従来のEPD (Electrostatic induced Plasma Deposition)装置を改良し、静電気誘導の最適化を考慮した新たな静電誘導プラズマ成膜装置(ターゲット方式EPD)を開発した。そしてこの装置を用いてアルミナ膜を形成し、その絶縁特性を評価したところ、ナノ粒子のみが緻密に結合したアルミナ膜の形成を可能とし、バルク体を超える良好な絶縁特性を得た。また、比較するスパッタ法に比べ、桁違い(75倍)の成膜速度750nm/min(100㎜角)が得られた。ジルコニア系、イットリア系などの成膜例あり。
サポイン事業で開発した高い絶縁破壊電界強度を持ったナノ構造アルミナ膜、耐熱・遮蔽バリアー膜、耐プラズマ膜等のサンプル数点を展示。
摩擦帯電された原料粒子が,噴射される成膜過程でプラズマを誘発する.静電気の発生には水分が重要な因子で,原料粉の前処理加熱が成膜速度に強く影響を及ぼす.成膜過程で,持続的な発光現象が明瞭に確認できる.
静電気誘導の最適化に向けて装置改造(ターゲット式AGD)を行なった結果,ナノ粒子のみが緻密に結合したアルミナ膜の形成を可能とし,そのアルミナ膜がバルク体の20倍の絶縁破壊電界強度を持つことを示した.
AGDによるジルコニア膜において,高温相の正方晶が検出された.AGD成膜中,発光が確認できた.プラスチャージされた粉の飛来が,AGDプロセスには,非常に重要であることが示唆される.
AGDによるジルコニア膜において、高温相が検出された。高温相の割合は、使用粉の粒子サイズに依存し、7.4μmのBR-QZ粉が極大値を示した。AGD成膜中、発光が確認できた。
AGDジルコニア成膜において、粒子径と比表面積が重要であることが分かった。平均粒子径が2.1μm以上3.5μm以下で、かつその比表面積が4.4 m2/g以上6.5 m2/g以下の粉が緻密に成膜できる。