NewsCEATEC ニュース

005

楽天の原点に立ち戻り、IoT時代の「店舗ビジネスエンハンス(強化策)」を創造する。

カテゴリー : 特別企画エリア

今年の目玉企画のひとつ、「IoTタウン」では、市場創出を目指すさまざまなユーザ企業が集まり、新たなビジネスモデルにつながるアイディアやパートナーに出会う可能性を生み出します。 各社の叡智を結集し日本発の新たな “街のカタチ” を提案し世界に発信します。

CEATECニュースでは、このIoTタウンに出展する出展者に事前インタビューを行い、各社のIoTへの取り組みや出展の見どころをお伝えします。

今回のインタビューにお答えいただいたのは、

楽天株式会社 楽天技術研究所

コンピューテーショナルインタラクショングループ
ビジュアルコンピューティンググループ
プリンシパルサイエンティスト / マネージャー
益子 宗 様

シニアコーディネーター
三條 正裕 様

開発統括管理部
総務・人材管理課 開発総務グループ
テクPRチーム
長谷川 理恵 様

の3名の方々です。

昨年(2015年)、CEATECに出展してみて感じたことはどういうことでしたか?

益子出展してみて、反響が多かったですね。IT系のサービスを提供している出展者がそこまで多くなかったのもあるかもしれませんが、かなり注目されていた印象がありました。会場で「楽天さん、どこに出展していますか?」という質問をされたこともありましたし、注目度は高かったと感じました。

益子幾つかデジタルサイネージ系の展示をさせていただきましたが、CEATEC AWARDを受賞させていただき、注目を集めたのも良かったと思います。我々はR&Dの部署なので、アカデミックな業界・展示会で自分たちの開発等を見せることが多かったのですが、CEATECのような産業界の賞をいただいたり、評価をいただいたことが初めてで、「これをどうやってビジネスに繋げたらいいのか?」というお話をいただいたり、(楽天)社内的にも「今後、展示したサービスをどうしていくのか、どうビジネスにつなげていくのか」という話になったりしました。

楽天技術研究所さんとしては、インナーPRとしての効果もあったということでしょうか?

益子そうですね。やはり賞を受賞すると、楽天の社内でも注目・評価を集めることが多いので、そこから楽天グループ内のサービスと連携して、新たなサービスを開発する、という動きになったりします。実際に、ひとつ新しいサービスを作りました。

益子2016年4月に、東北楽天ゴールデンイーグルス (野球球団)と連携して、楽天Koboスタジアム宮城球場の大型スクリーンを利用した広告系サービスを開発しました。球場に行った時に大型スクリーンを見て、「あれ?これサイネージだよね?」と思いまして(笑)。CEATECで賞を受賞できたこともあり、結構トントン拍子で話が進みました。

益子このサービスはデジタルサイネージ業界的にも「新しい」となりまして、デジタルサイネージジャパンで実施されたデジタルサイネージアワードで2つの賞を受賞しました。

DIGITALSIGNAGE AWARD2016 -( http://www.digital-signage.jp/award/2016/)

楽天株式会社「DYNAMITE BOAT RACE Inning」

益子さらに、ネット業界が「リアル」のビジネスフィールドに出てきた、みたいな印象を持って頂けたようで、「ネットからのデジタルサイネージへのアプローチ」といったお題でパネルディスカッションをさせていただいたりしまして。CEATEC AWARDを受賞していなかったら、こういう展開にはなってなかったかな、と思っています。

一般的にデジタルサイネージというと、主にリアルな店舗の看板的役割の販促用途が多いと思うのですが、楽天さんのデジタルサイネージはそこにとどまらず、サイネージを見た後のアクション(購入・購買)を初めから想定している印象を受けます。そのあたりはどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

三條元々、楽天技術研究所は10年前に設立され、その時に「Third Reality※」というビジョンを掲げ、「ネットとリアルが融合・協調」して新しいビジネスやテクノロジーが出てくるだろうと考えていました。そのひとつとして、デジタルサイネージがありまして、ただ単に情報を伝達するだけでなく、リアルな世界からネットの世界にのめり込む・入り込むツールの一つとしてデジタルサイネージを位置づけしていたというところがあります。

益子デジタルサイネージは、IoTの考え方と通じますが、インターネットがリアルのいろんなところに染み出しているというか、PCやスマホによるインターネット体験だけでなく、さらにリアルに密着して、新しいユーザ体験を生み出せるものになっていくのではないか?と。そこにコンテンツとして、楽天グループの70以上のサービスとの組み合わせで新しい価値をどう提供できるか?を考えています。

お話を伺っていると、楽天技術研究所さんは、グループ内の他事業との連携スピードが早い気がするのですが、実際そうでしょうか?

三條そうですね。研究所の中には、他の事業と兼務をしているケースもあるので、R&Dに求められるものと事業に求められるもの(収益性等)をどちらも意識してやっていく、という感覚はあるかもしれません。

今回2年目になりますが、どのような技術(製品・サービス)を紹介・展示されますか?また、CEATECで出展するに当たって何を期待していますか?

益子我々はB to B to Cビジネスが基本なので、エンドユーザ(=コンシューマー)がお客様なのはもちろんですが、楽天に出展してくれている店舗様もお客様になります。各店舗様への支援策/サービスについても常に考えているのですが、今回のCEATECでは、店舗様への支援策/サービスを1〜3つ程展示したいな、と考えています。単純にリアルな店舗に対してのエンハンスだけでなく、ネット(楽天市場)店舗も持っているからこそ出来る技術/価値提案を展示していきたいと思います。

益子例えば、店舗に展示されている商品をスマートフォンと連動したポインターで指すと、その商品に関する付加情報(テキスト・画像・動画等)が表示されるというものです。

益子その他には、環境適応型のデジタルサイネージをショーウィンドウと連携して提供するということも考えています。ショーウィンドウの前を通る人のデモグラや嗜好をセンサーで判別して、インターネットから最適なコンテンツをサイネージに表示する、ということも考えています。

益子他にも考えていますが、まだ開発中なので、今はナイショです(笑)

技術を事業化に繋げるためにどんな取り組みをされていますか?

