CEATEC JAPAN 2018
総務大臣賞・経済産業大臣賞・部門賞が決定
総務大臣賞:京セラ株式会社
金属上でもアンテナ特性が低下しない2.4GHz帯の小型・薄型の新アンテナ「Amcenna」
経済産業大臣賞:株式会社エアロネクスト
4D Gravity™搭載 360°VR撮影用 ドローン「Next VR™」
2018年10月15日
CEATEC JAPAN 2018では、開催テーマ「つながる社会、共創する未来」のもとに、CPS/IoTによる「Society 5.0」の実現を目指し、新たな価値と市場の創造・発展に貢献、関係する産業の活性化に寄与することを目的に「CEATEC AWARD 2018」を実施しております。CEATEC AWARD審査委員会による厳正な審査の結果、「総務大臣賞」ならびに「経済産業大臣賞」および「部門賞」が決定したことを本日発表しました。
各大臣賞の表彰式は、10月15日(月)18時00分からパレスホテル東京「葵の間」で開催される、CEATEC JAPAN 2018 オープニングレセプションにて実施されます。
各部門賞の表彰式は、10月16日(火)18時00分から幕張メッセ・国際会議場2階の国際会議室で開催される、 CEATEC JAPAN 2018 出展者レセプションにて実施されます。
各賞の受賞企業は下記の通りです。
総務大臣賞
金属上でもアンテナ特性が低下しない2.4GHz帯の小型・薄型の新アンテナ「Amcenna」
京セラ株式会社 (小間番号 H009)
【製品・案件概要】
IoT社会において、モノをインターネットに無線でつなぐために不可欠な部品「アンテナ」。通常、金属や水の上では放射特性が低下するためアンテナ設置場所に制限があったが、京セラの独自技術によって、設置場所を選ばない小型・薄型アンテナの開発に成功(2.4GHz帯)。
開発用に試作したAMC(人工磁気壁)を用いた従来アンテナとの比較で、面積1/60以下、厚さ1/2を実現した。
【選評】
人工磁気壁(AMC)の小型化とAMC自体へのアンテナ機能の付加による独立アンテナ化、小型・薄型化を実現。従来は難しかった機械設備、自動車ボディ等の金属部分やウエアラブル機器への小型アンテナ設置が可能となるため、IoT分野における通信デバイスのキーテクノロジーとして期待される。
経済産業大臣賞
4D Gravity™搭載 360°VR撮影用 ドローン「Next VR™」
株式会社エアロネクスト (小間番号 A054)
【製品・案件概要】
Next VRに搭載されている4D Gravityは、ソフトウェアの進化に頼ってきたドローン産業におけるハードウェアの進化として画期的である。ドローンの搭載部が飛行部と相互に影響を受けないことにより、燃費と機動力の双方が向上するとともに、部品のストレスが減少し機体としての信頼性も向上。さらに耐風性能も向上し、墜落リスクの軽減も期待できる。このようにドローンの基本性能を向上させることに加えて、カメラの位置を離したり(Next INDUSTRY)、荷物を傾けずに運ぶ(Next DELIVERY)といった従来不可能だった挙動も可能となる。4D Gravityを搭載したドローンは、従来機を大きく上回る性能を持つことになり、今後、特に産業用途では世界規模で採用される可能性が十分にある。Next VRは、その4D Gravity搭載ドローンとしてのシンボル的役割を担う。
【選評】
搭載部と飛行部を接続する貫通ジンバル構造による独自の制御技術「4D Gravity」により、飛行部の傾き等の動作や姿勢が搭載部に影響しない独立した制御を実現。搭載部は常に水平を保つため、物の搭載・移動における信頼性・安全性が向上し、現行では限界のある産業利用の用途拡大や新市場開拓が期待される。
◆CEATEC AWARD 2018 審査委員会(順不同)
中田 登志之 氏(一般社団法人情報処理学会)
河東 晴子 氏(一般社団法人電子情報通信学会 調査理事)
高林 徹 氏(一般社団法人映像情報メディア学会 代議員)
