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※『フューチャーソース・コンサルティング (Futuresource Consulting Ltd)

Vol.1032015年11月30日

マイクロソフトが2016年のK-12 (小中高生向け教育) 市場で反撃を開始

2015年12月14日英国Dunstable発―英国市場調査会社Futuresource Consultingの「教育技術 K-12市場レポート」によれば, Windows OSを抱えるMicrosoftは、2016年に全世界でK-12 (小中高生向け教育) 用PC/タブレット市場で採用され市場シェアを伸ばすべく、反撃の準備を整えている。

ここ数年にわたり、全米市場ではGoogleがMicrosoftとAppleの2社を抑え、(同社のPCであるChromebooksの躍進に伴って) Chrome OSを急速に浸透させている。Q3にはChromebooksの販売が163万台に達し、(全米のK-12市場で2015年Q3に51%となって) 初めて市場全体の50%を超えた (これはQ3の販売台数であり稼働台数ではないことに注意)。このChromebooksの好調な売れ行きは、多くの地域でオンライン・アセスメントが必要になったこと (またすべてのデバイスにキーボードが必要とする法律ができたこと) と時期を同じくしているようだ。使いやすい単純なエコシステムと魅力的な本体価格の設定、それに業界の先端を行く管理用プラットフォームとがうまく組み合わさって、Chromebooksは全米市場で幅広く普及する勢いを得たのだろう。

しかしながら、アメリカ以外の市場ではChromeの成長はずっと遅いままである (アメリカを除く全世界で2015年Q3に3%のシェア)。オンライン・アセスメントのためのスイッチは (先ごろ発表されたフィンランドでのプロジェクトを除けば) 一過性の増加要因であり、これを除くと全体的にそれほどの勢いはないようだ。世界の多くの国々、とりわけブラジルやメキシコ、インドと言った主要な新興国ではまだクラウド上でインフラを運用できるほどの接続は整っていないし、西側先進国でもChromeの採用は着実に増えてはいるものの、アメリカのような爆発的な普及は見られないのだ。

Microsoftはデバイスの扱いやすさと新製品の品揃えに注力して反撃

Microsoftはアメリカ以外での反撃を始めた。新興国のK-12向け市場に向けた主要なプロジェクトで成功を収めたのだ。例えばメキシコ政府との96万台の商談や、Bin Rashidスマートラーニング・プログラムの一部となるUAE向けのMicrosoft Surfaceの11,000台の商談などだ。反撃はAndroidが大きな競争力を持つすべての地域を対象としている。

Microsoftは明らかにK-12市場に対し多面的アプローチをとっている。Windows 10の新発売に始まるアプローチだが、他方、Lightspeed Systemsとの戦略的技なパートナーシップも先ごろ発表され、マルチユーザーのK-12 環境全体にわたる扱いやすさの向上にも取り組んでいる。Chromebooksの急成長の理由の一つとして挙げられているのが、同PCを大規模に繋いて使うような環境下でもIT管理者にとって管理がしやすいような単純性を持っていることだろう。Windowsのエコシステムが複雑すぎるという苦情は多い。Lightspeedとのパートナーシップはこれに対処するためのもので、これまでのところユーザーからの反応は良いようだ。

Chromebooksが成功したもう一つの大きな理由は、その魅力的な価格設定だろう ($200-230前後)。ChromebooksはK-12市場でうまく「エントリーレベル」の位置を占めることができたのだ (タブレット以外の商品分野で)。Futuresourceによれば、2016年にはMicrosoftはOEMのパートナー会社と共に積極的な攻勢に出て、幅広いWindowsのノートブックPCが$300以下の価格帯を狙って参入するようだ。HPとAcerはすでにHP StreamやAcer Cloud Bookの販売を始めており、他のOEMからも2016年初頭には同様の新製品が相次いで発表されるだろう。Microsoftはこれまでおそらく劣勢だったが、新たな戦いへの道はすでに整い、地歩を固め成長を始めるための反撃が始まったのだ。

2016年には、一台二役 (2in1) の製品分野でも大きな戦いが起こる (取り外し可能なキーボードや360°コンバーチブル型でタブレットとしても使えるPC)。この2in1製品は長らく教育部門にとっては理想的と考えられてきたが、価格設定が高かった (一台普通$500以上) ためにこれまで普及は限られており、Q3で全米の需要は5%、グローバルでは3.7%に過ぎなかった。この価格も大きく下がり、グローバルで大量販売が始まればその当初の小売価格は$300-350あたりになると見られている。Futuresourceの予測では、2in1製品の市場シェアは2016年にアメリカで11%、世界全体でも8.5%に達する。Microsoftは従来からこの製品分野に強みを持っていて、今後もしばらくはその地位を保つだろうが、Googleも先ごろChrome OSとAndroidを機能的に統合していく方針を発表しており、Chromeのエコシステムでもタッチパネルを使ったインターフェース機能はますます普及していくだろう。

Futuresource Consultingの教育技術担当アソシエート・ディレクターMike Fisherはこう語る。「Chromeは紛れなくアメリカの市場をリードしており、K-12向けOS市場では50%以上のシェアを取り、AppleとMicrosoftに大きく水をあけています。Microsoftは強力な対抗策を講じつつあり、Lightspeedとのパートナーシップを発展させてデバイスの扱いやすさの課題に対処する一方で、さまざまな新製品を市場に投入し、価格帯が$300以下の重要な製品群ではGoogleと正面からぶつかり合うことになるでしょう。Googleがこれまでアメリカで築いてきた勢いをMicrosoftが果たして止めることができるかどうか、興味深い所です。2016年夏の買い物シーズンには、OSの「価格戦争」が起こり実に激しい競争となることでしょう。」

アメリカ国外では、2in1型デバイスの価格低下によってMicrosoftが新興国市場を中心により強い位置を獲得するだろう。大量納入ではAndroidタブレットと正面から競り合うことになる。一つだけ確かなことがある。ここでの勝者は学校だ。K-12の教育向けのコンピューター販売というこの大きな成長のチャンスを逃すまいと業者側が激しく競い合い、さまざまなデバイスがより多く、手の届く範囲に出て来るだろうからだ。