三條テクノロジーサイド(テクノロジスト・エンジニア等)には、まずビジョンを示して、どういう方向に進んでいくのか、ビジネス的にマネタイズが成立するのかを補正しながら、進めていきます。事業的に収益を上げるために考慮しなければいけないポイントがずれないよう、日々ディスカッションをするようにしています。

楽天技術研究所さんとしてはIoTというキーワードに関しては、どのように考えていますか?

三條我々が唱えているThird Realityの概念の中に入っているものだと思っていて、それを実現するための一つの要素だと考えています。

三條昨今の技術の進歩により、様々なデバイス・センサー等から収取できる、あらゆる情報をデータとしてインターネットを介し活用できる状況になってきていて、そういった通信ができる口(≒インターネットへのアクセスポイント)ができているということは、IoT/Third Realityが実現できる世界/状況になってきているなと感じますね。

※ Third Realityとは・・・

Firstを現実世界、Secondをインターネットの世界としたときの、Thirdとしてその2つが融合・協調して生まれた新しい世界観を表す言葉。楽天技術研究所で使用(提唱)されている概念。

お話を伺っていると、楽天技術研究所さんとして、様々な新しい技術・ソリューションを開発されているけれども、楽天さんの原点である出店店舗様をエンハンスしていく点はずっと重視していて、ある意味原点回帰しているような印象も受けます。そういった点も踏まえ、今後どのようなテクノロジーとのコラボレーションに期待していますか?

三條楽天グループの事業の拡大という点で見てみると、「インターネットでの販促」という「道」ができて、そしてそれがマルチチャネルな世界へと進化した。わかりやすく言えば、まず「PCで買い物が出来る」という世界ができ、それがモバイルデバイスで買い物が出来るようになり、販売チャネルが広がっていった。それに加え、楽天グループ内でのシナジーにより事業全体が大きくなってきた、と言えると思います。そう考えると、我々が提唱している「Third Reality」も楽天の原点/文化に沿ったものだと思います。

益子原点回帰というキーワードで言うと、楽天の出店店舗様の中にはインターネット上の店舗だけでなく、リアルな店舗を持ち出している方々が出てきています。ネットだけでは表現できなかったものをリアルな世界で表現し、「おもてなし」のような付加価値をつけていく、ということをやられています。

益子例えば、よなよなエールで有名なヤッホーブルーイングさん(http://www.rakuten.co.jp/yonayona/)は、エール(ビール)を体験できる店舗を持ったり、イベントを行ったりして、「ファンをいかに作るか?」ということに注力し、事業を拡大されています。

益子出店店舗様の感覚としては、ネットだけでは購入に踏みきれないものを、リアルな店舗で体験してもらい、「これいいね!」という感覚を得てから買ってもらう、という感じになってきていると思います。

益子そのような出店店舗様がいくつか出てきているので、原点回帰というよりは、そこからさらに進んで、(インターネット上だけでなく)リアルとコラボレーションしていくことも大事、という動きは出てきていると思います。

益子楽天技術研究所としては、その動きを技術的にサポートできる何かがあるといいな、と考えています。それはThird Realityもそうだし、サイネージを使って、リアルとネットを混ぜて何かをやっていこうという動きもそうで、そこは非常に興味のあるところですね。

今年のCEATECでの展示のみどころについて教えて下さい。

三條去年は、技術的な展示をしていて、今年も基本的には技術的な展示になるかと思います。実際会場では「この技術どこで買えるのか?」みたいなビジネスに直結することを期待された質問が多く、そこに直接的な答えをすることは正直難しいのですが、我々としては、ビジネスを見据えたうえでの技術・ビジョンを提示しているので、そこをアピールできたらいいな、と考えています。

最後に、会場でどんな出会いがあればいいな、と考えられていますか?

三條ビジネス中心の方でも、研究中心の方でも、Welcomeで、色んな方の色んな意見を聞いて、お話できればいいなと考えています。また、ユーザさんにも来てほしいです。「こういう世の中になったら便利だな」「未来ってこうなるかもしれない」を感じてもらえるといいな、と思っています。

益子また、ネットとリアルが融合したら面白いということはみんな考えるのですが、そのフック(≒リアルからインターネットにアクセスするときに使われるツール的なもの。ブラウザでのURL打ち込み等。)となるもの(技術)でスタンダードになり得るものが出てきていないと個人的には思っています。そこに関する技術的な観点でも、ユーザ的な観点でもディスカッション出来るといいな、と期待しています。

長谷川お二人のお話を聞いていて、今年の出展も楽しみになってきました。たくさんの方にご来場頂き、皆さんの新しい気づきの場となればと思っています。

展示エリア
特別企画
小間番号
4P54
関連リンク
楽天技術研究所 公式サイト
http://rit.rakuten.co.jp/

News

CEATECニュース
出展各社見どころ更新情報
業界最新ニュース
プレスリリース
CEATEC JAPANからのお知らせ
最新情報分析レポート Futuresource
出展ご検討の方はこちら 出展募集サイト

Prime Media Partner

一覧でみる

Media Partner

一覧でみる