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「学」の研究成果が社会にどう役立つのか?をお見せしたい。

カテゴリー : 特別企画エリア

2016年、CPS/IoT Exhibitionとして生まれ変わるCEATEC JAPAN。

今年の目玉企画のひとつ、「IoTタウン」では、市場創出を目指す様々なユーザ企業が集まり、新たなビジネスモデルにつながるアイデアやパートナーに出会う可能性を生み出します。 各社の叡智を結集し日本発の新たな “街のカタチ” を提案し世界に発信します。

CEATECニュースでは、このIoTタウンに出展する出展者に事前インタビューを行い、各社のIoTへの取り組みや出展の見どころをお伝えします。

今回のインタビューにお答えいただいたのは、

国立情報学研究所
教授・副所長
安達 淳 様

です。

まずは出展の経緯を聞かせていただけますか?

私達は文部科学省から研究費をいただいて、4つの機関が連携して行うCPSの研究プロジェクトを進めてきました。今年度が成果をとりまとめる年です。そのタイミングでCEATEC出展への話があったので、極めてタイミングが良かったというのがまずはあります。

我々が行う研究は一般的に基礎的研究が多いのですが、今回のプロジェクトは実証実験を行い、「研究成果が社会でどのように役に立つのか?」を明確にするようにという強い要望を踏まえたものです。その成果を多くの方に見ていただいて、建設的なご批判をいただけるというチャンスは非常にありがたいと考えています。また、我々の研究に興味をもっていただき、様々な連携が産まれることにも期待したいです。

国立情報学研究所さんとしては、ビジネスにつながる研究成果は大事ということでしょうか?

我々は大学の活動を支えることが重要な役割の一つですが、同時に、産官学の連携を推進するために、産業サイドとの連携を強化するのも極めて重要だと考えています。CEATECへの出展は、我々の活動を産業サイドへアピールしていく場になれば、と考えています。

CEATECは色々な方々が来場されますが、どんな人と会えたらと考えていらっしゃいますか?

我々のプロジェクトでは「Social CPS」と呼んでいますが、人間とか社会とかが加わった非常に扱いにくいシステムに取り組むにはどういうプラットフォームが必要か?ということに取り組んできました。そこで分かってきたのは、産官学の連携において、我々「学」側は「触媒」になれるということです。「産」と一口に言っても、どこか1社だけがそのような大きなシステムを請け負うわけではなく、何社かステークホルダーがいて、その間の調整も必要です。また、「官」で言えば、地方自治体は具体的な課題を数多く抱えています。その解決策を合理的にどのように構築していくのか?と考えたときに、どこか民間の一企業だけに任せれば良いわけではないので複雑です。そのような産官学の連携における課題解決手法に興味ある方に見ていただけるといいですね。

IoTというキーワードについてはどう思っていらっしゃいますか?

これまでもユビキタスというキーワードですべてのものがネットワーク化されていくことは言われていましたし、例えばプリンタだってネットワークに繋がっているわけで、IoTというのは特別なことではなく、すでに実態としては社会に染み渡っていて、体感的に自然になってしまっているものだと思います。

今回の出展内容について教えていただけますか?

まず、北海道大学ですが、
札幌市が除排雪を行う際に、どのように効率的にやればいいのかという情報を集める仕組みとそれをどのようにフィードバックするのかという仕組みですね。

▼出展内容詳細

ソーシャルCPS統合可視化分析技術と札幌市における除排雪の効率化実証実験

札幌市をフィールドに、道路交通状況、気象などの蓄積過去データ、および、実時間データを複合的に分析・活用して行っている、エビデンスベースの意思決定支援による除排雪効率化のための実証実験の状況を紹介します。
1)路線バス、除排雪車両、商用車プローブ、および、レーザスキャナによる道路周辺計測データのリアルタイム収集・可視化技術
2)多種多様なデータのインタラクティブな可視化・分析を可能とする統合可視化分析技術
3)クラウドソーシング型ドライブレコーダーアプリによる動画像、センサーデータ収集と交通イベント検知技術

札幌市も非常に興味を持っていただいている状況です。

既存のデバイスを上手く使って情報を集め、それを組み合わせて今までにない情報を得る。その最適な組み合わせ方をどう見つけ出すのかを考えています。
研究成果をまとめたビデオを上映する予定です。

