神奈川工科大学情報工学科は、これまで、IoT時代に寄与する人材育成、教育と研究を通じた社会貢献を目標に進めている学科の取り組みの一部をCEATEC JAPANで紹介してきた。
年々出展テーマの規模も拡大し、実用性が近くなった出展物も見受けられ、充実した研究成果が注目を集めている。CEATEC JAPAN 2016では、通信機能に加え、内蔵する多様なセンサ群、高い処理能力というスマートフォンが持つ潜在能力と可能性を活かした新たな技術やシステムを提案し、それらをどう具現化し、実証するのかを目標に5テーマの紹介、展示・実演が行われる。
CEATEC JAPAN 2016で展示実演される5テーマ
(1)屋内測位:スマートフォンを音源に用いた高精度屋内測位システム
(2)入力発電:発電自転車と仮想現実(VR)を連動させた人力発電マネージメントシステム
(3)点字入力:点字を用いた携帯端末向け入力方式(点字入力IME)
(4)機械読唇:日本語の音と口形の関係性に基づいた機械読唇モデル
(5)手話認識:カラー手袋を用いたHMMによる手話認識
興味深い5テーマでの展示実演が行われる。なお、(3)、(4)、(5)のテーマは、聴覚、発語障がいを持つ人とのコミュニケーション支援や点字や手話の学習支援への利用を目的としている。(4)の技術を利用した発話予測は、テレビのスポーツ情報番組の中でこの技術を実際に使うことで、音声として収録されていない選手の発言内容の紹介コーナーとしてシリーズ化され、視聴者からの高い評価を得ている。(3)、(4)、(5)のテーマは、CEATEC JAPAN開催中に同大学ブースにおける展示・実演の様子としてCEATECニュースにレポートされる。
さらに高い測位精度を実現した、スマートフォンを音源に用いた高精度屋内測位システム
同大学では、スマートフォンから発出する非可聴音の到達時間を用いた測位システムを開発し、CEATEC JAPAN 2015でデモ・展示された。同大学では、今回、簡単にシステムを構築するために、市販のArduino基板に直結できる受信音波の増幅のための音波シールドを試作し、さらに、各Arduino基板内のマイコンに測位処理を分担させる分散処理システム構成により、測位処理の高速化とともに測位エリアの容易な拡大を可能としたシステムを開発した。CEATEC JAPAN 2016では、このシステムを使って、複数の移動模型列車に対する測位を行い、高さ方向の測位結果を含め、その有用性が実証実験としてデモされる。このシステムにより、無線LANなどの電波を用いた測位では困難な高い測位精度(誤差数cm程度(超音波測位システムと同等))を実現できることが実験で確認しているとしている。スマートフォンを音源に用いた高精度屋内測位システムは、工場内の搬送車両の走行制御や視覚障碍者の方への商品棚へのナビゲーションなどへの多彩な活用が期待できる。
発電自転車と仮想現実(VR)を連動させた人力発電マネージメントシステム
同大学では、循環型社会や災害時対策、健康維持が両立できる取り組みについて検討している中で、従来の使い捨ての乾電池から再利用可能な蓄電池への置き換えや災害時の電力確保に何らかの寄与ができる人力発電マネージメントシステムを実現した。
ブースでは、発電自転車と仮想現実(VR)を連動させた人力発電マネージメントシステムを使ったエネループへの充電がデモ展示される。発電は、自転車の後輪の回転軸に大型フライホイールを取り付けることで、実際のサイクリング時に近いペダル感覚を実現。静穏、高効率の発電機により静かな事務室での使用を可能にした。低速から高速のペダル回転に対応するために広い入力電圧範囲(36~72V)で動作可能。充電は、AC100V、DC13.8V出力により、多くの市販の充電器、機器への接続が可能となる。また、Google Street Viewと連動し、発電電力に応じた風景移動を実現。さらに、頭部の動きに追従する360°表示と、ステレオグラムを用いた立体表示によるスマートフォンでのVR機能を実現した。発電情報は、クラウドサーバに格納され、その情報がランキング、個人ログとしてWebページに表示された情報を共有することができる。”競争して楽しい、達成して楽しい”遊び心を取り入れた人力発電マネージメントシステムとして同大学ブースで展示デモされる。
- 展示エリア
- 特別企画(ベンチャー&ユニバーシティエリア)
- 小間番号
- 4P53-01
- 関連リンク
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神奈川工科大学 情報工学科
http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_engrn/