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21世紀の「人と技術が一体になり、みんなが楽しめるスポーツ」を生み出したい。

カテゴリー : 特別企画エリア

今年の目玉企画のひとつ、「IoTタウン」では、市場創出を目指すさまざまなユーザ企業が集まり、新たなビ ジネスモデルにつながるアイデアやパートナーに出会う可能性を生み出します。 各社の叡智を結集し日本発の新たな “街のカタチ” を提案し世界に発信します。

CEATECニュースでは、このIoTタウンに出展する出展者に事前インタビューを行い、各社のIoTへの取り組みや出展の見どころをお伝えします。

今回のインタビューにお答えいただいたのは、

超人スポーツ協会 共同代表 中村 伊知哉 様

株式会社meleap CEO 福田 浩士 様

※超人スポーツ協会と協力関係にあり、IoTタウンに出展されるARサービス「HADO」の提供企業。

超人スポーツ協会 リサーチャー 武田 港 様

の3名の方々です。

はじめに、超人スポーツ協会様の成り立ちや理念についてお話いただけますでしょうか?

(超人スポーツ協会 共同代表 中村氏)2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まったというのが大きいかと思っています。パラリンピックの競技記録がオリンピックでの記録に肉薄してきている現実があります。義足の走り幅跳び選手のマルクス・レームさんはオリンピックでの記録を破る可能性が出てきています。「技術」をまとった「身体」が「身体の超人」を超えるという現実に興味が湧きました。

そこから考えを派生させて、様々な技術を使って自分たちが「超人」になれたら面白いよね、という発想が生まれました。発想はあるのに、そういうスポーツって存在しない、というところから、IoT、ウェアラブル、VR等の新しい情報技術を使った「21世紀のスポーツ」が出来ないかな?というのが動機です。

考えてみると、現在のオリンピックで行われているスポーツは19世紀まで、つまり農業社会で出来たものがほとんどです。20世紀の工業社会ではモータースポーツが生まれました。ただ、21世紀の情報社会で何か(世界的な)スポーツが生まれているか?と言うとまだであり、それは我々が生み出さなければいけないのではないか?という議論をテクノロジーサイドの人達とし始めたのが2014年の10月10日でした。(1964年の)東京オリンピック開幕式の50周年の日に集まってそのような議論をしてたわけですね。その半年ほど後に超人スポーツ協会として組織化しました。

超人スポーツの構想が日本で生まれてきたことは必然だったと思っています。それは情報技術のものづくりのレベルが世界のトップにあることと、もう一つ大きかったのは、ポップカルチャーの力です。「超人」と言った時に、色んなイメージがあるかと思いますが、漫画やアニメで出てくる超人のイメージは大きいと思います。子供の頃から思い描いていた「超人」を今の技術で実現できそうだ、というところに来たということですね。「かめはめ波」をみんな出したかったわけですよ(笑)。「HADO※」でそれが出来るようになったということですね。

我々としては、日本から始めて、この動きを国際的にしていきたいと思っています。

※HADO:今回の展示内容のひとつであるmeleap社の製品。ヘッドマウントディスプレイ上で展開されるAR。
http://meleap.com/

超人スポーツ協会にいらっしゃる方のバックグラウンドはどういう方が多いのでしょうか?スポーツの方なのか?技術系な方なのか?

(中村氏)最初は「MADな科学者」達が集まった感じですね。「俺、やりかたかったんだよ!」とね。スポーツをするのは苦手だけど、スポーツが好きで、何かを開発する技術を持っているという人達が多いです。それで動き出してみると、アーティスト・デザイナー・ゲームクリエイター等、色んな方が集まってきました。最近ではアスリートの為末大さんも参加してくれています。アスリートの方にも、開発してきたスポーツを試していただいています。

CEATECへの出展を決めた理由を教えていただけますか?

(中村氏)毎年、CEATECは見ていたのですが、数年前に自動車業界が入ってきたくらいから、IoTのような概念が今後一気に広まるだろうなと思ってました。IoTというキーワードがメジャーになる前から、いろんなものがネットワークに繋がって新しい世界になりますよ、という展示もありましたよね。それは、ここ20年ほどのデジタル/ITの進化があって、直近数年はスマートフォンの登場によって「スマート化」という動きが出てきました。その次の「新しいステージ」が予期される中、「未来がどうなるか?」を改めて考えてみようよ、というところをCEATECは示してくれていたと思います。去年辺りから、未来が「具体的に」どうなるのか?が見え始めていたので、楽しみにしていたのです。そのCEATECに自分たちがやっていることを出せるのであれば、それは出そうよ、と考えました。

ここ数年でIoTというキーワードが流行しましたが、そこはどう感じていらっしゃいますか?

