ技術が受賞した。
Home Entertainment 分野
人間の五感に訴えるもので、モバイルの世界で嗅覚も手に入れることができるようになった。チャットで写真や動画を送るように、伝えたい香りを贈ることができる。多くの家電製品に新しいフィーチャーを加える可能性がある。
Electronic Components 分野
柔軟性のない電池がウェアラブル端末の発展のネックになっていたが、この曲がる、ねじれる電池なら電池埋め込み式時計バンドや、さらにハイテクなスマートシューズ、カメラ付きハットなど様々な新しい形状の製品の出現が可能になる。
Digital Imaging 分野
バーチャルな世界がよりリアルに大きくなるにつれ、3Dコンテンツの制作は非常に高価になり、それが主要な制約の1つになったが、VRCの人体高速3Dスキャナーシステムは、全身撮影にたった4秒しかかからない。オペレーターはすぐその場での画像の確認でき、さらに10分程度で3Dファイルの最終版が手に入る。非常に高速なため、各3Dキャラクターの価格をほんの10米ドルまで下げられ生産性の向上が期待できる。
Software, Computing and Networking 分野
人の命が危険にさらされた場合、秒単位で影響を及ぼす。この警備支援ソリューションは、警官が着るカメラ付きのベストとスマートウォッチを使い、群衆の中の犯人を割り出し、身を守るのに役立つ判断をいち早く可能にすることで、人々と警官の安全を確保する。
任務を効果的に安全にこなすためにもこうした技術が不可欠だ。
Mobile Technology 分野
現在、消費者にとって、写真および動画を撮影するのは、単体のカメラではなくスマートフォンを使用するという流れが続いている。その中で気になる「手ブレ映像」を改善する同社の電動ジンバルシステムを手ごろな価格でスマーフォン向けにした新製品がハンディースタビライザー“Osmo mobile”だ。基本的なジンバルの機能性に加え、同社独自のハードとソフトのコンビによる被写体追尾技術により、安定した撮影が可能になる。
スマートフォンによる、ビデオ撮影の領域が広がった。
Transportation 分野
現代の車が進化し、さらなる多機能化が進む中、ユーザーに対し全ての機能を明確に端的に伝えることはますます難しくなっている。パナソニックが示した解決策は、物理的な操作系の触知性や簡単さと、シンプルかつ最新のデザインとの融合だ。
次世代の車のデザインに大きな影響を及ぼすことになるだろう。
Health and Household 分野
ロービジョン(視覚障害)のある人にとっては、このアイウェアは画期的で奇跡と言えるだろう。
プレゼンターのスティーブ・グリーンバーズ氏も、「生き方までも変え、大きな影響をもたらす、ハードとソフトが癒合されたものは滅多にお目にかかれない」と、この技術を大きく称えた。
Smart Community 分野
New Smart Project“FREEDOM”~ゼロ炭素社会の実現に向けた、蓄電池とVPPによる新しいエネルギーコミュニティの提案
多くの家庭が統合型蓄電システムに依存している現状だが、このFREEDOMシステムはこの技術を一段上のレベルに引き上げるもので、電気自動車との互換性、パーソナルで再生可能なエネルギー源、そしてなにより大きな送電網と統合するである。これにより効率的に電力を使えることを保証するだけでなく、長引く停電状況下でも電源供給を保つことができる。
Industrial Design 分野
「To dream the impossible dream(叶わぬ夢を見る)」 子どもの時は、みんな夢の車を紙に書いたが……今では同じ想像力を3Dプリンティングに応用し本当に車を作ることができるのだ。用途に合わせた車のパーツを考案し、印刷するだけ。最新の3Dプリント技術の向上により様々なレベルにおけるカスタムカーの開発がこんなに簡単になった。バリアブル デザインプラットホームはデザイン業界、3Dプリントエコシステムともに無限大の可能性を広げた。
Hondaは「the power of dream(夢のチカラ)」に本気で取り組んでいる企業であるといえよう。