5G（第五世代移動通信システム）は、今年６月に開催された3GPPの全体会合「3GPP　Plenary」で5G NRの標準仕様の策定が完了。3GPPは、ATIS（米）、ETSI（欧州）、ARIB（日本）、TTC（日本）、TTA（韓国）、および中国のCCSAなど、各国・地域の標準化関係団体で構成されており、事実上の移動通信システムの国際標準団体だ。
　昨年12月に策定が完了した5G NR NSA（ノンスタンドアローン、4Gが5Gの動作を補助）に続き、5G単独で動作するSA（スタンドアローン）に関する仕様策定も完了し、5Gの高速大容量通信を支える主要機能がすべて仕様化されたことになる。
　6月の仕様策定の完了を受け、ファーウェイを含む、欧米、中国、日本の主要通信事業者、通信機器ベンダー51社は連名で、5Gの商用展開へ向けた多様な業界との連携を加速させていくこと、それによる新ビジネスの創出を積極化していくとの声明を発表。2018年は、文字通り世界における5G商用化元年として、さまざまな業種における企業の連携が本格化している。

　ファーウェイは通信業界の主要プレーヤーの一社として、5G標準の策定で大きな存在感を示しており、世界各国の政府、規制当局、研究機関、学界、産業界などの関係各社・団体との協力・協働をいち早く進めてきた。
　なかでも今年6月末に中国・上海で開催したMWC上海では、無人運転や、遠隔制御の医療ロボット、クラウドAR／VR、クラウドPCといった5Gアプリケーションを披露。さらに、業界初となるエンドツーエンドの5G商用製品群を展示するなど、具体的なソリューション、製品を提案している。

　こうした企業連携から生み出されるアプリケーションの対象領域は実に幅広く、具体的だ。すでにユースケースとしてクラウドVR、遠隔運転、コネクティッドファクトリー、デジタルスカイ、eヘルスなど、47の5Gイノベーションプロジェクトをスタートさせている。デジタルスカイでは1人で複数台のドローンを同時運用できるような研究が進められているなど、5Gを駆使することで現在の技術、アプリケーションが全く違った進化を遂げるとともに、新たなビジネス、サービスへとつながる可能性が期待されている。まさに近未来が見えてくる感覚だ。

　赤田氏は、今回の講演で5G標準化と世界の動向に加え、上記のようなファーウェイの想定する異業種に跨る新たな各種ユースケースについて紹介する。さらに4Gから5Gへのネットワークマイグレーションのシナリオや、5GにLTEと同等のカバレッジを提供するUL/DLデカップリングによるコスト低減技術など、最新の技術動向を解説する。また、「今後、4Gのサポートにより動作するNSA（ノンスタンドアローン）仕様のエンドツーエンド5G製品を発表を予定しているほか、来年3月30日には5G単独で動作するエンドツーエンドのSA（スタンドアローン）仕様新製品、そして来年6月にはいよいよ5G対応のスマートフォンの発表を予定している」という。
　今回の講演は世界、そして日本の最新の5G動向と今後の展望を知るうえで絶好の機会になりそうだ。