東京工科大学は、ディープラーニング技術を用いたオンライングループ学習支援システムを出展する。昨年の出展に続いて2回目となる。研究の代表者である東京工科大学教養学環・大学院 バイオ・情報メディア研究科の稲葉竹俊教授は、昨年の出展について「会場では多くの企業関係者が関心を持ってくれ、声をかけてくれた。実際にそれがきっかけとなって、具体的な産学協同研究・開発が実現している」と高く評価する。今回の出展では、そうした産学協同研究の実例をメインにデモをする計画だ。
稲葉竹俊教授(左)、安藤公彦講師(右)
ブログの記事を解析し最適なタグづけで滞留時間を伸張
実例の一つ、ムラウチドットコムとの研究では、同社のブログサービス「日本ブログ村」ニおけるブログ記事を解析し、あらかじめ準備したタグに分類する。「適確なタグづけができることで、より視聴者に関心の高い関連記事を示すことができるため、ウェブサイトの滞留時間を長くする効果がある」(稲葉教授)という。
また、ビズオーシャンとの研究では、同社の業務支援AIソフト「SPALO」において、音声入力された文章から、必要な部分を抜粋・要約し、自動で議事録や報告書を作成するAIを開発中だ。「ビズオーシャンでは、従来、日付、議題、内容など、項目ごとに入力し、エクセル上に展開する機能を持っていたが、会話の内容から、それぞれ該当する項目を抜粋し要約するという高度な作業が可能になった」(稲葉教授)
2年連続して国際的な評価
同学のディープラーニング技術を用いたオンライングループ学習支援システムは「ディープラーニング技術による教育ビッグデータの分析・可視化手法の開発・評価」というテーマで開発された。学生間の対話(チャットデータ)をテキスト化し、リアルタイムで自動分類(タグ付け)をすることで、データの定量的分析と、定性的な発言内容の解析ができる。これにより、学生同士のディスカッションから、各学生の積極性や、問題解決へ向けた貢献度などを評価する。
ラベルの自動化は、これまでも、機械学習の手法による研究があったが、深層学習では初の試み。従来の機械学習と比べ、高い精度を実現したことが国際的にも評価されている。昨年に続き、今年イタリア・ローマで開催したeラーニングの学会 eLmL2018で表彰されている。
産学協同研究の成果をデモ
今回、ブースでは、幅広い産業用途での活用として、これまでの研究を通じて開発したアピールポイントとして、以下の4つをアピールする。
1. 会話の状況把握(発話量、発言内容、コミュニケーションの関係性などから、会話の方向性など)、メンバー個人、全体の把握、グループ間の比較
2. ボットのキャラクター化(会話内容・状況にあわせた指示・発言、けんか等の仲裁、アニメのキャラクター設定)
3. 長い会話の中で決まったことを要約・議事録を作成
4. ブログ分類
特に上記の3と4は、前述のように昨年のCEATECへの出展から生まれた産学協同研究の事例を紹介する。研究担当者の一人、東京工科大学 クラウドサービスセンター講師の安藤公彦氏は「これまで培われてきた会話データの解析手法についてのノウハウが、コミュニケーションの解析という点で、ビジネスシーンを含めた幅広い領域で活用できることが産学研究の成果で実証された。今回のCEATECでのデモを通じ、より幅広い産学研究へと進めたい」と期待をにじませる。
- 会社名
- 東京工科大学 ディープラーニング・対話・まなびプロジェクト
- 展示エリア
- [B]AI/ビッグデータ/サイバーセキュリティ
- 小間番号
- B031
- URL
- http://laweb.cloud.teu.ac.jp
- 出展者詳細
- http://www.ceatec.com/ja/showfloor/detail.html?id=12135