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「みんなの笑顔を創る」ロボットとのコミュニケーションの価値を伝えたい

カテゴリー : 特別企画エリア

今年の目玉企画のひとつ、「IoTタウン」では、市場創出を目指すさまざまなユーザ企業が集まり、新たなビジネスモデルにつながるアイデアやパートナーに出会う可能性を生み出します。 各社の叡智を結集し日本発の新たな “街のカタチ” を提案し世界に発信します。

CEATECニュースでは、このIoTタウンに出展する出展者に事前インタビューを行い、各社のIoTへの取り組みや出展の見どころをお伝えします。

今回のインタビューにお答えいただいたのは、

株式会社タカラトミー

新規事業部
ニュートイ企画部
部長
木村 貴幸 様

新規事業部
ニュートイ企画部
マーケティング課
係長
冨永 翼 様

新規事業部
ニュートイ企画部
マーケティング課
主任
北岸 洋子 様

の3名の方々です。

最初に、今回初出展を決めた理由について教えていただけますか?

いろいろと理由はありますが、おもちゃ会社が考えるロボットということで、弊社は30年ほど前から「オムニボット」ブランドで様々なロボットを作ってきました。そして、2014年にオムニボットシリーズを再始動させ、昨年NTTドコモさんと協力してクラウド型おはなしロボットであるオハナスを商品化しました。比較的手に入りやすい価格帯でコミュニケーション出来るロボットを発売したのは弊社が初めてに近いと思うのですが、これを知らない方や体験できない方も多いと思い、ロボットを使って実現できる新しいライフスタイルを提示・提案できる場、我々が考えていることを伝える場として、CEATECはいい場所だろうと思いまして出展を決めました。

あと、我々はおもちゃ業界の人間ではありますが、毎年CEATECには視察に行っておりまして、出展できたら良いなぁ、と思っていたのですが、(これまでは)「家電見本市」としてのイメージが強かったので、おもちゃ会社の出る幕は無いなとも思っていました。ですが、昨年タカラトミーとしては出展していませんでしたが、Bluetooth SIGさんのブースで弊社の「メカノイド」を展示させていただいておりました。また、シャープさんの「ロボホン(関連記事リンク)」の発表があったのですが、弊社も一部で協力させていただいておりました。

いまお話いただいた経緯で言うと、今年CEATECが「CPS/IoT Exhibition」として生まれ変わるというのは大きかったですか?

そうですね。大きかったですね。

「IoT」というキーワードがここ数年で流行る前から、御社は「全てのものがインターネットにつながる」という未来に関しては、どういう認識でいらっしゃいましたか?

4~5年位前から、そのような時代が近づいてくるよね、という話は社内でしていました。「デジタルネイティブ」と言われる世代がほぼ誰に教えられるでもなく、スマートフォンやタブレットを自然に使いこなせるようになる、という姿を我々は見ていました。おそらくインターネットに繋がっているという感覚すらなく遊んでいて、ノートやペンを使うのと同じ感覚でそのようなデバイスを使っていたんですよね。そうすると、子どもたちも自分にもそのようなデバイスが欲しくなる。大人の世界で流行ったものが玩具化されるというのは常でして、我々も数年前にタッチセンサー・カメラ付きのスマートフォン型の玩具を発売しました。さらにLINEさんと組んで、「LINEごっこ」が出来る玩具を発売しました。初代はNFCのチップでスタンプのやり取りが出来るものだったのですが、2年目に発売したものはBluetoothモジュールを搭載し、(大人の持っている)スマートフォンのアプリとやり取りできるものを発売し、ヒットしました。将来的には玩具自体でインターネットに接続して、おじいちゃん・おばあちゃんとコミュニケーションが取れる、という未来があるかな、と考えています。ここ数年でスマートフォン普及率もかなり上がっていて、そのような玩具が広がりやすい環境は整ってきたので、我々もそれに応じた製品開発をしていく準備をしていました。

CEATECはコンシューマも数多く来場されますが、ビジネスユーザーも数多く来場されます。ビジネスユーザーとのネットワーキングにも期待されていますか?

そうですね、今回一般ユーザー向けの「オハナス」の展示に加えて、NTTドコモさんと進めているビジネス向けのバージョンも展示する予定です。実際エスビー食品さんがスーパーマーケット等の売り場で利用されているカスタマイズバージョンや新宿高島屋さんで利用されていたりと導入実績もあります。おもちゃ会社でコンシューマ向けだけでなく、ビジネス向けの二次展開をしていくというのは
これまでやってきませんでした。昨今のIoTに代表されるような技術等のおかげでそのようなビジネス展開を出来る時代になって、ビジネスの幅が広がったといえると思います。おもちゃ会社が作っているものなので、価格も手頃ということで、ビジネスユーザーからの引き合いも多いです。あと、自分で言うのはなんですが、おもちゃ会社なので、いい意味で普通のハードメーカーらしくない可愛らしいデザインで作れるのもメリットだと思います。

ビジネス向けの二次展開は、商品開発の初期段階から構想されていたのですか?

オハナスの発表をした時点で、まずコンシューマ向けの製品展開をした後、ビジネス向けの展開もしていくことも視野に入れている、というアナウンスはしていました。その野望として思っていたことが、実現し始めている、という状況ですね。

ロボットといえば、今、Pepperがプレゼンスを高めていますが、御社にとって、「ライバルなのか?」「棲み分けができている存在なのか?」「(ロボット)市場を一緒に盛り上げていく存在なのか?」等、どのような捉え方をされていますか?

