一般社団法人TransferJetコンソーシアム
取材日 : 2014.3.13
- 一般社団法人TransferJetコンソーシアム
Marketing Working Group Chair
- 林 寿一 様
出展者インタビューでは、ご出展いただいた企業・団体の方にお話をうかがってまいります。
今回は、一般社団法人TransferJetコンソーシアムを代表して、Marketing Working Group Chairの林 寿一様にお話をうかがいました。
他団体とのコラボレーション実現のきっかけ作りを第二の目的に設定
- Q. まず最初に昨年のCEATEC JAPANに出展した目的をお聞かせください。
- TransferJetコンソーシアムは、TransferJet技術の技術標準化とその普及推進ならびに相互接続性認証を行う団体です。展示会出展の第一の目的は、この技術を使ってもらう業界や企業の方に広く知ってもらう「認知度の向上」です。
- また、CEATEC JAPANは他の展示会に比べて非常に幅広い出展者や来場者が集まる展示会です。このことから技術発表だけでなく、こういうアプリケーションでも使えるので一緒に取り組んでみませんか、という提案を通じて「技術・製品を持っている企業の団体」と「サービス・コンテンツ等の提供者の団体」のように、お互いの足りない部分を補完するエコシステムを構築するためのきっかけづくり、という第二の目的を設定するに至りました。
- この2つが基本的な出展の目的であり、他の団体とのコラボレーション実現のための話し合いをする場としてCEATEC JAPANを活用できるのではないか、と考えたという事です。
- Q. 昨年出展を決めたポイント、課題として検討したことはどのようなことでしたか。
- CEATEC JAPANでは近年、扱う業界の幅が広くなり、特にモバイルキャリア様の存在感が大きくなったこともあってか、様々なサービスを作る方々、コンテンツを保有されている方々の出展、来場が増えています。私たちはこれらの方々に、TransferJetを使うことでより優れたサービスを構築できるので一緒に取り組みませんか、とアピールすることを考えました。
- 昨年は、サービスやコンテンツを提供する企業・団体とのコラボレーションのきっかけをつかむことを出展目的に加え、一昨年に比べて、アプリケーションの見本をたくさんご用意し、サービス提供する方々やコンテンツを保有する方々に対するアピールを強めるという展示方針を定めました。
- 結果として、CEATEC JAPANには我々が期待していたような来場者が想像以上に多くいらっしゃるという実感が持てたため、この流れを続けていくことに価値はあるだろうと判断しています。
来場者の目線に立った展示とCEATEC AWARDへの参加が有効
- Q. 現在出展を検討している方へのアドバイスとして、CEATEC JAPANの上手な活用法についてお聞かせください。
- 展示会を製品や技術のショーケースとして利用している出展者が多いのではないかと思いますが、一方通行の情報発信の場としての出展ではWebを始めとする他の手段による情報発信のROIを超えるのはなかなか難しいのではないかと思います。
- 一方、そこに足を運んで来ていただいた方と直接の会話を通じて、例えば技術を提供する団体とサービスを提供する団体が、お互いの強みを組み合わせた新しい価値創造のヒントやインスピレーションを得ることは、Face to Faceの展示会でなければ実現が難しいことと思います。
- 今後CEATEC JAPANへの出展を検討される際には、コラボレーションをする相手の目線に立った展示を多少でも組み込むことを検討しても良いのではないかと思います。
- また、CEATEC AWARDには応募した方が良いと思います。昨年、TransferJetコンソーシアムはキーテクノロジー部門でCEATEC AWARDを受賞しましたが、ご来場者が受賞盾に目を留め、そこから話をするきっかけになったことが何度もありました。CEATEC AWARDの受賞は応募の労力をはるかに上回るメリットがありました。
SDアソシエーション様の技術紹介コーナー、TransferJetの体験コーナーなどの設置を検討中
- Q. 今年度の出展に向けて、今お考えのことをお話しいただけますか。
- この度、TransferJetコンソーシアムは、SDアソシエーション様(https://www.sdcard.org/jp/home)と、お互いの技術を相互に普及推進するためのプロモーションに関するリエゾン契約を締結いたしました。SDアソシエーション様はここ暫くCEATEC JAPANには出展してこられませんでしたが、この契約締結に伴い今年度のCEATEC JAPANで、TransferJetコンソーシアムブース内にSDアソシエーション様の技術紹介コーナーを設ける方向で協議を進めています。
- また、今年の春先に開催された別の展示会では、販売中のTransferJet対応USBアダプタや、試作品のTransferJet対応SDメモリーカードを使って、実際に多くの皆様が使用中のAndroid端末、Windows PCやカメラでTransferJetを体験していただく展示を行いました。この「実際に触って体験する」ということを通じて、すでにTransferJet技術をご存知で他の通信技術で十分だと思っていたような方も、改めてその速度性能、簡単な使い勝手、瞬間起動等の魅力をご理解いただけることが多かったと思っています。
- CEATEC JAPANは上述の展示会とは来場者層が異なるので、どのようなアプリケーションを使用し、どのように見ていただくかは検討中ですが、実際に実機に触れてその使い勝手や速度性能を体感していただく形の展示は今後も重視してゆきたいと考えています。
- Q. 他に、昨年の出展で良かった点を教えていただけますか。
- 昨年は、学生対象のイベントが行われた影響か、学生の方の訪問が多かったと感じました。TransferJetを使用した製品が発売されるのに合わせ、CEATEC JAPANの場でTransferJetアプリアイディアコンテストの実施を発表しましたが、これには学生の方から非常に多くの反応が得られました。
エコシステムとインスピレーションをキーワードに展示コンセプトを構築
- Q. 最後に今後のCEATEC JAPANへの要望やご意見などございましたらお願いします。
- 昨今の展示会は実質的に商談会になっているものが多いと感じます。これに対してCEATEC JAPANの魅力は、出展者・来場者の幅が広いことと、商談ベースではない先進的な技術やサービスの紹介・提案を通じて、様々な人に出会い、構えず話をすることでインスピレーションが得られることにあると思います。様々な人にどのように使っていただくかというアイディアを提供し、TransferJetをどのように改良していけば良いのか、というアイディアを頂戴する場としてCEATEC JAPANを活用していきたいと思っています。
- 私見ではありますが、これからの展示会では、エコシステム、インスピレーションといったキーワードを意識した展示コンセプトの重要性がさらに増してゆくものと思います。逆説的に言えば、Face to Faceでなくては得られないことをやらないと展示会に出展する意味はないですし、それこそが展示会出展の最も価値あるものではないかと思っています。
- CEATEC JAPANについても、このような利用価値が無ければ継続出展判断は正直難しいのではないかと考えています。
TransferJetコンソーシアムについて:
TransferJetコンソーシアムは、「TransferJet」製品の開発やサービス事業を行なう国内外の企業が集まり2008年に発足したものです。「TransferJet」無線技術の規格策定、相互接続認証、普及促進活動を積極的に行なっています。
TransferJetとは:
TransferJetは、誰もが簡単に安心して快適に使えることを目指して開発された近接無線転送技術です。
通信したい機器同士を直接かざすだけで通信が行なえる簡単操作、通信距離が極めて短いためデータ漏洩の可能性が低く、自分が接続したい機器を予め登録することもできる安心接続、最大転送レート560Mbps、実効レート375Mbpsの高速通信による快適転送、などの特長があります。
*TransferJet および TransferJet ロゴはTransferJetコンソーシアムがライセンスしている商標です