(中村氏)「やっときた」という感じですね。私は15年ほど前から「ユビキタス」というキーワードが流行り始めた中で、全てのモノの中にデジタルが入り込んで、全てが繋がるということは予想していましたし、実際ウェアラブル等を研究していた人が周りに沢山いました。全てが繋がる世界は目の前に見えていて、そういう時代がすぐ来ると。だが15年ほど来ませんでした。今考えれば、その間に「スマート化」が必要だったんですね。圧倒的に(コストが)安くなって、みんなが(スマートデバイスを)持つという状況になって、ようやく次の展開が来るということなんですね。人と人とのP2Pコミュニケーションから「モノとモノ」とのコミュニケーションという形にシフトしていく時代がやっときたな、というイメージですね。研究室でモノが出来てから、そのくらいの時間は必要ということなんでしょうね。

ハッカソンをやられているかと思うのですが、超人スポーツ協会さんのミッションとしては、超人スポーツへの参画者が増えて、盛り上げていくための場作りということになるのでしょうか?

(中村氏)そういう場でありたいと思っています。開発者もそうですし、漫画家の卵のような方も参加されていて、「未来のスポーツ」の画を描いてくれたりします。さらに、その画を実現しようというテクノロジーを持った人達が参加してくる、みたいな広がりを持った場にしたいと考えています。それをビジネスとして成功させたいという方達もいますので、それを支援したいとも思ってます。何よりも超人スポーツを体験してもらって、「スポーツって面白いよね」という人達を増やしていきたいと考えています。

CEATECでどんな人達に出逢いたいですか?

(HADOを開発されているmeleap社 福田社長)CEATECには(セット)メーカー関連の方も多いと思うのですが、そういう方達とお会いしてHADOのビジネスを広げられたらいいな、と思っています。例えば、メーカーの方だったら、「(HADOと)一緒になって、こういうハードウェアを新しく作ろう」みたいな話になればいいですね。HADOはまだまだ可能性があって、ハードウェアの改善によって、精度が良くなり、深みが増すので、そういうところを一緒にブラッシュアップできたらとも思います。一方で、HADOのようなソフトウェア・サービスを使ってビジネス展開をしたいという方もいらっしゃると思いますので、そういう方とも出会えればと思います。

超人スポーツ協会としては、関わっている人達がビジネス的に成立する、という面も重要なのでしょうか?

(中村氏)重要なんです。ハッカソンやアイディアソンを開いて、そこからスクラッチで生まれてきた種目もいくつかあります。全ての有力競技が独り立ちしてビジネスとして成立するという姿を描いています。それは、スポーツ競技としてのビジネスであったり、その競技に使われるハードウェア製造でのビジネスであったりします。そのようなところに繋げていきたいと考えています。ハードウェア開発で言えば、クラウドファンディングで目標額を達成した超人スポーツ協会発の競技で使われるハードもあります。

その他、弊会の理事であるTBSさんがドローンレースを仙台で開きました。日本型のドローンレースを開発して、国際的なビジネスにしたいと言っています。それも超人スポーツの一つだと捉えています。そのレースは操縦者がゴーグルを装着し、ドローンにカメラをつけて、ドローン目線で操縦するというものです。ネットワークやVR等を駆使した情報社会のスポーツですよね。

現在、超人スポーツ協会発の競技には生まれたばかりの競技からビジネスとして成立しそうというものまで色々な段階ものがありますが、それぞれの競技がステップを進められるよう育てていきたいと考えています。

HADOについては、CEATECで(ビジネスとして)拡大するチャンスを掴んでくれたらな、という思いと同時に、第二第三のHADOが出てきてほしいなとも思っています。さらに言えば、デジタルビジネスをやっている方々が、「(この競技のアイディアは)うちの技術で実現できるのでは?」と思っていただけると良いなと考えています。

HADOについてお訊きしますが、発表されたてから色々な反響があったと思います。ユーザー(コンシューマ)サイド、ビジネスサイド、それぞれ反響があったかと思いますが、どんな反響があったか聞かせていただけますか?

