国立情報学研究所(NII)と北海道大学、大阪大学、九州大学は、文部科学省の国家課題対応型研究開発事業「社会システム・サービス最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤の研究」において、実世界から得られる様々なデータを情報空間に集約して分析し、その結果を実世界に適切にフィードバックして社会の課題解決や新たな価値創造に資するソーシャルCPSに関する研究を行っています。
このソーシャルCPSの基礎となるIT統合基盤の構築のため、以下のような課題に取り組んでいます。
1)多種多様なデータ収集を広域包括的かつ機動的に可能とするパーベイシブ・センシング機構の実現
2)複数・異種のデータストリームを実時間で効率良く蓄積・管理し、安全なアクセスを提供するデータ管理基盤の構築
3)多様なデータを連携させたデータ分析・推論機能と対話的可視化による意思決定支援の実現
これら技術や実証実験のサービス例について紹介します。
ソーシャルCPS統合可視化分析技術と札幌市における除排雪の効率化実証実験
札幌市をフィールドに、道路交通状況、気象などの蓄積過去データ、および、実時間データを複合的に分析・活用して行っている、エビデンスベースの意思決定支援による除排雪効率化のための実証実験の状況を紹介します。
1)路線バス、除排雪車両、商用車プローブ、および、レーザスキャナによる道路周辺計測データのリアルタイム収集・可視化技術
2)多種多様なデータのインタラクティブな可視化・分析を可能とする統合可視化分析技術
3)クラウドソーシング型ドライブレコーダーアプリによる動画像、センサーデータ収集と交通イベント検知技術
高精度トラッキングシステム「ひとなび」
ひとなびは、「レーザー測域センサー」を複数台用いて、屋内の歩行者の位置と軌跡を高精度に追跡し、屋内の人の位置と行動をリアルタイムに可視化します。歩行者側ではセンサーや端末を保持する必要はなく、歩行者にとって負担の少ないシステムとなっており、不特定多数の人が行き交う公共空間での利用も可能です。歩行者の計測には、高精度レーザー測距計を利用しており、誤差は高々数十センチと非常に高精度です。また、危険性のない低出力のレーザー(クラス1)を利用しております。これらの高精度レーザー測距計を複数台利用することにより、展示会場、100人規模のオフィスなど広範囲の領域においても、参加者の人々の位置や混雑状況、軌跡把握をサポート可能です。これに加え、スマートフォン、各種センサーと連携したサービスも可能で、混雑回避ナビゲーションや、人の動きに合わせたBEMSなどなど、様々なアプリケーションの基盤技術として貢献致します。
個人レベルの人間中心エネルギー利用最適化
「快適な省エネをどう実現するか」という問題に、「個人それぞれにとって快適である」という観点からの切口で迫ります。そのために、個人の行動の様子や行動計画をセンサーなどから推定し、電力使用量の計測結果とすりあわせることで、個人の電力消費の状況を推定します。個人レベルでの省エネ意識向上を狙った個人電力消費状況の個人へのフィードバックや、ピークシフトなどを実現するための個人レベルでの行動リコメンデーションなど、様々なフィードバックを個人個人の受け入れ安さを考慮しつつ取捨選択する快適な省エネを実現します。
〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
国立情報学研究所 サイバーフィジカル情報学国際研究センター
今井 和雄
03-4212-2960
cps-event-office@nii.ac.jp
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CPS-IIP project
サイバーフィジカルシステムのIT統合基盤の研究開発を、国立情報学研究所、北海道大学、大阪大学、九州大学が連携して推進する研究プロジェクト