室山 哲也 氏(日本科学ジャーナリスト会議 副会長)
関口 和一 氏(日本経済新聞社 編集委員)
林 哲史 氏(日経BPイノベーションICT研究所 主席研究員)
西坂 真人 氏(アイティメディア株式会社 プロフェッショナル・メディア事業本部 ST編集統括部 統括部長)
矢崎 飛鳥 氏(Oath Japan株式会社 Engadget 編集部 編集長)
明 豊 氏(日刊工業新聞社 デジタルメディア局 局長)
部門賞
トータルソリューション部門
■グランプリ
液晶テレビ AQUOS 8K AX1シリーズ(8T-C80/70/60AX1)
シャープ株式会社 (小間番号 A003)
【製品・案件概要】
2018年12月1日の「新4K8K衛星放送」開始に先駆け、8K衛星放送チューナーを内蔵した全世界初(日本で唯一の)8Kテレビです。8Kとしては初の倍速(120Hz)対応液晶を搭載し、高輝度・広色域のAQUOS史上最高画質で、8K実用放送を最高の画質で楽しめる環境を提供します。自宅にいながら8K画質の「臨場感」や「没入感」を感じていただける商品です。
【選 評】
「新4K8K衛星放送」開始に先駆け、11月に世界初の8K衛星放送チューナーを内蔵した8Kテレビを発売。 ドイツのIFAで発表。欧州、アジアでも展開。シャープ株式会社はパネル、IC開発などのリソースを8Kに集中し、国内外の市場構築の牽引者として活発に製品展開を進め、いよいよ実際の商品化を実現したことを高く評価した。
■準グランプリ
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関係者の厳格かつスムーズな入場を実現する
日本電気株式会社 (小間番号 A010)
【製品・案件概要】
東京2020大会は、開催を2年後に控え、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などが中心となり、史上最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会の実現を目指して、安全かつ円滑な大会運営に向けた準備が進められています。顔認証システムにより、選手やスタッフ、ボランティアなどの大会関係者約30万人を対象に、すべての大会会場の入場時において厳格かつスムーズな本人確認を実現します。
【選 評】
経年変化や姿勢変動にも耐性を持ち、0.3秒で160万件のデータベースを検索するなど高い能力を発揮し、米国国立標準研究所(NIST)のベンチマークテストで精度・照合スピードで世界No.1を達成している。また、悪環境においての実績を重ねている点で、競合と比べ群を抜いており、実質運用に耐えると評価できる。同技術は2020年での実績を踏まえ、さらに耐性を強化することで、以降のスポーツイベント、コンサート、テーマパーク、ショッピングでの顔決済など、拡大する都市の安全安心への要求へ向けた技術として期待したい。
部門賞
デバイス/テクノロジ部門
■グランプリ
Hyperfluorescence™世界初の商品化に向けて
株式会社Kyulux (小間番号 S016)
【製品・案件概要】
2015年3月に設立された株式会社Kyuluxは、有機ELディスプレイや照明に用いる次世代発光材料・技術の開発に取り組んでいます。九州大学およびハーバード大学から得たライセンスをもとに、レアメタルを使用することなく、コスト競争力に優れ、高効率、高純度の発色、さらに長寿命を実現するTADF/Hyperfluorescenc™発光技術を開発しています。
【選 評】
TADFと蛍光材料のベストコンビネーションから創り出された、高発色・高純度・高効率・低コストのすべてを実現できる第4世代の有機発光EL技術として、世界的な普及が期待できる。現時点で400件の出願、50件以上の登録と、特許戦略を強化中。サムソン、LG、ジャパンディスプレーなどを株主に持ち、大手の中国パネルメーカーとも契約。今後は、量産へ向けてパネルとしての寿命の改善を進めている。
■準グランプリ