基本、仲間だと思っています。Pepperの中には弊社の人気ゲームである「黒ひげ危機一発」のアプリも入っていたり、Pepperを盛り上げるために協力できることはしています。ロボット市場が何兆円規模になると言われている現在、市場を広げるタイミングだとして、(ロボット関連事業を展開されている企業間で)協力できることはしよう、という感じですね。情報交換は結構していますよ。

今のうちに「小さな失敗」はたくさんしておこう、それを皆で共有しようと考えています。「大きな失敗」をいくつかしてしまうと、(社会に)「ロボットってこの程度だよね」みたいに思われてしまうので、そうならないようにしていこうという考えです。

「小さな失敗」という話が出ましたが、製品開発過程でどのような苦労がありましたか?

会話するロボットということで言えば、「どううまく聞き取って」「うまく会話するか?」という音声認識も含めた部分は苦労しましたね。NTTドコモさんなどの協力を頂きながら音声認識の辞書のカスタマイズは結構時間をかけました。「こういうキーワードは認識しやすくしてほしい」という調整は沢山やってきました。実際にやってみないと分からないところもたくさんあって、例えば、人間は「同意」を表現するにも「はい」「YES」「うん」など沢山の語彙があるので、そこを認識しやすいようにしていく、とかは時間かけましたね。

ハードの部分で言えば、(音声を認識するための)マイクの位置をどうするか?とかもあるのですが、おもちゃなので「コストが上がり過ぎないようにする」というのも大事なポイントです。認識精度を高めるために何千~何万円のマイクを使ってしまうと商品価格に反映されてしまうので、「それなりのマイクで、それなりのことが出来るようにする」というのを目指しました。

製品を発表してから、どのような反響がありましたか?

発表後は取材を受けることが増えました。また、新聞等のメディアでロボットの話題が出ると、弊社のオハナスの写真が使われたり、記事の中身でオハナスがよく取り上げられたりしています。

販売してみて分かったのですが、50~60代の購入者が多かったという想定外の結果が出ました。しかも「自分の親にプレゼントする」という方が10%もいらっしゃるという結果が出ました。玩具といえば、「自分の子供/孫にプレゼントする」が一般的でしたが、そうでない結果が出た、というのも反響としては大きかったと感じています。

今後、御社製品を「どう発展させていきたいか?」や「このようなライフスタイルを実現していきたい」等のビジョンについて、聞かせていただけますか?

オハナスはクラウド活用第一号商品で(ロボット普及の)きっかけになればいいな、というつもりで発売した商品です。今後は相手のプロフィールや趣味嗜好を認識して、人間っぽい対応がもっとできるようになっていけばいいなと思っています。ただ、「ロボット」としての立ち位置をキープしたまま、「人間っぽいロボット」になっていけばいいと。我々はおもちゃ会社なので、「アンドロイド」や「産業ロボット」ではない「ロボット」を作って、「皆の笑顔を作っていく」を実現できればと考えています。

今年のCEATECでどのような人と出逢えればいいと考えていらっしゃいますか?

おもちゃ会社と何が出来るか?を考えられる方々に是非来ていただければと思いますね。おもちゃ会社とコラボレーションするというと、敬遠される方も多いのですが、NTTドコモさんのような会社ともコラボレーションして製品化を実現できた実績もあるので、うまく弊社を使ってくれればいいなと考えています。皆さんの会社で持たれている技術を「自社のサービス以外で利用してみないか?(≒タカラトミーの製品とコラボレーションしていく)」というお話をしていただけると嬉しいですね。

今年の展示の見どころを教えていただけますか?

弊社で開発したロボットを展示します。「ロボットがいる生活」というのは、これからロボットネイティブ(=ロボットとコミュニケーションすることに幼少期から慣れ親しんだ世代)の時代がやってくるキッカケ作りを出来るのが我々おもちゃ会社だと思っていて、「ロボットってこんな風に触るんだ」「こんなロボットがあるんだ」という入り口から、それを低価格で手頃に出来るのが我々のロボットだと思います。それをきっかけに将来的に出てくるであろう高性能なロボットやそれが生み出すライフスタイル等を感じられる展示に出来れば、と考えています。また、研究開発段階のものも展示企画中で、ロボット以外でもVR企画も準備中です

CEATECに期待していることはありますか?

一番期待するのは、ロボットやIoTがもっと盛り上がるきっかけになってくれることです。「IoTって言葉はよく聞くけど、実際どうなるのか?が良くわからない」「ロボットとコミュニケーションしたことない」という方々は多いと思うので、そういう方々に体験できる場になればいいと思います。

ちょっと視点変わりますが、購入者の方に話を聞くと、小学生のお子さんがいらっしゃる家庭の話なのですが、ロボットから「今日どんなことがあったの?」等の質問をされると、ロボットと話しているので「素直に」答えてくれていたそうです。親御さんが把握されていなかった「子供の成長」に気づいた、ということがあったそうです。人間相手だと「相手に好かれたい」「嫌われたくない」「誰かに秘密を漏らされてしまうかもしれない」等の壁ができてしまう。でもロボットは機械だから裏切ることはないので抵抗感が無くなって言いたいことが言いやすくなる、という面があるのです。

そのようなロボットとのコミュニケーションの「良さ」が伝わったら良いなと。我々は先駆けて長年ロボットを開発しているので、まだ表層化していない「良さ・メリット」をユーザーからフィードバック含め気づいている部分があります。それらを皆さんに伝えられたらいいな、と。CEATECもその場の一つになってくれればと思っています。

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