神奈川工科大学情報工学科は、タブレットやスマホで使用できる点字入力IMEや、画像認識を使った機械読唇システム、手話認識技術などのデモンストレーションを行っている。
Androidで使える点字入力IMEを実演
飲料缶やシャンプーボトルなどの日用品、あるいは案内板や切符自動販売機など公共の場で、点字を目にする機会は増えている。2列3行というわずか6つのドットだけですべての文字を表現する点字は、健常者にとって非常にハードルが高い。それをAndroid対応のIME(文字入力を支援するアプリケーション)として作成した。
ソフトはすでに一般に公開されており、インストールすれば自分のタブレットやスマートフォンで点字入力が可能となる。
開発した情報工学科教授の五百蔵(いおろい)重典氏は「健常者が点字を覚える手助けとなるだけでなく、高速な入力メソッドとしても活用が可能」と語る。
タブレットを手にする五百蔵教授(右)と研究室の学生さん。ブースでは一般のQWERTYキーボードを利用した点字練習ソフトも体験できる。
画像のみから高精度に発話内容を推定する技術
野球のマウンド上のバッテリーはグローブで口元を隠して会話する。口唇の動きから会話を推測する「読唇術」の存在が広く知られているためだが、一方でその技術を持つ人は多くない。情報工学科教授の宮崎剛氏はソフトウェアでそれを行う「機械読唇モデル」の研究に関わってきた。
「5つの母音“あいうえお”の口形や、“ま行”のような唇を閉じて発声される口形の並び順を基に、日本語の単語とマッチングさせて発話内容を推定します。最初は障害者向けの読唇術セミナーの講師に教えを受け、10年以上研究を続けています。聴覚に障害のある方、耳が遠くなった方への支援だけでなく、声が出せない場所での“映像のみによる会話”や、病気で声を失った方向けに、機械音声による発話を支援する用途などが考えられます」(宮崎氏)
ちなみに宮崎氏は、今年25年ぶりのリーグ優勝を遂げた広島カープの地元テレビ局から、グランド上の選手やコーチの会話を再現するコーナーに協力し、赤い旋風の盛り上げに一役買ったという。
同校ブースではさらに「スマートフォンを音源に用いた高精度屋内即位システム」や「発電自転車とVRを連動させた人力発電マネジメントシステム」、「カラー手袋を用い、スマートフォンのカメラで手話を画像認識するシステム」を展示している。
宮崎教授(右端)と研究室の学生さん。3人の口形はキャンパスの所在地である「あ・つ・ぎ」(神奈川県厚木市)を示している。
- 展示エリア
- 特別企画(ベンチャー&ユニバーシティエリア)
- 小間番号
- 4P53-01
- 関連リンク
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神奈川工科大学
http://www.kait.jp/ - 出展者情報
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神奈川工科大学 情報工学科
http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=6966