最先端遠隔操作ロボット(アバター)による労働問題の解決
株式会社メルティンMMI (小間番号 S016)
【製品・案件概要】
アバターにより自分がいる場所に関わらずあらゆる環境で活動が可能となる。死亡といった重大事故が起こりながらロボット化が不可能な現場に導入し、事故の削減・作業の効率化と省人化を通じ3K職場や過疎地域の人材不足を解消する。MELTINは人の手の代替に必要な5要素[自由度(動きの種類の多さ)・パワー・スピード・サイズ・耐久性]を同時に満たすロボットハンドを実現し、人の作業代替が世界で初めて可能となった。
【選 評】
アバターが実現することで、体力や力が必要な作業を高齢者が担うことが可能になる。さらに、同社が開発中の生体信号解析技術と融合することで、寝たきりでも考えるだけでアバターを操作できる可能性がある。3K職場や過疎地域の人材不足の解消のみならず、種々の労働者問題をこれまで不可能であった手法で解決可能である点を評価。将来的には、「サイボーグ産業」のインフラとしての可能性を有しており、さらには、「3本目の手」として稼働させるなど、人の潜在的な機能拡張にまでも発展していく可能性を持つ。ロボット市場は2035年に10兆円と言われ、今後の高齢化社会、人口減少社会の中で、重要な産業となると目される。
部門賞
インダストリ/マーケット部門
■グランプリ
関係性データのセンシングプラットフォーム"NAONA"
株式会社村田製作所 (小間番号 H071)
【製品・案件概要】
NAONAは「関係性情報」をセンシングし、データ提供するプラットフォームです。関係性情報とは、複数の人やモノの間に存在する情報で、人同士の共感度や、ある人の特定のモノへの注目度等です。NAONAは物理センサで取得したデータをゲートウェイで一次処理、特徴量を抽出し、クラウド上で組み合わせて関係性情報に変換します。このデータを活用することで、人々の行動を変え、収益向上や顧客の満足度向上を実現できます。
【選 評】
単なるセンシング技術に留まらず、エンドユーザーに「この関係性を改善したい」という本質的な欲求に働きかけ、データを活用することで関係性を改善する行動を促すソリューションを提案する、といった新たな市場の創出が期待できる点を評価。マイク、カメラ、温度センサ等、様々なセンサがNAONAに繋がることで、さまざまな「関係性情報」を可視化していくことで、新たな社会インフラとなる可能性を有している。2019年3月からビジネス開始を目指しており、AIやロボットの発展の中で、人間にしかできなかった関係性の認知を技術で行う重要性を喚起するもの。村田製作所にとっても、ハードウェアを売る会社による新規事業の開拓に期待したい。
■準グランプリ
家庭用全自動お片付けロボット
株式会社Preferred Networks (小間番号 A060)
【製品・案件概要】
PFNは全自動お片付けロボットシステム(ソフトウェア部分)を開発しました。今回CEATEC向けに、トヨタ社のロボットHSRを用いたデモを行います。最先端の深層学習技術を用いた認識技術を応用し、従来のシステムでは困難だった「散らかった部屋の片付け」を全自動で行います。また、音声言語理解技術の応用によりロボットと人との自然なコミュニケーションを実現し、口頭で片付けの仕方を指示したりする事などができます。
【選 評】
ものを見て、形を認識して、掴んで、置くという、一連の「片付け」作業は、AIにとって人間に匹敵する精度が達成できなかった。家庭で使われるロボットは人の意図を理解して働くことが重要。人の言葉・動作による指示を理解することによって、一般の方にもロボットを直感的に操作することが可能になるなど、応用範囲も大きい。部屋の片付けという従来のシステムでは困難だったタスクを実用レベルの精度で達成しており、今後更に付加価値をつけて製品化されれば市場・社会へのインパクトは大きい。ビッグデータを活用する方向への期待ができるとともに、サービス・ロボットのためのデータライブラリーの提供など、新たなビジネスの可能性も期待できる。