(福田氏)まずユーザーサイドですが、元々HADOを開発した経緯は、「かめはめ波を打ちたい」「魔法を放ちたい」という強い思いから会社を立ち上げ、サービスを開発してきました。子供の頃に憧れたそういう夢が実現できたら誰もがハッピーになるだろうな、ということは予測していて、それを作ってしまえば、みんな夢中になるだろうと考えました。実現するためにどうしたらよいか?と考えた時に、AR技術を使って開発を(2014年に)始めて、それを競技化していくという流れを作っていきました。

ユーザーに対しては「かめはめ波が打てる!」「魔法が放てる!」という訴求の仕方をするのですが、当然のようにみんな共感してくれて、「やりたい」と食いついてきてくれます。予想はしていましたが、やっぱりみんな「かめはめ波」打ちたいんですよね。

ビジネス面で言えば、AR/VRの分野は注目されている中で、「新しい体験」を導入していきたい企業さんは多くて、HADOは体を動かして楽しめる、今までにない新しい体験、ということで使っていただいている感じです。例えば、VRを使った新しいゲームセンター/テーマパークを作りたくて、新しいコンテンツを世界中に探し求めてる企業は沢山あるんですね。日本はまだまだですが、海外ではVRゲームセンターが増えてきている状況なんです。HADOは海外からの問い合わせも多く、弊社の今期売上の半分は海外からです。HADOのようなゲームはほぼ言語が関係ないので広がりやすいと思います。火の玉が飛んできたら避ける、は誰でも分かりますからね(笑)

技術を事業化して、ビジネス化(≒マネタイズ)していくためには色々な障壁があると思います。それらをどのように乗り越えてきたか?これからどう乗り越えていくか?について聞かせていただけますか?

(福田氏)我々としては、テクノロジーを使った新しいスポーツの市場を創造し盛り上げて、2020年に国際大会を開催するまで成長させ、プロリーガーを産んで、それで食べていける選手を育てていきたい、いわゆる「憧れの選手」を作って、子どもたちが義務教育の中でその競技にチャレンジする、というところまで持って行きたいと考えています。

そこに到達するために、最初にやらなければいけないことは「体験できる場を増やす」ことです。全国・全世界にHADOを体験できる場を増やしていく。体験できる場所が増えていけばプレーヤーが増える。プレーヤーが増えれば大きな大会が開かれ、そこにスポンサーがつくようになる、という流れにしていくため、まずは体験できる場を作っていきたいと思っています。そのためには体験場所一箇所一箇所で採算が合わないといけません。利益が生まれないと、施設運営業者にメリットがなく拡大してくれないので、そこにチャレンジしています。

(中村氏)もちろん「体験できる場を増やす」ことは大事です。今は学校のキャンパスや横浜スタジアムのような大きな場所でイベントをやっていたりして、それは重要なのですが、一方で、「毎日どこかで(超人スポーツ競技を)やっているよね」という状況を作り出すことも大事だと考えています。さらに「超人スポーツ専用スタジアム」も要るなと思っています。そのような場はビジネスとして成立する場合もあれば、自治体と連携して公的な枠組みで行う場合もあり得ます。もっと言えば、学校のカリキュラムに組み込んでもらうのが理想ですよね。ですので、間口広く関係各所に話をしていきたいと思います。

もう一つ、規制緩和も必要です。例えば、ドローンレースをやるにしても、周波数帯の問題等で規制緩和を要求していく必要もあります。ドローンレースで使いやすい無線周波数帯の開放等ですね。

最後に来場者向けてのメッセージをいただけますか?

(福田氏)今回展示するのは「HADO」と「HADOカート」という、体を使って動きまわって楽しむという今までにない体験なんです。技術的にものすごく高度な発明をしているわけではないのですが、組み合わせの仕方・発想の仕方でこんなに面白くなる、ということを是非ご体験いただきたいなと思います。

(中村氏)超人スポーツに限らず、スポーツにITはすごく使われています。リオオリンピックでも裏方では(作戦の立案等に)相当ITが活用されています。これが2020年には技術を引っ張る分野になり、ビジネスにもなると思います。その先にある「人と技術が一体になり、みんなが楽しめるスポーツ」を我々は生み出そうとしているので、そこを見出していただけるとありがたいな、と思います。

展示エリア
特別企画
小間番号
4P54
関連リンク
IoTタウン
http://www.jeita.or.jp/japanese/

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