セラミック封止用レーザーガラスフリット

従来より熱膨張係数が低く、セラミックスへの濡れ性を向上させたレーザー封止用ガラスフリットを世界で初めて開発しました。

イメージセンサやLED、MEMSミラーなど、光の透過性が求められる半導体素子のセラミックスパッケージには、透明なガラスリッド（ふた）とセラミックス製キャビティ（容器部）が使用され、それらの部材の封止には、低温で封止できる樹脂が使われるのが一般的です。しかしながら、樹脂による封止は、強度や気密性、耐久性に課題があり、高い信頼性が必要な用途では非常に高価な金スズハンダが封止材料として使われています。一方、レーザーシール用ガラスフリットは、レーザー光を封止部に局所照射することで、実装した素子に熱ダメージを与えないことが最大のメリットですが、従来はセラミックスとの熱膨張差や濡れ性の悪さから、レーザー出力を上げなければならず、結果としてガラスリッドが熱衝撃で割れやすいなどの問題がありました。

このような中、当社はガラスリッドとセラミックス製キャビティとの封止に最適なレーザー封止用ガラスフリットの開発に成功しました。

＜本製品の特長と、得られる効果＞

①セラミックスに近い熱膨張係数（6.5～7.2ppm/℃）
封止後の降温過程における各部材の収縮差が低減し、部材の破損が減少
②セラミックスとの濡れ性に優れる
レーザー出力を１０％低減（従来品比、当社調べ）できるため、低温での封止が可能となり、熱衝撃によるガラスリッドの割れを抑制

また、当社からは、今回開発したレーザー封止用ガラスフリットに加え、このガラスフリットと有機溶剤を均一分散させたペースト、ガラスフリット塗布済みガラスリッド、およびLTCC*製キャビティの提供が可能であり、セラミックスパッケージへの様々なご要望にお応えできます。

レーザーガラスフリットの使用例

様々な熱膨張係数に対応する半導体用サポートガラス

様々な熱膨張係数を有し、優れた平坦性を兼ね備えた半導体用サポートガラスを開発しました。

次世代半導体パッケージ技術として期待されるFOWLP※1(Fan Out Wafer Level Package)のように、半導体と再配線層や樹脂など、熱膨張係数の異なる材料を同一基板上で組み合わせる工程では、熱膨張の違いによる反りを防ぐため、その組み合わせに適した熱膨張係数をもつ基板が必要となります。

今回開発した半導体用サポートガラスは、こうしたニーズに対応する基板として、半導体パッケージの設計材料に合わせて最適な熱膨張係数のガラスを選択することができます。

※１　FOWLP：チップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するパッケージ

●製品寸法： 直径300ｍｍ× 厚さ0.55～1.00mm
●表面平坦度： TTV（面内肉厚偏差）2μm以内
●その他特性： 透明で光を透過するため、UV硬化樹脂などの使用にも対応

半導体用サポートガラス

AG/AR/AF膜付きDinorex®

Dinorex®は、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末のカバーガラス、あるいはその他の新たな用途のために開発された、化学強化専用ガラスです。ディスプレイ画面を傷や衝撃から保護します。
Dinorex®という名称は、Dinosaur(恐竜)＋Rex(ラテン語で「王」)から命名しました。

このDinorex®に様々な機能膜を施すこともできます。AG/AR/AFコーティングされたDinorex®は、車載ディスプレイのカバーガラスに最適です。
特長としては、卓越した光学特性（低スパークル、低反射映り込み）、ムラが無く均一性が良いこと、高耐久性、曲面への応用も可能、といったことが挙げられます。

AG（Anti-Glare、アンチグレア）は、ガラス表面の微細な凹凸形状により、映り込みを目立たなくし、映像の視認性を高めます。
AR（Anti-Reflection、反射防止）は、映り込みの反射を低減し、映像を美しく見せます。
AF（Anti-Fingerprint、防汚）は、指紋などの汚れが付き難く、拭き取りやすくします。

AG/AR/AF膜付きDinorex®