次に大阪大学ですが、
地下街で災害が起こった場合の脱出のシミュレーションなどを研究でやってこられた先生がおられて、そのようなシミュレーション技術を使い、エネルギー効率化を目的とした、センシングとフィードバックのループを回す際の必要ツール等を実証的に示して、他の目的にも使えるプラットフォームであることを見せようとしています。この研究も各種の既存センシングデバイスを使って情報を集めています。専用デバイスを作って利用するとなると、コストが上がってしまい、実際の導入に至らないので、既存デバイスを使えることは大きいですよね。また、それにはスマートフォンのように大量に出まわってコストが落とせるデバイスを使えば、多数のポイントでの情報収集に使えるので、大量のデータを集められることにつながります。それは信頼性のある解に繋がりやすくなることを意味します。

▼出展内容詳細

高精度トラッキングシステム「ひとなび」

ひとなびは、「レーザー測域センサー」を複数台用いて、屋内の歩行者の位置と軌跡を高精度に追跡し、屋内の人の位置と行動をリアルタイムに可視化します。歩行者側ではセンサーや端末を保持する必要はなく、歩行者にとって負担の少ないシステムとなっており、不特定多数の人が行き交う公共空間での利用も可能です。歩行者の計測には、高精度レーザー測距計を利用しており、誤差は高々数十センチと非常に高精度です。また、危険性のない低出力のレーザー(クラス1)を利用しております。これらの高精度レーザー測距計を複数台利用することにより、展示会場、100人規模のオフィスなど広範囲の領域においても、参加者の人々の位置や混雑状況、軌跡把握をサポート可能です。これに加え、スマートフォン、各種センサーと連携したサービスも可能で、混雑回避ナビゲーションや、人の動きに合わせたBEMSなどなど、様々なアプリケーションの基盤技術として貢献致します。

次に九州大学ですが、
大阪大学はパブリックなエリアを対象にした研究なので、実験フィールドの制御がしにくいのですが、九州大学はキャンパスを実験フィールドにしていて、「キャンパスにおける省エネ」を考えています。キャンパスだと制御がしやすいのです。例えば、夏休み等は一定期間、ある建物を無人にしたりするのが比較的やりやすいわけです。そのような環境でどのくらい効率的なキャンパス運営が出来るかという実証実験ですね。それにより電気代がどれくらい安くなったか等の結果を出すということですね。

▼出展内容詳細

個人レベルの人間中心エネルギー利用最適化

「快適な省エネをどう実現するか」という問題に、「個人それぞれにとって快適である」という観点からの切口で迫ります。そのために、個人の行動の様子や行動計画をセンサーなどから推定し、電力使用量の計測結果とすりあわせることで、個人の電力消費の状況を推定します。個人レベルでの省エネ意識向上を狙った個人電力消費状況の個人へのフィードバックや、ピークシフトなどを実現するための個人レベルでの行動リコメンデーションなど、様々なフィードバックを個人個人の受け入れ安さを考慮しつつ取捨選択する快適な省エネを実現します。

これまで研究結果を発表された反響は何かありましたか?

システムとしては、札幌市からは大変興味を示していただき、全面的にサポートをいただいた上に、様々なデータも提供いただいています。また、関連する民間団体からも関心を頂いています。また、エネルギー関連(大阪大学研究)でいえば、歩行者の計測関連技術で、民間企業から引き合いをいただいています。

来場者の方に伝えたい事はありますか?

情報技術側にいる人間として是非訴えたいのは、ビッグデータやIoTを扱うためには、まず、その上にシステム/サービスを作りやすいプラットフォームがいるということです。そのための環境は様々なクラウドサービスの登場で整ってきました。次に、アプリケーション、「どのようなデータを使って、どのような事ができるか?」という目利きが必要だと思います。それはITだけでは出来なくて、それぞれの分野の人々とIT技術者が繋がることで出来るようになります。我々としては、多様な分野で自分たちの分野の問題解決をしようとしている方と連携していく必要があると思っています。CEATECの場を利用してそのような方々と上手くマッチング出来ればと考えています。

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